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2010年 06月 28日

<Vol.768> 十勝川(Tokachi River)は猛暑

今日のBGM: The Balustrade Ensemble / The Drowning Calm
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乾ききった真夏のような日差しが頭上から容赦なく照りつけていた。
そんな日中の気温は35℃を越える猛暑の中、週末を十勝川の畔で過ごした。
静岡から来る友人は土曜日の9時半頃には帯広空港に着くという。
早朝からロッドは振らずに何度も車で移動を繰り返していた。
どのポイントでもセメントを少し溶かしたような淡いグリーンの十勝川の色が毎回出迎えてくれる。透明度はおそらく50cm程度だろうか。
空港に到着したとyanbaidesuさんからの連絡が来るまでの間、コンビニの駐車場で車のエアコンをマックスにまで効かせて一眠りすることにしよう。
それにしても暑すぎやしないか。


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市街地の十勝川の支流が合流するポイントで初めてロッドを振った。
早朝から数えると4ヶ所目に巡ったポイントになる。
ストラクチャー周辺を探ると小振りなレインボーが顔を出してくれた。
真夏のような暑い日差しを浴びて、レインボーのボディがギラギラとメタリックに輝いていた。


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セメントを薄く溶かしたような本流の色は、期待した市街地のバックスペースがほとんどないポイントでも変わりはしなかった。
昨シーズンとはまたちょっと流れの様相が変わっていたように思う。
あるところは浅くなり、あるところは深くえぐられたりする。
これも川が絶えず変化し、生き続けている証拠のひとつなのだろうか。
あまり深追いはしないでおこうと、柳の葉についた毛虫を見ながら僕はそう思う。


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市街地の流れも終わりに近づくと、本流の状況が一変した。
ほとんどクリアーな流れとセメントを少し溶かし込んだ色合いの流れとが本流を二分していた。不思議な光景。そういえば以前、早春の雪解けが入り始めた十勝川の下流域でも同じような本流の色が二つに分かれた光景を目にしたことがあるのを思い出す。もちろんその色合いはというと、全く別物ではあるのだが・・・。


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午後の日差しは相変わらず容赦なく頭上から照りつける。
本流の流れが二手に分かれ、再度ひとつへと合流するポイントだった。
早瀬から徐々に深瀬へと変化する流れ。昨シーズンのABUさんお気に入りのポイント。
VisionのAce Double SH #9/10 sink2/sink4の先にはブラックフェアリーのイントルーダーパターンを結び14フィート#6/7番のMKSでペリーポークからキャストを試みる。
しっかりと沈んだラインとその先のフライが少し流れの緩んだポイントに差し掛かり、2回ほどリトリーブしたところでズゥンと強烈なテイクが訪れた。


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ロッドにセットしたSt.Aidanから甲高い轟音のような逆回転音と共に凄いスピードで黄色いリッジランニングラインが引き出されていく。
リールの逆回転音が鳴り止んだかと思うと今度は激しいヘッドシェイク。
先日の湧別川で出会ったレインボーと比べても、そのパワーは桁違いだったような気がする。
2度目の疾走が止まると、僕の不安が的中したのか、ラインからはすべてのテンションが失われてしまっていた。夏の蜃気楼のようにそれは一瞬のうちに現れて、やがて静かに跡形もなく消えていく。
そして、僕の心と身体にその余韻だけを確かに残していった土曜日の午後だった。

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by d-yun5-fly-elise | 2010-06-28 23:47 | spey fishing | Comments(4)
2010年 06月 23日

<Vol.767> 夏日の尻別川(Shiribetsu River)

今日のBGM : Simon Fisher Turner / Spybey and I
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しっかりと乾いた心地よい風が下流の方から川面を吹き抜けていった。
見上げる空にはニョキニョキっと大きく育った積乱雲。
それはまさしく夏の雲の形をしていたと思う。
火曜日の午後から訪れた気温25℃を超えた夏日の尻別川。
それでも途中の羊蹄山の山肌や中山峠のスキー場には、まだ白い雪が残されていた。
川沿いのタンポポの花はすでに種をつけた白い綿毛を飛ばそうとしているというのに・・・。


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例年よりも釣り人と遭遇することがめっきりと少なくなった感じる火曜日の尻別川。
おそらく週末ともなれば、そんなことはないとは思うのだけれども。

半開きにした車の窓から吹き込む心地よい風を感じながら、さて今日はどこのポイントから入ろうかと、今日の僕に与えられた時間を考えながらプランを立てる。
あそこの流れも、それにあそこだってと、考え始めればきりがないのだけれど、そんな時間ももしかしたらワクワクするような楽しい時間なのかもしれない。

こんな夏空の気持ちの良い日にはと、僕がまず最初に足を運んだのが蘭越の放水口下のランだった。釣り人の姿は皆無。この場所に立てて、尻別川を囲むパノラマチックな夏の風景を目にすることが出来ただけで、まだ釣りそのものを始める前だったけれど、僕の気持ちは半分以上落ち着けたような気がする。生命感はたっぷりとあった。でも、通称「ヤマモトの瀬」の下のランまで僕が釣り下るまでの間に、河畔林からフラフラとヒゲナガが飛び出て、水面上を飛び交おうとも、僕が目にした鱒のライズはたった一度だけ。まぁ、真昼間ならこんなものかもしれないと思う。

