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2006年 07月 30日

<Vol.307>dance, dance, dance

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キラッ、キラッ、キラッと本流の流れの中で小さな魚がその銀鱗をくねらせ、真夏の太陽の光を浴びながら眩しいぐらいにきらめく。まるで何かの心地良いリズムでも刻むかのように。

本流の畔の樹木の葉はカサカサと夏の風に吹かれて乾いた音をたて、まるで早いピッチのマラカスの音のようにも響いてくる。

水面は頭上の太陽の光を浴びて、さながらミラーボールのように乱反射しながら黄金色に輝き、それはそれはまるで僕をスローなダンスにでも誘っているかのような雰囲気だった。
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不思議と気分が良かった。相変わらず今日も僕が釣りの準備を終えて本流に向かおうとしている時に、待っていましたとばかりにローカル列車が僕の目の前をゆっくりと通り過ぎていったにもかかわらず。ジンクスなんてどうでもよかった。それぐらい気分が良かったのだ。

まだほんのりと冷たさの残る本流は上流から吹く夏の風に包まれている。シングルスペイでは苦手な風だ。それでも風の合間をぬって、いつもよりもことさらゆっくりとロッドを振った。心地良いリズムに誘われるかのように。一度だけレッド・ティップ・ガバナーのバリエーションに鱒のバイトがあった。一度だけ。

やはり、真夏の日中の釣りは難しい。それでも僕は心の中でスローなダンスを踊っていた。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-07-30 22:37 | spey fishing | Comments(7)
2006年 07月 29日

<vol.306>Mid-Summer

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Mid-Summer。炎天下の真夏の釣り。
何ともいえないけだるさが僕を支配する午後の太陽。

ふっと小さな溜め息が僕の口からこぼれ出る。明日は本流でスペイロッドをことさらゆっくりと振ってみよう。それもいつも以上にゆっくりと流れるタクトのように。

こんな日のBGMには出来るだけスローなテンポのBossa Novaがピッタリだ。ブラジルの海岸線に沈む黄昏の夕日でもイメージしながら風を感じよう。

by d-yun5-fly-elise | 2006-07-29 18:54 | slow fishing | Comments(6)
2006年 07月 27日

<Vol.305>railroad

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ジリジリと焼けつくような暑い夏の午後、お気に入りの本流の畔にはまるでどこまで続いていきそうな2本の鉄のレールが伸びていた。ユラユラとまるで陽炎のように向こうの森の景色が微かに揺れる。その暑さといったら、念のために羽織ったレインジャケットを脱ぎ捨てたくなるぐらいうんざりほど暑かった。

秋の紅葉が始まると、この線路にもSL蒸気機関車に引かれた列車が走る。それも景色をじっくりと味わうがごとくゆっくりと。今年もそんな蒸気機関車の懐かしい汽笛の音を本流の畔でスペイロッドを振りながら遠くから耳にする事が出来るのだろうか。

タックルの準備を済ませて小さな踏切を渡ろうとすると、突然警笛が鳴った。珍しいことに列車が通過するのだ。2両編成のローカル列車が何人かの乗客を乗せて僕の前をゆっくりと通り過ぎていった。

ジンクスというものはあまり信じない方だけれど、なぜかめったに列車の通過しないこの遮断機のない小さな踏切を僕が渡ろうとする時に待っていましたとばかりに警笛が鳴り始めると、その日は概して本流の鱒に出会えた事がない。なぜか不思議とそういう一日になってしまうのだ。しかしこの日も警笛が鳴ってしまった。嫌な予感が心の片隅をよぎる。そんなことに気を取られていてもしょうがないと思いながらも僕の心のどこかちょっぴり引っ掛かってるのも真実だったりする。

夏の青空の向こうの果てから大きな白い入道雲がモクモクと浮かび上がっていた。

by d-yun5-fly-elise | 2006-07-27 19:43 | slow fishing | Comments(8)
2006年 07月 25日

