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2011年 03月 27日

<Vol.813> 78のドーナツ

今日のBGM : Massive Attack / Teardrop
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十勝川の川岸に横たわった長身のアメマス。
僕の息がアメマスとのやり取りの末に浅く、そして速くなっているのを感じながら、微かに赤銅色に染まったそのボディにおそるおそるメジャーをあててみた。
僕には77という数字がメジャーから読み取れたけれど、ランディングを最後まで見届けてくださったTaharaさんは、僕の傍らで78でいいんじゃないですかとおっしゃる。
77、それとも78。
どちらにしても僕にとってはトロフィーサイズの素晴らしいアメマスであることに違いはない。


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気持ちいいぐらいに晴れているなぁと思ったら、近づいてくる雪雲と共に大きくて真綿のような雪が吹きつけ、そしてまた晴れ間と共に早春らしい穏やかさが戻ってくるといった土曜日の十勝川だった。
この状況が続けば、夕方もしかしたら素晴らしい出会いがあるかもという予感が僕の中になかったかというと嘘になるのかもしれない。なぜかしら去年のことが脳裏をよぎる。
予感めいたものは、きっと外れるためにあるものかもしれないけれど、どうやらこの日だけは嬉しいことにそうではなかったのかもしれない。
始まりの合図は、Meiserの14フィート、7/8番MKSにセットしたSt.Johnの奏でる悲鳴に近い逆回転サウンドからだった。
Visionの10/11、sink2/sink4のフルシンク・スカンジヘッドをスネークロールから一度ダンプし、ペリーポークからほぼ流れに対してクロスにキャスト。まるで最近のスティールヘッド用のイントルーダーのように、メタリックなフラッシャーをたっぷりと巻き込んだ、ビラビラ、ギラギラと存在感たっぷりのビーズヘッド仕様の黒のイントルーダーがゆっくりと沈み、そしてスイングを始める。そしてランニングラインに伝わる、まるで根掛かりのような衝撃が僕の指先に不意に訪れたのは、フライがスイングを始めて間もない時だった。
「ズゥン」 「グゥン、グゥン、グゥン」と大きなヘッドシェイクと続き、そして反転した鱒は一気に下流へと疾走した。午後の静けさの中、ブレーキのテンションをMAXまで絞ったリールの奏でるスクリーミングサウンドはいつまでも続く。
残念ながら、このアメマスとのやり取りの最中、写真やムービーを撮ろうという余裕のようなものは、僕の中にどこにも残されていなかった。


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今日のSilent Movie(今日のBGMに合わせてどうぞ)


by d-yun5-fly-elise | 2011-03-27 18:25 | spey fishing | Comments(14)
2011年 03月 21日

<Vol.812> Tokachi River

今日のBGM : Jose Gonzalez / Teardrop
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風の音と共に十勝川の河畔林がその幹を左右に大きくしならせながら揺れていた。
僕の中での一番のお気に入り、Meiseの14フィート、6/7番のMKSは、オレゴンにあるマイザーさんの工房にメンテナンスのために里帰り中だから、この日はBurkheimerの14フィート1インチ、7番のclassicを凍え始めた手でつなぎ、透明のビニールテープでジョイント部分をしっかりとテーピングする。

ロッドを手にシャーベット状の雪が積もった土手の斜面を下っていると、2週間前よりも確実に季節の針が前へと進んでいることが感じられる。
それは川面をザワザワと騒がせながら吹き抜けていく風の中にも感じられた。


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チャートリュース&オレンジそれともブラック?
ビーズヘッド仕様のイントルーダーのカラーを選ぶのに迷ってしまう本流の色だった。
きっともう少し濁りが強くなれば、僕は迷わずブラックを選んでいたのかもしれない。

午前中は十勝川の広大な流れも下流域としてはいつもよりもいっそう速く、そして満潮に近づく午後になると流れが緩やかになるというサイクルが続いた。
午前中はフルシンクのスカンジヘッド、そして午後にはフローティングボディのスカジットシステムと状況に応じてラインシステムを変更する。


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もしかしたら下流域のアメマスたちは遡上タイプだったのかもしれない。
サイズ以上の躍動感にアングラーは何度も翻弄され、その都度、心の中の何かが、ほんの一時なのかもしれないけれど、軽くなったような気がしたものだった。

ブーツの中の足先がジンジンとしびれながらも冷たい本流の中に長時間ディープウェーディングし続け、風を感じながらただひたすらキャストを繰り返す。
ただそれだけのことなのかもしれないけれど、フィールドに佇める幸せ、そんなことを改めて実感した十勝川で過ごした2日間だった。


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今日のSilent Movie(今日のBGMに合わせてどうぞ)


by d-yun5-fly-elise | 2011-03-21 16:56 | spey fishing | Comments(8)
2011年 03月 06日

<Vol.811> icy field, icy trout

今日のBGM : The White Birch / Breathe
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雪深い十勝川の河畔林の間を抜けると、いきなり目の前の視界がパッとパノラマチックに広がり、早春の太陽に照らされた長いランが姿を現す。
アングラーの姿は、まだふたりだけしか見当たらない。
河原を歩くと、パリっ、パリっという乾いた音と共に薄い氷が細かく割れていく。
そして、ロッドを片手に下流へと歩んでいく友人達のうしろ姿を見送った。

早春の十勝川のフィールド、予想通り朝のうちはまだ風が穏やかだったように思う。


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フィールドの色彩に十勝川らしい強風が加わる前に試しておこうと、ロッドはブルーのコスメが美しいMeiserのS2H1396S-5をチョイスした。
ラインはPEERLESS No.5に巻き込まれたAFS 6/7 sink2/sink3 (400gr)。
個人的にはもう少し重めのライン設定でも良かったかなぁなどと感じている。
フライはCraft FURをメインに、いつもよりもフラッシャー系のマテリアルを多めに使ったビーズヘッド仕様のイントルーダー。チャートリュース、オレンジ、ブルー、そしてブラックなどを数本だけ用意した。


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アメマスのヘッドシェイクと共にPEERLESSのS字ハンドルがゆっくりと逆回転する。
アメマスの躍動感が作り出した波紋は、ゆっくりとその形を変えながら、下流へと流れていった。

風が穏やかな時間というのはアングラーの期待に反して、それほど長くは続かないものだ。
黒系のイントルーダーがスイング中のことだっただろうか。突如ズゥンという重い衝撃を、僕が手にした6番のスペイロッドを通じて感じた頃には、十勝川らしい上流からの風がいよいよ本格的に吹き始めたのだった。
もちろんアメマスの鈍重は躍動感の方は期待に反して長くは続かなかったけれど・・・。
もしかしたらあのアメマスは僕よりも少し上流にいたABUさんのルアーの方がお好みだったのかもしれない。

本流の川面が大きく波打ち始めた午後、やはり強風は十勝川の流れから透明度を少しずつ奪っていったのだった。


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今日のSilent Movie(今日のBGMに合わせてどうぞ)


by d-yun5-fly-elise | 2011-03-06 17:35 | spey fishing | Comments(17)