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2008年 08月 26日

<Vol.603> late summer cherry

今日のBGM : Billie Holiday / Until the real thing
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コオロギ達の羽根の音がそば畑横のあぜ道でせつなく鳴り響き、ナナカマドの実は赤く色付き始めていた。
すっかりと黄金色に輝くふかふかの絨毯になるまでにはもう少し時間の掛かりそうな田んぼの稲穂が微かに秋の気配が漂い始めた風に吹かれてゆっくりと揺らいでいて、その上を赤とんぼが数匹ひとまわりふたまわりと何か探し物でもするかのように旋回していた。
久しぶりにゆっくりとした時間に家を出て、いつものお気に入りの本流に車を走らせる。


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いつもの第1セクションから誰もない尻別川を釣り下る。
水位は今年僕が見たなかで最も低いのかもしれない。
しかし、ゴアウェーダー越しに感じる本流の冷たさはそれ程悪くない感じ。
でも、そろそろネオプレーンのウェーダーを準備しておくことも必要かもと思う。
カスタムしたBoronⅡxの感触を確かめる間もなく、釣り下り始めて3投目にゴンときた。
でも、残念ながら今日のお相手はすっかりと色付き始めた鼻曲がりのサクラマス。
たまたまとはいえ僕が婚姻色が出始めたサクラマスに出会うのは初めてのことだ。
グッと曲がり太くなった鼻先、それにしゃくれた顎。
それにしても、なんてカッコイイんだろう、とフックをフォーセップで外す前に少しの間だけじっくりと眺めさせてもらった。
確かこんなグッとカーブする鼻曲がりの鱒を以前TVの釣り番組で見た事がある。確かロシアのオホーツクを流れる川を遡上するシルバーサーモンだっただろうか。


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カッコイイのは鼻曲がりだけではなかった。
尾びれの下側にまるで細い筆でなぞったようなスーッと走る1本の赤いライン。
まるで鮮血のような鮮やかさで浮かび上がっていた。
そんな"late summer cherry"がゆっくりと流れに戻って行くのを微かな秋の気配を感じながら見届けた。


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不思議なものでいつもと何ら変わりない第2セクションの風景なのだけれど、なぜかこの日は少し違った気持ちでこの流れを眺めていたのかもしれない。
きっとそれはtommyさんの出会った素晴らしい鱒の印象が僕の記憶に強く焼きついていたのだからかもしれない。
もちろんこんな僕が流すフライにとびっきりのサプライズは起こるはずもないのだけれども、でも、この流れはもちろんのこと、ここに棲む鱒を含めたすべての生き物たちを大切にしたいなぁと思いながら本流をあとにした。


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by d-yun5-fly-elise | 2008-08-26 22:38 | spey fishing | Comments(16)
2008年 08月 24日

<Vol.602> 夏は何処へ

今日のBGM : Joao Gilberto / O Pato
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                   original photo by Mr.ABU


まるで遠いどこかに夏の空を置き忘れてきたかのような十勝の空。
ときおり雲の隙間から頼りない日差しはさし込むのだけれども、道東の本流を吹き抜けていく風にはすでに秋の気配が漂い始めていた。
風音に混じって、どことなく物寂しい雰囲気があたりを包み込む。
雨も振っていないのに、僕はくたびれたヨレヨレのゴアテックスのSSTジャケットを羽織った。
バリバリバリとMarquis Salmon No.1のクリック音がリールからラインを引き出すと、肌寒い空気に遠くまでじんわりと染み込んでいった。
日勝峠の寒暖計の表示は確か5℃だったと思う。
このところの北の大地は、お盆を過ぎてから気温が季節外れなぐらいに下がっているんだ。


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清水町の橋の上から中流域らしくクネクネと蛇行しながら流れる十勝川を覗き込むと、それほど水色は悪くなかったように見えたのだけれど、すっかりと準備を終えて近くまで行ってみると、まるで上にのっかったアイスクリームが少しずつ溶け始めたクリームソーダを少し薄めたような色合いの本流が僕らの前に佇んでいた。やはり数日前に雨の影響が出ているのかもしれない。