<Vol.304>elise de 本流

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午前中の仕事を終えて外に出ると、嫌になるほど日差しの強い暑い午後だった。それでも、せっかくだからとエリーゼの幌をトランクに仕舞い込んで、夏ゼミの賑やかな鳴き声を聞きながら車を本流に向けて走らせる。

羊の山の麓を走っていると、不意に牧草を刈った後の青い匂いが舞い込んだ。青い夏の匂い。どことなく懐かしさと柔らかさを感じさせる匂いなのである。そんな溢れんばかりの緑の中に1本スーっと伸びる田舎道を真夏の太陽の下ひたすらエリーゼを滑らせた。

本流は先週よりも幾分減水しているようで、恐る恐る手を流れの中に浸してもそれ程冷たいとは感じない。それにしても気持ちが良いのである。本流に吹く風は幾分強く吹いているようで、木々の葉が風にあおられて幾分白く見えるのは、僕に生い茂る葉の裏を見せているからだろう。夏の青い空と駆け足で流れる白い大きな雲。腰の上ぐらいまでウェーディングしていると先程までの暑さが嘘のように消え去っていったのだった。

Type6のティップの先には小さな黒のOSP。時折速い流れの真中で鱒の控えめなライズが見られる。それでも一度だけフライが流れに馴染んだ頃に鱒のバイトがあった。グ、グゥ、グゥ。相変わらず夏の強い風が本流に流れていた。

そういえば何度かヒゲナガが流れを横切りながら飛んで行った。きっとイブニングには釣り人がワクワクするような光景が待ち構えているのだろう。そんな事を思っていると眩しい夏の太陽が大きな白い雲に隠れて微かな闇が本流に訪れたのだった。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-07-25 22:16 | spey fishing | Comments(12)
2006年 07月 22日

<Vol.303>朝露に濡れる本流

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気分の良い日もあれば悪い日もある。
ツキのある日もあればツキのない日もある。
そんな事が繰り返される毎日。まぁ、生きているという事はそんなものなのだろう。
それでも、本流は何事もなかったかのように悠然と流れていた。

朝露に濡れる本流の空は天気予報とは違って曇り空。そんな日は、どことなく木々の緑も僕の目には優しく映るのである。
それにしても些細な事でも気掛かりな事があると、なかなか釣りには集中できないものである。誰が言ったのかは知らないけれど、釣りはメンタルな遊びだとはよく言ったものだとつくづく思う。

やっと修正出来たシングルスペイのタイミングは時間が後戻りしたかのようにバラバラ、なかなかスペイラインの先に結ばれたフライの動きに意識が集中出来ない。スローを意識しているはずが、ことさらタイミングが早まっているようだ。どうも僕自身に気持ちの余裕みたいなものが欠けている。何をやっても上手くいかなかった。それでも本流の鱒は「グゥン」と3度ほどバイトしてくれたのだけれど、僕自身の集中力が底をついているから、当然合わない。なぜか僕自身も本流の鱒に出会える気がしなくなっていた。

釣りはメンタルな遊び。本当に上手く言い当てているものだ。

それでも今日の釣りが終わりを告げようとした時になってやっと、僕は本流に盛夏の匂いのする風が吹いていることに気が付いたのだった。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-07-22 22:35 | spey fishing | Comments(8)
2006年 07月 18日

<Vol.302>大きな忘れ物

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激しい雨の合い間をかいくぐって、ようやく午後の本流に辿り着いた。パラパラと小さな雨粒が天から降り注いでくる。ムッと立ち昇ってくる大地からの熱気。でも、不思議と穏やかな午後だった。

僕がゴアのウェーダーを履いて、レインジャケットを羽織り、ピリピリと唇の周りがしびれる虫除けのローションを顔に塗って、準備万端いざロッドをセットしようとした時にはっと気が付いた。何を隠そう、大事なリールを鞄の中に入れるのを忘れたのだ。これで2度目である。僕は全身の力が抜けていくのを感じた。
ブレーキの効きが甘くなったリールという小さな存在だけれど、釣りそのものにとっては大きな忘れ物。今日の午後のお気に入りの本流での釣りは否応なしに諦めるしかなかった。