先端4mをカットしたAFSホバー改をボディにType6のティップ。それにフライだってビーズヘッド仕様のイントルーダー・パターンのマラブー・ストリーマーとほとんど先日の湧別川とラインもフライも変えなかった。ロッドだけをMKSから夏空のようなコスメのHighlander"S"に持ち換えた。

蘭越の放水口下のランでは、中間辺りで不意にゴンと明確なバイト。
「ヤマモトの瀬」の下のランでは、少し下った辺りで2度のバイト。
栄橋の上流の深瀬ではゴン、ゴンと1バイト。
昆布エリアの第2セクションでは、おそらく次世代を担うであろう小さなレインボー。

僕と尻別川の魚とのコンタクトはそれっきり。
ハラハラするような鱒とのやり取りにまで至るという事は巡ってこなかった。

期待の持てそうなイブニングまでにはまだ少し時間があった。
でも、僕はリールにラインを巻き込むことにする。
流れの音と弱まり始めた風にマーキスのラチェット音がゆっくりと溶け込んでいった。
                                         
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by d-yun5-fly-elise | 2010-06-23 21:20 | spey fishing | Comments(6)
2010年 06月 21日

<Vol.766> 湧別川(Yubetsu River)の初夏

今日のBGM : Trespassers Willam / lie in the sound
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幾つかに分かれた本流筋の流れが、1本、また1本と合わさりあい、またもう一度魅力的な湧別川本流の流れを形成していた。
見るからに流れの速さも水深も申し分ない。
朝一に入った中湧別のポイントのさらに上流に、こんなポイントがあったなんてと思わず僕の口から感嘆の吐息がこぼれる。
ロッドを片手にここまで期待と不安を胸に歩いてきてよかったと思う瞬間。


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深い緑色を呈したいかにも水深がありそうな対岸には生い茂った木の枝が張り出している。
この流れの速さなら、おそらく遡上してきたチェリーが一休みするということはないだろうと、額に流れる汗を感じながら僕は勝手に想像した。
お気に入りのHardy Marquis Salmon No.1からType6のティップがつながれたHover改を引き出す。少しブレーキの効きを強めようとあえてダブル・ラチェットにしたリールからは、今までよりもさらにけたたましい音色が響いてきた。


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2.5号のフロロカーボンのティペットの先には黒とホットオレンジのマラブーをあしらったビーズヘッド仕様のイントルーダー・パターンにしたストリーマーを結び、ちょうど幾つかの流れがひとつに集まった流れの頭から対岸の木の枝の下めがけてキャストを繰り返す。
同じパターンの2個あったフライのひとつを対岸の木の枝に引っ掛けてロストし、気を取り直してティペットに傷がないことを確認してから最後のひとつを期待を込めて結び直した。
数キャスト目に張り出した木の枝の下の流れをスイングするフライがいきなり強い力で引っ手繰られた。S2H14067-MKSにセットされたリールからけたたましいサウンドがいつも以上に強烈に鳴り響く。やっと出会えたという安堵感とあのフッと押し寄せてくるすべてのテンションを失った虚脱感がいつ起こるのかという不安とが僕の中で複雑に交錯する。


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まだまだ余力を残した鱒が、やっと僕の近くまで寄ってきた。
流れの中で反転しながらギラっと輝くその魚体に、プラチナシルバーの残像ではなく、一筋のオレンジ色のラインを見た時、僕の緊張感はさらにヒートアップしていたのかもしれない。
シェフの差し出す柄の伸びるランディングネットにやっとのことでその鱒が収まる。
体高のある、美しい湧別川本流のレインボーだった。
まだまだ僕の興奮は冷めやらなかったけれど、レインボーの体力が回復するまで流れの中でその身体を支え、ゆっくりと泳ぎ去るその姿を見送った。

週末を過ごしたセミの鳴き声の賑やかな湧別川本流の畔。
そんなレインボーに出会えたのは二日目になる日曜日の朝だった。


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帰り道、遠軽町を抜けると雷鳴と共に雨が強まり始めた。
湧別川の各支流はすでに増水し黄土色に色づき始めている。
上湧別で別れた東京や仙台の友人達のこの後の釣りの事が気掛かりだった。
きっと楽しみにしていた釣り旅なのだろう。
思い出に残るような釣り旅になると良いのだが・・・。

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by d-yun5-fly-elise | 2010-06-21 22:26 | spey fishing | Comments(12)
2010年 06月 16日

<Vol.765> イブニングの釣りのあとに想う

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苦手な釣り、でも最近ちょっとその面白さがなんとなく分かり始めてきたような気がするイブニングの釣りを終えて、車で家路を決して急ぐわけでもなく走る。
車のヘッドライトは前方のアスファルトを照らし続けれど、辺りはすっかり暗闇が覆っているから、日中の緑が眩しい美しい景色や本流の流れの様子も今は何一つ視界には入らない。
だから僕は車のハンドルを握りながら、ついもの思いに耽けりがち。