橋のたもとに車を駐車して、ABUさんと生い茂るブッシュが背丈近くまで伸びた河川敷を釣り人の古い踏み跡を頼りに新しいポイントを探して彷徨った。
それにしても7月初旬のあの鱒たちはいったいどこに行ってしまったんだろうと思えてしまうぐらい十勝川の鱒たちからのリアクションは予想以上に乏しかったように思う。
それでも一度だけType6のティップの先に繋がるフライがトルクの強い速い流れをスイングしている時に、ゴンとフライがラインとともに手もとから引っ手繰られた。
少しずつ今日は厳しいかもと期待感が薄れ始めていた時だっただけに、ちょっと嬉しい出会いだったのけれど、でも残念ながらやり取りの最中にフック・アウト。鱒の顎からフライが外れてしまった。水面下に映るオレンジ色のレッドバンドを僕の脳裏にしっかりと焼き付けてその鱒は十勝川の流れに戻っていった。

川底の石をひっくり返すとヒゲナガのラーバがまだ夏は終わっていないよといわんばかりに沢山うごめいていた。
石を元の場所に戻し、川岸に腰を下ろして、ヒゲナガのシーズンのイブニングを迎えたこの本流の光景を想像してみる。きっと釣り人ならば誰しもがワクワクするような光景がそこには広がっているに違いないと僕には思えた。
北の大地の短い夏は、そろそろ終わりを迎えようとしていた。


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by d-yun5-fly-elise | 2008-08-24 20:02 | spey fishing | Comments(10)
2008年 08月 17日

<Vol.601> 潮の香りじゃない香り

今日のBGM : Everything But The Girl / Before Today
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激しいスコールのような雨が過ぎ去ると、今度は夏らしい強い西日が僕らに照りつけた。
それにしても北からの風がめっぽう強い。オホーツクの海岸に広がる砂浜の上を歩いていると、まるでサハラ砂漠にでも迷い込んで猛烈な砂嵐に遭遇してしまったような気分にさせられてしまう。
パチパチと細かい砂粒がレインジャケットに当たり、前を歩く友人のシルエットがそんな強い風にたっぷりと含まれた砂で曖昧なものになった。
そんな訳で、午後のオホーツクの海岸で結局僕らはうねる白波の間に鱒の姿を見つけ出し、ロッドを振れるという状況に恵まれなかった次第。


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土曜日の早朝は、まだ状況は釣りをするには良かったのかもしれない。
深夜に札幌を発ったはずなのに、僕らが長い道のりを経てオホーツクの海岸に辿り着いた時には、すでにオホーツクの海では大勢の釣り人がそれぞれのスタイルでロッドを振っていた。
オホーツク海へと注ぐ小さな川の河口から少し離れた場所でロッドを振る事にする。川から流れ出す真水が潮の加減で海岸線に沿いながら走っているせいか、これから遡上しようとするカラフトマスの群が偏光グラス越しに水面下にたくさん見えた。ギラっ、ギラっと。ほんの目と鼻の先のブレークライン沿いにである。
潮周りのせいなのだろうか、それにしても岸際に打ち寄せられた海藻類の塊が一面に浮遊していて、とにかく釣り辛かったのは確かである。キャストの度にラインやフライに引っ掛かってくる海藻の多さに僕はうんざりするしかなかったし、もしも気付かないうちにラインバスケットからランニングラインがはみ出していようものなら、ラインを絡み取られた巨大な海藻類の塊を目の前にして、少なくとも10分以上は目の前をいくら沢山のカラフトマスが泳いでいようとも僕は釣りを断念しなければならなかった。
そんな状況だからもちろんアンカーは打つことが出来ず、やむなくAFSのフローティングラインでオーバーヘッドキャストをすることにする。


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                  original photo by Mr.ABU