まぁ、こういう日もあるのだろう。楽しみはこの次まで取っておくのも悪くないものだ。とにかく、今日はそう思うことにした。
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                   original photo by Mr.ABU

今日のBGM:DEPECHE MODE/Personal Jesus

by d-yun5-fly-elise | 2006-07-18 18:47 | slow fishing | Comments(14)
2006年 07月 17日

<Vol.301>underhand castと余裕

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ゆったりと振られるダブルハンドのロッドと柔らかく伸びていくライン。僕の目にはそのキャストのリズムとループが、まるでセレナードの曲でも聴くかのように、静かでどこか優しいもののように映った。

初めて実際にアンダーハンドキャストというものを目にした。日曜日の話である。My Loch主催の講習会が、お気に入りの本流で開かれたのだった。インストラクターはTIEMCOの近藤氏、彼に会うのは昨年の古宇川以来である。物腰の柔らかい静かな雰囲気の漂う彼にも会いたくて、峠を越えて車を走らせた。

TIEMCOの映像やDVDではアンダーハンドキャストを何度か観ていたが、実際に見た彼のキャストはとても静かで、無駄な動きがないように思えた。疲れないキャストである。あれだけ静かなら確かに流れの中にいる鱒を神経質、いやいや臆病にさせないのかもしれない。僕の前のめりの騒がしいスペイキャストとは大違い。とにかく収穫の多い一日だった。

講習会の途中だったけれど、彼と友人達に別れを告げてひとりで本流のポイントに車を走らせる。空は一雨来そうなぐらい雲行きが怪しかった。

土曜日の本流のイブニング間近、僕の下流にいた餌釣り師は沢山のグッドサイズの鱒をキャッチしていた。こんなにもこの流れの中には鱒がいるのかと思えるくらいである。もちろん彼はすべての鱒をリリースしていたけれど、僕の方は期待に反して一向にノー・バイト。もしかしたら鱒は速い流れの底にへばりついているのかもしれない。そんな訳で日曜日はタイプ6のテッィプの先にさらに深く沈むラインを3mほど継ぎ足してみた。

「グ、ググン」突然の強い衝撃、深く沈んだいつものビーズヘッドの黒のウーリーが、速い流れを横切っている時、それは起こった。慌ててラインを手繰り寄せるが、速い流れの向こうで鱒が暴れているのが明確に分かる。そう言えばフックをバーブレスにしてから、このところめっきり余裕というものがなくなった。僕の脳裏にあのフッとテンションがなくなる感覚が焼き付いていて、どうしても不安に駆られるのである。もちろんリールの逆回転音を楽しもうなんていうゆとりさえもない。ただただ急いでラインを手繰り寄せるのである。本当に僕は何を慌てているのだろうか。

40cmぐらいの本流の流れで育ったレッドバンドの鮮やかなレインボーは岸際で何度か跳ねると自分でフックを外した後、水の中で折り重なったスペイラインの間を縫ってあっという間に流れに戻っていった。早いこと、早いこと。その素早さに僕はひとりで苦笑いしているしかなかったのである。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-07-17 19:08 | spey fishing | Comments(4)
2006年 07月 16日

<Vol.300>a day for the spey fishing

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太陽の日差しがさんさんと照りつける暑い日もあれば、ぶるぶると凍えるほどの寒い日もある。

風が強くて木々の葉がざわざわと騒がしいぐらいの日もあれば、もう少しBGMが欲しいなと思えるような風の穏やかな日もある。

鱒からのコンタクトが嬉しい悲鳴を上げるぐらい沢山ある日もあれば、どんなに手を尽くしても一向に何の返答もない日もある。

時間に追われてせわしなく釣り下る日もあれば、のんびりと気のむくままにゆっくりと釣り下る日もある。

唯一言える事は、決して同じ日は二度とは巡ってこないという事。だからそんな一日を大事にしたい。

とにかく土曜日は久しぶりに盛夏を思わせるような暑い一日だった。ゴアのウェーダー越しに感じる本流の水の冷たさを、ことさら気持ち良いと思いながら、ゆっくりと深いグリーン色のスペイロッドを携えて友人達とお気に入りの本流を釣り下った。