そう、今日の釣りをゆっくりと振り返るのだ。もちろん前方には十分に注意を払いながら。
今日の印象的なシーンが、いくつも走馬灯のように頭の中で鮮やかに蘇る。
僕にとってはとても大切な作業のひとつ。
特にイブニングの釣りを終えて、暗闇の中、ひとりでハンドルを握る時は。


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いくつかの新しいフライを巻いて午後から尻別川へと足を運んだ。
ヒゲナガを模したチューブフライと、白いウェットフライ。
特に白いウェットフライは、白のPseudo Hairをウイングに、ナチュラルのCDCをボディハックルとしてカラーに巻いてみた。ウイングにはもう少しボリュームがあっても良いのかもしれないから、アンダー・ウイングに白のフォックステイルと少量の光り物を加えてみようかと思ったりもする。

ヒゲナガのハッチも、時期的にはそろそろかもしれない。


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最初に訪れたのは、通称「ヤマモトの瀬」。
滑りやすい底石に十分注意を払いつつも、相変わらずヨタヨタとバランスを崩しながら、釣り下る。ロッドはMeiserの14' #6/7 MKSに、ラインはType6のティップでスカジットシステム。水位も落ち着いて間もないから、まだ釣り人のプレッシャーも少ないのではと、つい期待しながら釣り下ったけれど、やはり期待は期待のままで終わってしまった。

本流の水色が深いグリーンに染まった昆布エリアに移動した。
第1セクションからゆっくりと釣り下ったのだけれど、今シーズンはいつもの年とはちょっと違うフィールドの変化に気が付いてしまった。
今シーズンはとにかく底石を覆うコケという藻が多いのである。これまで5シーズンほどこのフィールドに通っているけれど、ここまで川底がグリーンに覆われていたのを見るのは初めてだろうか。もしかしたら、好天が続いていたことが、川底のコケや藻の成長を早めた要因のひとつなのかもしれないと想像する。

ライズは一度も見かけなかった。何事も起こらないまま第3セクションへ。

流れの筋と川底の様子が少し変わった今年の第3セクション。対岸めがけてフライをキャストする。ランニングラインは十分にリールから引き出した。
ビーズヘッド仕様のイントルーダーパターンに巻いた黒のマラブーストリーマーがスイング中にゴン、ゴンと引き込まれる。少しラインのテンションを緩めたけれど、それ以上鱒の躍動感が続くということはなかった。


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イブニングの釣りに備えて、栄橋に移動する。
ウェーディングしているとヒゲナガのシャンクが流れの中を漂ってくるから、おそらくどこかではハッチが始まっているのだろう。
午後の太陽が稜線に隠れると、やはり予想通りヒゲナガの乱舞が始まった。
ティップをクリアーのType1に換え、フライもヒゲナガを模したウェットフライに結びかえる。ヒゲナガのハッチは相当なもので、辺りが暗くなった中、ヒゲナガが僕の顔に突然当たったりすると、思わず鱒のテイクやライズの音以上に驚いてしまう。あまり虫が得意とは言えない僕にとって、ちょっとこれは別の意味で刺激的かも。
イブニングタイムを迎えたアングラーにとってワクワクするような時間帯なのだろう。でも、予想通り鱒のライズはほとんど起こらなかった。僕が流すフライはというと、一度だけヒゲナガを模したチューブフライの逆引きで当たりがあっただけ。あとは全くの沈黙。水面上はあれだけ賑やかだというのに・・・。もしかしたらもう少し我慢すれば、刺激的な鱒の作り出すライズサウンドを耳に出来たのかもしれない。でも、僕には我慢の限界だった。なぜならあのヌカカがあまりにも僕の顔の周りを気配もなく飛び回っているものだから・・・。


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今日のBGM : lotte kestner / that look you give that guy



by d-yun5-fly-elise | 2010-06-16 21:34 | spey fishing | Comments(10)
2010年 06月 13日

<Vol.764> オホーツクの本流

今日のBGM : Sergius Gregory / all bricks and mortar
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オホーツク海へと注ぐ二つの本流を巡った6月の土曜日。
それは北の大地の初夏らしい、乾いた暑い一日だったと思う。

エゾ春ゼミの賑やかな合唱を耳にしながら朝露に濡れた牧草地の脇をロッドを片手に歩んだ。水位は予想していたよりも少なかった渚滑川(Syokotsu River)のC&R区間下流域。
期待していた越年のレインボーには出会えず、僕のロッドが手にするMeiserの#6番ロッドを絞り込むのは放流されて間もないレインボー達。


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少し開けた河原に瀬やプールにと変化に富んだ流れが間隔を置いて続き、釣り人の視界はグッとパノラマチックに開ける。
そんなC&R区間下流域から車でさらに下流に下った流れの方が、僕個人としては、思わず大きなレインボーに出会えるような気がして好きだろうか。
そう言えば少し会話を交わしたローカルのアングラーが、ここでスティールを釣ったことがあるんだと言っていた。それが本当にスティールだったどうかは別として、そんな魅力的な鱒に僕もいつか出会ってみたいものだと思った。