ラインやフライと絡みあった海藻類の巨大な塊と格闘したり、カラフトマスとロッドを通じてニヤニヤしながらやりとりしつつも、僕はずっとフィールドに漂うある香りというか匂いが気になっていた。それはいつもショアからのカラフトマスやサーモンの釣りのシーズンになるとフィールドで鼻につく匂いであり、いわゆる磯の香りというものでもない。そしてこの日はフィールドに着いた時から海岸一面にその匂いが漂っていた。
今年初めて出会ったカラフトマスの口からフックを外し、僕とのやり取りでぐったりと疲れ果てた鱒がゆっくりと体力を回復し海へと戻るのを見届け、そして海中で少しの間鱒を支えていた僕の手に残った鱒の匂いで、僕ははっと気が付いた。つまり僕がずっと気になっていたあの上手く表現し難い鼻をつく匂いは、つまり海の鱒やサーモンの体から放たれる匂いだということを。
それは淡水域で鱒に触れた時に手に残る匂いやランディングネットに残る鱒の匂いとも異なる匂いである。とてもあっさりとした淡白な匂いとも言えるだろうか。
お盆の網あげで一斉に岸寄りした鱒たち、砂浜の上をランディングされた銀鱗の鱒たちが激しく跳ねる。きっとそんな時に海の鱒のあのなんとも表現し難い体の匂いが砂浜一面に擦りつけられるのだろう。でも、個人的にはあまり好きな匂いじゃなかったりする。なぜなら、どうしても僕の記憶の中でショアからのカラフトマスやサーモン釣りの時のあの殺伐としたイメージとが二重写しのように重なってしまうから。


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カラフトマスの疾走とともに、Hardyのクリック式のリールがけたたましい逆回転音を奏でる。
いつの間にか気が付かないうちに潮の加減で目の前の岸際に浮遊していたおびただしい海藻の帯は少し薄くなっていたようだ。相変わらずカラフトマス達はほんのすぐ目の前のブレークライン沿いを泳いでいく。波が少し立ち始めたのもあるが、ラインをフローティングから湖仕様のSTSのSIのボディにType3のティップというシステムに変えてみる。相変わらず立ち込めないし、アンカーを打つと砂浜にフライをチップさせてしまうので、ほとんどロッドに対してオーバーウェイトのラインでオーバーヘッドキャストをしていた。
でもどうやらラインを交換したのが功を奏したのだろうか。理由はまるでさっぱりわからないが、これを機に何尾かのカラフトマスのスピード感溢れる疾走を存分に楽しめたように思う。それにしても#7番のツーハンドロッドにクリック式のリールでも何とかなるものである。でも、残念ながらスレ掛りの場合はどうすることも出来ない状況に陥ってしまうのだが・・・。

それにしても、僕はもう少しシステマチックにフライを管理しないといけないと思ってしまった。
今年はこれまでに巻いて余っていた赤やピンク、それにオレンジといったこのシーズンに多用するフライに少し手を加えて使っているのだけれど、これまではウェイトの入ったフライとそうでないフライとをスレッドの色を変えて一目でわかるようにしていたのだけれども、今シーズン少し横着をして手を加えたフライは全部黒のスレッドにしたものだから、ウエイトが入っているのかどうかさっぱりわからなくなってしまった。相変わらずものぐさだなぁと自分でも笑ってしまう。

午後の空に広がるオホーツクの短い夏の青空、きっと今度僕がこの青空とどこまでも広がる海を眺めることが出来るのはおそらくサーモンが岸寄りし始めるOSJの頃だろうか。きっと秋の気配が感じ始められるに違いない。


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by d-yun5-fly-elise | 2008-08-17 21:25 | salmon fishing | Comments(15)
2008年 08月 12日

<Vol.600> オホーツクの夏の空

今日のBGM : The Durutti Column / NINA
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冷たい北東からの潮風が僕の周りを吹き抜けていく。
濃いグレーの厚い雲が空を覆い、沖合いの白波はどこまでも果てしなく広がっていた。
アスファルトのところどころは雨で濡れ、北の大地の最北端の街へと続く国道脇の低い潅木の緑の葉は強い風に吹かれて大きく揺らめいていた。
友人達と訪れた一年振りに訪れる早朝のオホーツクの海、そこにはどこを捜しても僕がカラフトマス釣りでイメージする暑い夏の空は存在していなかった。

気温はまるで秋の終わりを感じさせるような10℃台前半。
寒い寒いと言って慌てて車へと戻り、くたびれたヨレヨレのSSTジャケットを着込む。
どうやら土曜日の早朝のオホーツクの海は、あまり僕らを歓迎していないようだった。