時々忘れかけた頃に小さな鱒からのコンタクト。大きな鱒は何処へ。盛夏の本流。

そんな事を考えていると、僕の額から、また一筋汗がスーっと流れていった。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-07-16 20:48 | spey fishing | Comments(2)
2006年 07月 13日

<Vol.299>じっくりと・・・そして高まる期待

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                  original photo by Mr.ABU

じっくりと、そして柔らかくスペイラインを強い流れになじませる。

そしてグリーンのランニングラインを摘んだ指先とロッドティップの先に全神経を集中。

ゆっくりとターンするフライが何事も無かったかのように流れを横切り僕の真下までやってきた。

ランニングラインを手探り、次のキャストに備えて、また一歩ステップダウン。

そしてキャスト。

ただ、ただ、その繰り返し。繰り返し・・・。


僕の中で次の瞬間には何か起こるのではという期待がまるで振り子のように行ったり来たり。

そんな心の針のゆっくりとした振幅が不思議と心地良かったりする。


ふと下流を見ると、友人が木のトンネンルの下でゆったりとスペイロッドを振っていた。

それもいっそうゆったりと。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-07-13 19:46 | slow fishing | Comments(2)
2006年 07月 11日

<Vol.298>馬鈴薯の花と細かい雨

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羊の山の麓には馬鈴薯畑の深緑の葉がふさふさと一面に広がり、小さな薄い藤色の花をたくさんつけていた。そんな短い北海道の夏らしい光景を車の窓越しに見ながら、僕は午前中の仕事を終えて、車を本流に向けて走らせる。

支笏湖でもよかったのだけれど、なぜだか気持ちはお気に入りの本流に傾いていたのだった。もしかしたら先週の光景が僕の頭の片隅に焼き付いていたのかもしれない。取り敢えず、今日のテーマはシングルスペイのタイミングの修正という事にしておこう。

湿度が少し上がった本流の空気が、僕の身体に心地良く纏わりつくのが感じられる。先週よりもほんの少し水位が下がった本流は、相変わらず力強く流れていた。さわさわと流れる風、そして包み込むような水音、遠くから聞える鳥の囀り。すべてがまるで同じ風景のように僕には感じられた。いつものようにType6のティップの先に結ぶのは4XLの#8番のフックに巻いたビーズヘッドの黒のウーリー。それに、気持ちを込めた。

10mほど釣り下ったところで、やっとシングルスペイのタイミングというか上手く言葉では表現出来ない感みたいなものを取り戻せてきたように思えた。少しはこれでスペイロッドというタクトをゆっくりと振れるだろうか。そんなことを思いながらキャストを繰り返していると、対岸近くで流れに馴染んだスペイラインの先で突然大きな鱒が1mほど跳ねた。一瞬のタイムラグをおいてラインを通じて感じる鱒の躍動感、それはまさしく僕のフライを咥えた本流のレインボーだった。鱒は立て続けに3回ジャンプ。もうヒヤヒヤものである。幾度かの抵抗を凌ぎつつなんとか近くに寄ってきた鱒は45cmぐらいのレッドバンドが鮮やかなレインボー、僕がランディングネットを差し出すと最後の抵抗でもう一度ジャンプ。その瞬間、「フッ・・・」とロッドからテンションを失った。本流のレインボーが僕よりも勝っていたのだ。バーブレスを言い訳にするつもりはないけれど、なぜか不思議と満足感を感じていたのは確かな事。

「グッ、グ、グ、グ、グ、グゥ~ッ」。さらに何投目かで先程のレインボーよりもさらに重量感のある鱒のバイト。そして瞬間的に高まる言いようのない高揚感。しかしそれは数秒でフッと過ぎ去った。何事もなかったかのように。僕は笑っていた。誰もいないのにひとりで笑っていた。本流の纏わりつくような湿った空気が僕を優しく包むのを感じていると、いつの間にか細かい雨が降り始めていたのだった。それもいっそう優しく。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-07-11 21:15 | spey fishing | Comments(8)