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照りつける日差しの下、午後からは湧別川(Yuubetsu River)の下流域に足を運んでみる。
ここはオホーツクの海までは目と鼻の先ぐらいに近いエリア、中湧別。
僕が初めて訪れるエリアだったけれど、いかにもこれぞ本流といったぐあいに水量があってトルクフルな流れだった。ここはほとんど人工的な手が加わっていない流れなのだろうか。いかにも大きな鱒が潜んでいたり、身を隠していそうなポイントが、まるでツーハンド・ロッドを手にしたスペイ・アングラーを手招きするかのように点在している。
コーンヘッド仕様のチューブフライからヒゲナガを模したウェットフライにチェンジしても、僕には小さなバイトしか訪れなかったけれど、ここを案内してくれたMORIさんには50クラスのグッドサイズのレインボーとのコンタクトがあった様子。でも、残念ながらフックアウト。
のんびりと丸一日をかけてじっくりと探索してみたいエリアのひとつ。


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暑い日差しが山の稜線に近づき始めた頃、車で上流へと少し移動。
遠軽から開盛橋エリア、ここまで来ると本流を囲む雰囲気も少し変わる。

グゥンというランニングラインに伝わる衝撃。
逆光の中、30m程下流で跳躍するレインボーの黒いシルエットが浮かび上がった。


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#6番のHighlander‐SにセットしたPerfectから響く心地よいサウンド。
サイズとしては30半ばのレインボーだったけれど、湧別川のトルクフルな流れがギュッと狭まったポイントでの、スイングするフライへのテイクだっただけに、流れの強さも加味されてやり取りとしてはなかなかスリリングだった。
イブニングが近づいてくると、岸際では小さなライズがいくつも起こる。
オホーツクの本流に吹く風の存在感は未だ感じられない。
ザワザワとした生命感と躍動感だけが辺りで徐々に強まり始めた。


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白っぽいウェットフライが良いですよとSHUさんが教えてくれる。
でも、僕のフライボックスのどこを探しても白っぽいウェットフライなんて・・・。

Skagit Compact(420gr)の先のティップをType6からType3に換えた。もしかしたらAFSのフローティングSHでも良かったのかもしれない。
とりあえずフライボックスから十勝川や尻別川で使うセッジパターンのウェットフライをひとつつまみ、ティペットの先に結ぶ。
結局、イントルーダーパターンで巻いてみたセッジフライは試せたけれど、新しく巻いたヒゲナガを模したチューブフライまでは試せなかった。

この日はオホーツク海へと注ぐ二つの本流が持つ魅力をほんの少し垣間見たような気がする暑い一日だった。
いつかチャンスが訪れれば、のんびりと、いや出来ればじっくりと、未だ足を運んだことがないポイントでフライを流してみたいと思った。


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by d-yun5-fly-elise | 2010-06-13 22:06 | spey fishing | Comments(14)
2010年 06月 09日

<Vol.763> 6月の青空 / Shiribetsu River

今日のBGM : George Van Eps / skylark
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抜けるような6月の青空が、本流の上には広がっていた。
河畔を彩る木々の新緑は、ますます生き生きと美しく輝いている。
エゾ春セミの合唱が本流のいたるところから響いてきて、初夏らしい日差しで本流の川面が眩しく輝いていた。時折聞こえてくる野鳥達のさえずり。
火曜日の尻別川本流、それは本当に伸び伸びとした生命感に溢れていたように思う。


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せっかくの代休をこの日に合わせてくれたABUさんにはちょっと申し訳なかったのだけれども、僕はすっかり予定の時間よりも朝寝坊。だから自宅を出たのは、近所の小学校の始業時間がとっくに過ぎてしまった時間になってしまった。
尻別川へとつながる中山峠をのんびりと越え、山肌を彩る羊蹄山の残雪がずいぶんと少なくなっているのに初夏の訪れを感じながら、車は尻別川の栄橋のたもとに滑り込む。


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                   original photo by Mr.ABU


平水に比べると水量はまだまだ高い。
でも、水色は釣りをするには申し分なく、深い緑色を湛えながら、本流は雄大に流れていた。

この日、僕が手にしたロッドはMeiserの14フィート#6/7番MKS。
ロッドにセットしたHardyのPerfectからType8のティップを繋いだAFS Hover改#7/8をリールの音色を確かめながら引き出した。

もう直ぐ正午のサイレンが響く時間だというのに、なぜか本流の雰囲気は悪くはなかった。
下流からの心地よい風を感じながらゆっくりと釣り下る。


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しばらく釣り下がると、流れをスイングするフライに何かが触れた気がした。
伸びの少ないリッジランニングラインは、何かしらを僕に知らせてくれているのかもしれない。
心持ち集中力を高めた次のキャストに、思わず期待感が走る。
僕がイメージしているよりもそれほど沈んではいないフライが流れの中をスイングし始め、いよいよかなと思った瞬間、予想通りグゥンとランニングラインを通じて衝撃が伝わる。
ジリジリと美しい音色とともに引き出されていく黄色いランニングライン。