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釣りが出来そうなポイントを探して僕らはオホーツクの海岸沿いを走る国道を彷徨う。
そんな僕らが最後に辿り着いたのは小さな川が流れ込む誰もいない海岸だった。
八つの目が周りから見れば滑稽なぐらいに前かがみになって波打ち際を凝視する。
不思議なことだけれど、僕にはそんな鱒の姿を波間に探す時間がとても濃厚で凝縮された時間のように感じられるし、何か宝物でも探し当てるようなワクワクする時間のようにも感じられる。もちろん仮に鱒の姿を運良く見つけたからといって、それがすぐに夏の釣りの風物詩のようなカラフトマスに出会えるということに直結するわけではないということは百も承知ではあるが・・・。
突然、流れ込みの右側で打ち寄せる波と波の間に不自然な波紋が広がった。
そんな波紋が連鎖的に広がっていく。
僕の目にも波間をカラフトマスが横切っていく姿がはっきりと視認出来た。

「アッ」という驚きと落胆とが複雑に交じり合った友人の声が海岸に響いたのは、僕がカラフトマスの姿を確認してから間もなくの事。
オホーツクの空を覆っていた厚い雲は北東の強い風に吹かれて、やがてその姿を消し、ふと気がつくと僕らの頭上に夏らしい青空が夏らしい日差しとともにその姿をあらわしていた。


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この日のためにと実は新しいラインを新調していた。
Rio社のAFS、フローティング 7/8と8/9である。
7/8はSageのZ-Axis 13'6" #7 用であり、8/9はWinstonのBoronⅡx 14' #8/9 用にと考えていた。個人的には視認性が良いと思われるスティールヘッド・オレンジのカラーを希望していたのだけれども、残念ながらショップに届いたのはイエローと先端が淡いオリーブ・グリーンのツートンカラーの先行モデルの方であり、しばらく待つことも考えたが、次の入荷はいつになるかわからないとのことだったので仕方なく、あまり気乗りしなかったがこちらの方で我慢することにする。
ロッドを通した新しいラインのキャストフィールは悪くなかったと思うが、視認性のことを考えるとやっぱりもう少し待てばよかったかなぁとも思う。
そんな訳で、今年のオホーツクや知床のカラフトマスシーズン、それにOSJではこのラインでスペイキャストを楽しみたいと思っている。もちろんフィールドの混み具合を考慮に入れながらではあるが・・・。


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僕の指先にモゾっという違和感が消えるか消えないかのうちにカラフトマスの躍動感が訪れたのは、午後の日差しが眩しい時間帯だったと思う。
Z-Axisのロッドがバット近くからグンニャリと曲がり、赤いフライを咥えた鱒の疾走とともにラインが海面を一直線に切り裂いていった。
余っていたランニングラインを慌ててリールに巻き込む。
やがて静止した躍動感が訪れると、フッとロッドとラインからテンションを失ってしまった。
フックセットが甘かったのか、それともバーブレスのフックが原因なのかはまったくもって分からずじまいだけれど、何はともあれ今年の夏の風物詩の感触を束の間だったけれど楽しめただけでも運が良かったのかもしれない。

やがて太陽が傾き始めると、確かにカラフトマスの群が岸寄りし始めたのかもしれない。
空のブルーが海面に映し出される黄昏時になっても、やっぱり僕のロッドにこれ以上さらにカラフトマスの躍動感が訪れることはなかった。


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↑の写真は最初に立ち寄った漁港脇の小さな流れ込みで偶発的に出会ってしまったサクラマス。なぜかその魚体はかなり痩せていたうえに、さらにスレ掛りであったものだから、彼女にはとても悪いことをしたように思う(追記)。

by d-yun5-fly-elise | 2008-08-12 15:35 | salmon fishing | Comments(2)
2008年 08月 05日

<Vol.599> プロダクションモデルを自分好みにカスタムする

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不思議なものであるが、それは確かなものでもある。
どうやら、話が唐突過ぎたのかもしれない。
これは僕が所有しているプロダクションモデルのロッドについての話である。
つまり、そのロッドのアクションというかラインを通したキャストフィールはこの上なく心地が良くて、ロッドとしての機能はフィールドで充分に果たしているのだけれども、どこか一ヶ所でもコスメというか仕上がりの部分でそのロッドに気に入らなかったり、納得がいかない部分があったりすると、僕はだんだんとそのロッドをフィールドで繋がなくなる傾向があるようだ。
そして、やむなくフィールドでそのロッドを繋がなければならない状況におかれても、どこか尿意を我慢しながら、いかにもというプールを目の前にして釣りをしたりする時に感じるような、何となくしっくりとこない、せわしなくて落ち着かない釣りを強いられてしまう。
だから僕は出来ればフィールドではたとえ鱒に出会えなくても、自分好みのお気に入りのロッドで是非とも釣りを楽しみたいと常々思っている。