先日の朱鞠内湖でプラスチック製の部品が壊れてしまったので、新たに新調した柄の伸びるランディングネットを伸ばし、いつも以上に慎重にランディングしたのは今シーズンになって初めて尻別川で出会う本流レインボー。6月の太陽の日差しを浴びて体高のあるボディはギラギラとメタリックに輝き、スピード感に溢れたレインボーだった。


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先週の湧別川といい、最近はよく本流で、こんなコーンヘッド仕様のチューブフライをティペットの先に結ぶことが多い。もちろんレインボーに好かれるようにと期待をこめて。

テイルやボディにはDyed UV Polar Chenilleの黒やホットオレンジを使い、フロントカラーにはPalmer Chenilleの黒を1回転させたあと(これがアクセントとコブ代わり)、黒やホットオレンジのマラブーをパラっと巻く(それぞれ2回転ずつ)。最後にパラっと黒やパープルのコックフェザントランプを2回転ほど巻く。おそらく先端につけられたタングステンのコーンヘッドによって、ラインのテンションを緩めたり張ったりすると、流れの中できっと上下に妖しく鱒を魅了するように動くはず。


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午後の尻別川に照りつける日差しも、この上なく眩しかったりする。
額から流れる一筋の汗。暑かった。
でも、流れの中にウェーディングしていると、それも嘘のように忘れられたりする。
久しぶりに深いグリーンのSIMMS社ウェーディングジャケットではなくて、ここ10年来愛用している、すっかりヨレヨレにくたびれて、今ではところどころが擦り切れて小さな穴が開いてしまった、沢山の補修跡が残る同じくSIMMS社のフィッシングベストの袖に9ヶ月ぶりに腕を通しての釣りとなった。少し深くウェーディングすると、キャストの際にシャツの袖が濡れてしまうことがあるけれど、この日差しの中ではそれすらも心地よく感じられる。
豊国橋の上流では僕の流すフライに鱒からのコンタクトは訪れなかったけれど、バイカモの緑の美しさに目を奪われる。


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                   original photo by Mr.ABU


期待しながら最後に訪れた昆布エリア。
小さな黒いカディスが飛び交い、名前の分からない水生昆虫がハッチしている。
大きなヒゲナガの姿は一度も目にすることはなかった。
残念ながらそれらに対する鱒のライズは単発。それもほとんどが到底僕のキャストでは届きそうもない対岸ぎりぎりで起こったりする。だからラインシステムもフライもほとんど変えることなく第1セクションから釣り下っていった。


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                   original photo by Mr.ABU


第3セクションでフライをスイングさせていると携帯電話が鳴った。
第2セクションで釣りをしていたABUさんの声は、残念さをにじませながら、まだ動揺していたように思う。どうやらグッドサイズのレインボーに出会ったのだけれども、レインボーが振り絞った最後のジャンプで残念ながらフックアウトしてしまったようだった。でも、あの流芯の向こうの沈み岩のポイントに、今の水量の中でトルクのある速い流れに逆らいつつウェーディングしながらフライを届けるということは、僕の技量では到底無理な話なのかもしれないなどと思いながら、僕はキャストを続ける。第3セクションの対岸をめがけて。

いわゆるイブニングという時間帯はこれから始まるのだろう。
日中に感じたあの初夏の眩しい日差しは、少し弱まり始めていたのかもしれない。
今度はしっかりと準備をしてイブニングにフライを流してみよう。
そんなことを思いながら、エゾ春セミからカエルの鳴き声に替わったイブニング前の本流をあとにした。


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by d-yun5-fly-elise | 2010-06-09 21:52 | spey fishing | Comments(2)
2010年 06月 06日

<Vol.762> 週末の嬉しい悩み

今日のBGM : New Swing Sextet / Che Che
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黒鉛塗装がほとんど剥げ落ちて金属らしい鈍い光沢を放つHardyのPerfect 3-7/8"から、心地よいリールサウンドを奏でつつ、急いで巻き取った黄色が眩しいリッジランニングラインがまた引き出されていく。
先週の日曜日に朱鞠内湖(Syumarinai Lake)の北大島で僕が出会ったイトウ(Taimen)よりも、今、この瞬間、僕が手にするバットから"く"の字に曲がったスペイロッドから伸びるスペイラインの先に繋がるイトウは、ほんの少しだったかもしれないけれど、その躍動感はより力強く、トルクフルだったような気がする。


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                   original photo by Mr.SHU


週末ごとの嬉しい悩み。
それは全くもってストレスというものを伴わない悩みなのかもしれない。
ここ最近は、1,2週間の季節の遅れを一気に取り戻すかのような好天が続いていた。
北の大地の湖はおそらくどこも生命感に溢れているのだろうし、それに北の大地のスペイ向きの本流だって、どこもおそらく、まだ少しは水位が高いだろうけれど雪代が徐々に収まりつつある。
どこのフィールドも十分すぎるぐらいに魅力的に映ってしまう。
だから僕らも、週末どこのフィールドに足を向けるのか、家を発つまで迷ってしまう。


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                   original photo by Mr.SHU


イトウ釣りが例年になく好調だと伝わってくる朱鞠内湖にもう一度足を運ぶか、それとも雪代が徐々に収まりつつある、渚滑川や湧別川などのオホーツク海へと注ぐ本流に足を運ぶのか、結局僕らは最後の最後、つまり道央道の比布JCTまで迷いに迷ってしまった。

朝の5時に変更になった朱鞠内湖の最初の渡船の時間には間に合わなかった。
さらに狭くなった前浜の駐車スペースにはすでに沢山の車が並んでいる。
どんよりとした厚い雲がほんの少し小波立った湖面の上を覆い、風はそよとも吹かなかった。岸際を泳ぐワカサギ達の姿に、期待感が膨らむ。


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                   original photo by Mr.SHU


遅い春の残雪が谷間に残り、少し肌寒さが残る6月の朱鞠内湖。
さすがにジーンズの上に3.5mmのネオプレーンウェーダーだけでは、湖にウェーディングし続けるのが辛かった。
先週と同様にMeiserの14フィート#6/7番MKSで、AFS Hover#7/8改をボディにし、クリアーのType1のティップを繋いだショートヘッドでペリーポークを繰り返す。
ただロッドにセットするリールだけは、HardyのSalmon No.1からPerfect 3-7/8"へと気分で換えてみた。
早朝の期待感とは裏腹に、何事も起こらない時間がゆっくりと過ぎていく。とてもゆっくりと。
去年の阿寒湖はヤイタイ崎以来、久しぶりにお会いするTSRの杉坂さんと少しお話をさせていただいたあと、僕は前浜の右側へとポイント移動してみた。


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もしかしたらこのちょっとした移動が、僕に幸運を運んできてくれたのかもしれない。
ポイントを移動後の数キャスト目だっただろうか。
5秒ほどのカウントダウン後、ランニングラインを数回したところで、ランニングラインをリトリーブする指先にグゥンとまるで根掛りのような衝撃が訪れた。
それを合図に朱鞠内湖のイトウと僕とのスリリングなやり取りがスタートする。
何度も僕に心地よいPerfectサウンドを耳にさせてくれたイトウ。
途中でプラスチック製のパーツか壊れてしまい、使い物にならなくなってしまった柄の伸びるランディングネットで、何とかSHUさんがランディングしてくれたのは、先週北大島で出会ったイトウよりも数cm大きなジャスト70の丸々と太ったコンディションの良いイトウだった。


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朱鞠内湖の上空には初夏らしい青空が戻ってきていた。
周囲の山肌に残る残雪の白さも、随分と少なくなってきているように思う。
#4番のストリーマーフックに巻いたオーソドックスなオリーブゾンカーを吸い込むようにひと飲みしたのだろうか、少し奥に刺さったフライをフォーセップで外し、出血していないことを確認して、イトウがモスグリーンの湖へと戻っていくのを見届けた。

どうやらこの後、SHUさんやhoriさん達もキャンプ場の奥でグッドサイズのイトウにしっかりと出会ったようだ。仲間内4人でこの湖を訪れ、その内僕を含めて3人がお目当てのイトウに出会えたということは、やはり今回の迷いは、あながち間違ってはいなかったのかもしれない。


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夕方からのまずめ渡船の予約をキャンセルする旨を漁協の中野さんにお話し、車を一路オホーツクの湧別川(Yuubetsu River)へと走らせる。
これもすっかり予定外。本当は夕暮れのイブニングまで朱鞠内湖で過ごすつもりだったのだけれども・・・。でも、見方を変えれば、行きたかったフィールドのすべてを巡れるということにもなるし、帰りには上川町のよし乃に立ち寄って、にんにくの効いた濃厚なスープに炒めたもやしとたまねぎなどの野菜がたっぷりとのった味噌ラーメンだって・・・。
日中の気温はグングンと上昇していった。新緑の眩しい谷間を車は走る。
そろそろ、車の中でもエアコンを効かせる季節がやってきたようだ。


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雪代が収まりつつある湧別川本流下流域。
このオホーツクの本流を訪れ、変化に富んだ本流らしい雄大な流れを目にする度に、僕は毎回のように魅了されされていく。
手にするロッドはMeiserのMKSから13フィート6インチ#6番のHighlander"S"ロッドに持ち替えた。ラインシステムは朱鞠内湖で使ったものとほとんど同じ。ただティップだけはType6に交換した。