生涯保障の件もあるから、プロダクションモデルに手を加えるということには、もしかしたらかなりの勇気がいることなのかもしれない。きっとプロダクションモデルにはプロダクションモデルなりのトータル的なバランスというか美しさを兼ね備えているのだろう。
でも、僕は何かを我慢しながら、せっかくの釣りの時間を過ごす事なんて、まっぴら御免だとも考えている。
だから以前から気になっていた手元にある2本のプロダクションモデルをKawasemiのエビさんにお願いして、自分好みにカスタムしてもらうことにした。


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まず、1本目はWinstonのBoronⅡx 14' #8/9。
いわゆるブランクが醸し出す奥の深いウィンストン・グリーンが美しいロッドであり、さらにこのロッドは軽量でスペイもオーバーヘッドも無難にこなしてくれるオールマイティなロッドだと僕は評価している。
でも、僕はあのカーボン調のリールシートとグリップエンドのシェイプだけはどうしても許せなかった。個人的にはまったくもって美しくないとしか感じられない。どうしてWinston社は、せめてシングルハンドと同様にリールシートをウッドとカーボンのどちらかを選択出来るぐらいにしておいてくれなかったのか、とさえ思えてしまう。こればかりは個人的な意見なのだが・・・。


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リールシートに関しては、加藤毛ばり店さんから取り寄せて、ニッケルシルバー仕様のStrubleのU-26(ウッドはウォールナット)とした。グリップエンドは前回カスタムしたSage Z-Axisと同様に佐々野釣具店さんにお願いして赤のラバーエンドとアルミエンドにする。今回は同サイズの黒のラバーエンドも注文したので、その日の気分で赤と黒のどちらかを選んでみようかなと思っている。
グリップに関しては、リアはDBFのように女性のボディラインをイメージするような握りやすいシェイプに(友人の一人は昔のコカコーラのボトルみたなシェイプだねとも言うが、あれはあれで機能的に握りやすく美しい普遍的なデザインだったと僕は思っている)、フロントはエビさんのアドバイスもあってワインディングチェックの部分は残すことにし、全体的にかなり細めにグリップを削ってもらった。
おそらく新しいBoronⅡx、再デビューはオホーツクの海になりそうな予感である。
去年と同様にカラフトマスのスピード感溢れる疾走でこのロッドが美しいカーブを描いてくれると良いのだが・・・。


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次に、2本目はScottのARC 15' #10である。
このロッドのことを思うと、僕はついこめかみあたりが痛くなってしまう。
何しろ10年程前に僕が最初に手に入れたツーハンドロッドだったし、無骨さと何の飾りっ気もない質素なコスメ、それにトルクの強いMedium-fast寄りのアクションといい僕はとても気に入ってフィールドで使っていた。
確か最初にこのロッドでやり取りした鱒はサハリンのシーマだったと思う。海アメ、海サクラ、海サーモンと、とにかく良くフィールドでは使ったし、おまけに最初にスペイキャストを覚えたのもこのロッドだったりもする。

きっと僕はフライのフックを一番下のガイドのブリッジの部分かリールのどこかに引っ掛けるべきだったのだろう。
ついつい横着してフロントグリップのコルクの先端にフライのフックを引っ掛けていたものだから、いつの間にか気が付いた時には、時すでに遅しである。フロントグリップの先端のコルクはまるで虫歯のように片側がボロボロに欠けてしまっていた。
そんなコルクの先端をフィールドで見る度に僕は胸のあたりがほんの少し痛んだのだった。
本当はこのロッドはカスタムせずにフロントグリップの先端のコルクだけを交換すれば話は済んだのかもしれない。
でもこのロッド、やはり時代の流れというか僕の好みからは少しずつ外れていっているような気がしていた。ほぼストレートで太めのフロントグリップ、それに握りにくいグリップエンド。やはり、いっそのことグリップやリールシートなどすべてをカスタムしてみる事にした。

それにしてもScottのARCはブランクの径が予想以上に太いのである。
個人的にはStrubleのウッドのリールシートが希望であったのだが、あまりにも径が太くてどのリールシートのウッドの内径にもブランクが入りきらなかった。
選択肢としてはStrubleのU-28というブラックアルミのリールシートしか残されていなかったのだけれども、偶然エビさんのお店に置いてあった何かのコピーモデルのローズウッドとアルミリングのリールシートの内径がうまく収まったものだからそれを使うことに、グリップエンドはサーフェイスさんからスペイドッグの古いHardyのツーハンドロッドを彷彿させるようなアルミとラバーのグリップエンドを取り寄せてあしらってみることにした。
フロントグリップはMeiser並みに先端を限りなく細くシェイプしてもらう。この方が僕はとにかく握りやすいし、上手に無駄な力が入らないような気がしている。
本当はニッケルシルバーのワインディングチェックでギュッと全体を引き締めるように飾りたかったのだけれど、やはりこのブランクの太い径が災いして、黒いラバーのワインディングチェックしか使えなかったのがほんの少し心残りだけれど、いろんな可能性を調べたつもりだから僕自身としては納得している。

きっとこの新しいARCもオホーツクのOSJの会場が再デビューのフィールドとなるのだろう。
今年もこのロッドでロシアからやってくるブルーのアイラインが美しいシルバーに輝くサーモンに出会えると良いのだけれども・・・。


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by d-yun5-fly-elise | 2008-08-05 23:00 | Custom Spey Rod | Comments(12)
2008年 08月 04日

<Vol.598> Yellow flower

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黄色い花弁の美しい花。
そんな花がたった2輪だけ小雨が降る十勝川の川岸でひっそりと咲いていた。
今年になって訪れ始めた夏の十勝川。
広がる川原には赤紫や薄いピンク、それに藤色、白、黄色といった様々な色合いの名も知れぬ花が咲いているのだけれども、なぜかこの黄色い花弁の花を僕が見たのははじめてだったような気がする。
午後の小雨が降る十勝川の川原で、この花は周囲の中で一際目立つように咲いていた。
そんな黄色い花弁の花を見つめながら、僕は僕が巻くフライのことについて考えていた。
なぜそんなことを考えたのかは分からない、でも僕が頭の中でこれまでに巻いた無数のフライ達の事について考えていた事はまぎれもない事実だったりもする。


僕はたいていの場合フィールドに足を運ぶ前日の夜に何本かのフライを巻き足す事が多い。
プラスティックやアルミ製のフライボックスをおもむろに開けると、そこには明日の釣りにはまったく事欠かないぐらいのフライ達が並んでいるのだけれども、僕の心理的な強迫性というか、ある種の屈折した用心深さのようなものが災いして、ついつい同じ様なフライを巻き足してしまいがちなのである。でも、この行為はある意味僕の不安や過度の期待を鎮める効果もあるようだから、もちろんすべてを否定しているつもりもない。
そんな僕はフライボックスに並んだ、それぞれに気持ちを込めて巻いたフライ達を眺めながら、時々ふと思うことがある。
色といい、形といいほとんど同じで差異のないフライ達、でもそれぞれ一つ一つはすべて異なった運命を辿るのではないのだろうかって。
あるものはもしかしたら上手く大きな鱒を魅了して、僕のお気に入りの木製のフライボックスに記念として収まる事もあるだろうし、あるものは僕がフライボックスから取り出した後、たまたま不注意でアイにティペットを通される事もなく手の平からポロっと滑り落ちて、そのまま川底に沈んでいくものもあったりする。またあるものは対岸に向けてキャストした時にちょっと距離を出し過ぎて、そのまま対岸に木の枝にイヤリングのようにぶら下がったままになったりするのもあるし、それにあるものは一度も鱒に出会うこともなく対岸の沈み石にガッチリとくい込んで、そのまま川底のゴミと化す事もあるかもしれない。でも不思議と、それは僕が本流でいつも2.5号のフロロカーボンをティペットに使うからなのかもしれないが、記憶の中では一度たりとも大きな鱒と共にラインブレイクというものを経験していないと思う。
フックのゲイプが伸びて、何度もフォーセップでフックの曲がりを修正している内に、いつの間にかゲイプの途中でフックが折れてしまっていたり、根掛りを繰り返して曲がったポイントをシャープナーで砥いでいるうちに、どんどんとポイントが短くなったフライなど、本当にそれぞれのフライが辿る運命というものは様々なのである。