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ティペットの先にはコーンヘッド仕様の黒とオレンジのマラブーをメインにあしらったチューブフライ。こればかりは当の僕自身も本当にビックリしたのだけれども、ファーストキャストのスイング中からいきなりロッドティップがズゥンと引き込まれた。スピード感のある躍動感がブルーのフェザーインレイがとびっきり美しいロッドを通じて伝わってくる。この日耳にするのが2度目となる、ロッドにセットしたPerfectから奏でられる美しい逆回転サウンド。その鱒は手前に寄ってくると1mほど水面を割って高くジャンプした。
そんな訳で今シーズン、僕が最初にレインボーと出会ったのは湧別川本流になった。
ジャスト40のなかなか体高のあるグラマーな本流レインボー。釣り人を魅了し、翻弄するには十分な力強さを兼ね備えていたように思う。

さてさて、これからいよいよ北の大地の釣りシーズンも本番を迎えるといったところだろうか。どこのフィールドに足を運ぶかは別として、週末ごとの嬉しい悩みは、しばらく続きそうな予感がする次第。


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by d-yun5-fly-elise | 2010-06-06 19:04 | spey fishing | Comments(14)
2010年 06月 03日

<Vol.761> 輝ける新緑の本流

今日のBGM : Jo Mango / My Lung
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初夏のような太陽の日差しを浴びて新緑が眩しい火曜日だった。
それでも尻別川へと通じる中山峠の頂上付近には、まだまだ残雪が沢山残っていた。
今年は例年よりも季節の過ぎ行くスピードが遅いような気がする。
早い年には5月の中旬から尻別川の畔に佇んでいるというのに・・・。


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のんびりとした時間に自宅を発ち、車を尻別川へと走らせる。
車の窓を少し開けていると、眩しい新緑の間からエゾ春セミの鳴き声が僕の耳にも届いたのだった。尻別川の水位はまだまだ高かったのかもしれない。でも、水の色はというと、釣りをするには十分なぐらいの透明度と美しさを持ち合わせていたように思う。
峠を下りながら目にする喜茂別川の白く荒々しい流れは、雪代流入がまだ終わってはいないということを僕に明確に告げていたのだった。


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蘭越町の小南部川合流下、豊国橋の上流、それに昆布エリアといくつかのめぼしいポイントを、あわただしく巡る。午後の太陽は、相変わらず僕の頭上から眩しく照りつけていた。
この日はMeiserの13フィート6インチ、#6番のHighlander-Sロッドに、AFSの#7/8、
Type4シューティングヘッドの組み合わせ。
雪代の収まりきっていないトルクフルな流れにウェーディングしながらゆっくりと足元に注意を払いつつ釣り下っていく。鱒は流れの緩やかになったエリアにいるのだろうか。そう思いながらも、コツコツとスイングするフライに時折小さなバイトはあるけれど、思わずドキリとするような鱒とのコンタクトにまでは至らなかった。


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最後に訪れた昆布エリアの第3セクション。本流の流れは昨年の流れとは少し変わっていて、手前側が幾分浅くなり、流れの筋が対岸側へとシフトしていた。
コーンヘッド仕様の黒とオレンジのマラブーをミックスしたチューブフライをゆっくりとスイングさせて、少しの間流れの中でステイさせる。グゥーンとランニングラインに負荷ががかり、やがて鱒の躍動感が遅れて僕の指先に伝わってきた。でも、それはなかなか長続きはしなかった。きっとしっかりとフッキングしなかったのだろう。これまでにも同じような経験は幾度となくある。まぁ、こればかりは仕方がないことなのだろう。巡り会わせが悪かったのだと自分に言い聞かせる。今年になって僕が最初に出会う本流のレインボーだったかもしれないのだが・・・。
ふと見上げると6月の太陽が随分と本流に近いところで輝いていた。
今シーズン、幾度となくこの風景を目にするんだろうなぁと僕は思った。


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by d-yun5-fly-elise | 2010-06-03 22:11 | spey fishing | Comments(0)
2010年 06月 01日

<Vol.760> 北大島(朱鞠内湖)で過ごした12時間

今日のBGM : Bobby Hutcherson / Tranquillity
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渡船の出船予定時刻は朝の7時。
迎えの船がやってくるのは、陽もどっぷりと暮れた19時半頃の予定。
「Yunさん、居残り組み希望ですか?ちょっと迎えにいくのが遅くなりますけれど」
朱鞠内湖漁協の中野さんは、ちょっと申し訳なさそうにそう僕に告げた。

僕にとっては決して悪い話ではないし、むしろ歓迎すべき話だった。
トータルすると計12時間。ほぼ半日に渡って朱鞠内湖に浮かぶ北大島で過ごす事になる。
家を発つ時にはもしものことを考えて、車のカーゴルームに寝袋などのお泊りセットを無造作に積み込んできたから、まぁ、いざとなれば夜空に浮かぶ星達を眺めながら朱鞠内湖の湖畔で車中泊するという手もあるのだから。


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気温はグッと冷え込んでいた。
朝日に照らされて夜露がキラキラと星達のように輝いていた日曜日の朝、朱鞠内湖の前浜の駐車スペースには、すでに沢山の釣り人を乗せてきた車が止まっていた。
早朝から期待をこめてロッドを振る釣り人、仲間同士で楽しげに談笑するはるばる遠方からこの地を訪れた釣り人、のんびりとゴムボートをコンプレッサーで膨らませる釣り人、ブルブルと冷気で身体を震わせる僕だってその中の一人。