それにしてもどうしてこんなことを考えたのだろうか。
それは十勝の川原で見た黄色い花弁の花が僕にそうさせたのかもしれないし、もしかしたら湿度の高い十勝川の不快指数が僕にそうさせたのかもしれないのだけれども、結局のところ最後まで僕にはどうしてそんな心境になったのかわからなかったのだ。


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by d-yun5-fly-elise | 2008-08-04 22:37 | slow fishing | Comments(11)
2008年 08月 03日

<Vol.597> リズムの乱れとRainyな十勝の空

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それにしてもどういうことだろうか。
きっとここならと期待し、頭の中でしっかりとイメージを膨らませていたポイントで、僕の流すフライに十勝川の鱒からのリアクションがまったく訪れなかったりすると、僕はすっかり何かしらのリズムのようなものを乱してしまうようだ。
おまけにグゥンとアタリがあって、よしこれはとニヤッとしても、それも束の間なかなかラインを通じて鱒の躍動感のようなものがそれ以上は続かず、どうしたものかとスペイラインの先に続くフライをおそるおそるチェックするとティペットがフライのゲイプに絡まっていたりして、僕の口からは思わず溜息がこぼれてしまう。
ペースが乱れるというか、リズムが乱れるというか、歯の隙間にでも何かが詰まったような何とも言えない違和感のようなもの感じ続けた土曜日の朝だった。
もしかしたら不快指数がうなぎ昇りの十勝の雨空がそうさせるのかもしれない。
偏光グラスの内側は膜が張ったように曇り、下着のTシャツは汗でどんどんと重くなりその存在感を増していった。


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車から降りると、雨上がりのムッとした湿度の高いはっきりとした存在感を持った重たい空気が僕らに纏わりつく。
時折ミスト状の小雨が降る十勝川の清水町エリアを僕らは彷徨った。
どんよりとした十勝の空は動きを失ったかのように一日を通して僕らの頭上に存在し続けた。

少し流れは数週間前よりも遅くなったように感じらるが、相変わらず速いことに変わりはない。
Type8のティップの先に結んだビーズヘッド仕様の黒いウーリーはナチュラル・ドリフト中に一度たりとも川底とコンタクトしなかったように思う。
何かしらのきっかけがもしかしたら少し自分なりのペースというかリズムを取り戻す契機になるのではと、これまで訪れた事がないポイントに積極的に足を向けることにした。
鱒はきっとかなりのハードな藪こきをしないと辿り着けないような対岸の流れの緩い適度な深みのある脇や、ストラクチャー周りにいるのかもしれない。
そんな流れにタイトにフライを送り込むのだけれども、時折訪れるゴンという一瞬ドキッとするようなバイトにも、どうもフライのスイングスピードが速すぎるのか、鱒はフライをテイクしきれなかったようだった。


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フライが流れを横切り、スイングスピードが遅くなり始めると時折あどけない表情のレインボーが顔を出してくれた。それにしても僕が流すフライに対して申し訳ないぐらいに小さなサイズであり、きっとこのフックは彼らに多大なダメージを与えているんだろうなぁと思いながら、そっと流れに戻す。
やがて雨足が早くなりはじめた。
湿度の高い十勝の空気はその存在感を薄めるということはなかったし、僕の被るコットン地の淡いベージュ色の帽子は十勝に降る雨がジワーっと染み込み、ますますその重さを増していったのだった。

雨に濡れて少し冷えた僕の身体、今日はMr.horiお勧めの清水町の「有楽町」というホルモン屋さんの特製味噌のホルモン鍋で暖めることにしよう。
きっとまたいつものリズムが取り戻せるかもしれないから。


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by d-yun5-fly-elise | 2008-08-03 23:50 | spey fishing | Comments(14)