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先週よりもさらに水位の上がった満水状態の朱鞠内湖だった。
幾分湖水の色は落ち着き始めてはいるものの、それでも透明度は決して高いとはいえない。

予定通りの時刻に出航し、北大島に渡ると岸際で無数のユスリカのハッチが続く。
阿寒湖とは違ってもちろんそれに対する鱒のライズなんて見当たらない。
ただ岸際を泳いでいくワカサギ達の小さな群れを目にすると、もしかするとという期待が僕の中で少し膨らんだ。水温もそれほど冷たくはない。


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時折南寄りの微風が吹くとはいえ、午前中はほとんど無風に近かった。
鏡のような湖面が空の青さをどこまでも映し出していた。
朱鞠内湖でボートを浮かべたりすることがなかった僕にとって、渡船サービスが始まって北大島に渡れるようになってからというもの、この景色を見るのは本当に楽しみの一つになっている。特に晴れ渡った日には、コントラストの鮮やかな美しい景色が、たとえ鱒に出会えなかったとしても、この地を訪れる釣り人にささやかの贈り物としてプレゼントされるのだろう。

この日もMeiserのMKS、14フィート#6/7番のロッドで一日を通した。
午前中はAFSの#7/8Hover改をボディにティップはType3を繋ぐ。
1Xのテーパーリーダーの先に結んだオーソドックスな#4番フックに巻いたオリーブゾンカーを最初に見つけてくれたのは、ワカサギを飽食したのかなかなかグラマラスでちょっとあどけない目をした小顔のアメマス。
僕に後志利別川のアメマスを思い出させてくれるようなグッドプロポーション。
シューティングヘッドがトップガイドを通過する少し前の出会いだった。


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                      photo by Mr.suka


少し早目のランチの後、ウェーディングジャケットのフードを深くかぶり、眩しい日差しをお気に入りのコットン地のハットで遮って、湖岸で2時間ほど気を失ったかのように眠りに落ちてしまった。
気持ちの良い眠りの中で夢を見た。夢の内容はすっかり忘れてしまったけれど、悪い内容の夢ではなかったように思う。
風が吹く気配で目が覚めた。小さな波の音。
ティップをType3から透明のType1に換えた。


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                      photo by Mr.suka


何の前触れもなく、まるで根掛りのようなグゥンという衝撃がランニングラインをリトリーブする指先に伝わったのは、やはりシューティングヘッドがトップガイドを通過する少し前。ゆっくりとラインが何のお構いもなしに右へと移動していく。時刻は夕方の4時近く。
やがてそのラインの移動が止まると、大きな振幅のヘッドシェイクにシンクロしてロッド全体が大きくしなり始めた。MarquisのSalmon No.1から何度もラインを引き出していったのはトルクフルな力強さを持ち合わせた中型のイトウ(Taimen)。
朱鞠内湖でイトウに出会うのは一年ぶりだろうか。
傾き始めた太陽の日差しを浴びて、その風格のある魚体は金属質に鈍く輝いていた。


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イトウの顎から、僕が巻いたちっぽけでオーソドックスなオリーブゾンカーを外し、湖水の中へとその姿が消えていくのを見届ける。
不思議な安堵感。少し波立ち始めた朱鞠内湖の湖面。
僕の腕にはイトウらしいトルクフルな力強さの感触がまだ残っていた。


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これまでイブニングまで朱鞠内湖で釣りをしたことはほとんどなかった。
でも、今日だけは別。僕に与えられたフィッシングタイムはたっぷりと日没まで。
迎えの船が来るまでにはまだまだ時間がある。

今日はひとつ、是非ともフィールドで試したいフライがあった。
ホワイト、イエロー、ライトオリーブなどのPseudo hairをテイルとウィングにあしらったイントルーダータイプのフライ。
敢えてフライの上下はつけず、全体を覆うようにフンワリとくるんでみた。


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やっぱり気に入ってもらえないかなぁと半ば諦めていたころ、気温の下がり始めた外気の中でランニングラインを操る僕の指先に鈍い衝撃が訪れた。
それはイトウとはまたちょっと違う躍動感だった。
まるで湖水の色を映し出したかのような淡いモスグリーンの背中。
僕にとっては悪くないサイズとも言える50半ばのアメマスだった。
サイズはともかく、新しく巻いたフライを気に入ってもらえただけで嬉しかった。

沈む太陽がゆっくりと山の稜線に消えていく。
12時間という朱鞠内湖の北大島で過ごした一日が終わろうとしていた。
満足感と疲労感とがマーブル状に僕の中で入り混じっていた。
でも、今日はきっと遅くなりそうだけれども、無事に家まで辿り着けそうな気がした。

P.S.レークハウスしゅまりないで戴いたシェフのおまかせ丼、なかなか美味しかったなぁ。


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by d-yun5-fly-elise | 2010-06-01 02:15 | spey fishing | Comments(6)