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2009年 05月 24日

<Vol.676> ハイ・ウォーターの本流にて

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ハイ・トーンの淡いグレーの空が本流の上を覆っていた。
そんな雲と雲の境目がはっきりとしない灰色の空と芽吹いたばかりの新緑の明るいグリーン、それに針葉樹の濃いフォレスト・グリーンが本流の色合いをさらに美しく彩っている。
程良いクリアーさと深みのある少しブルーがかった濃いグリーンはどこまでも下流へと存在感のある厚み湛えながら流れ、そのさらに向こうの早瀬では本流の上に白い靄が立ち込めていた。

無風の中、本流の水の音色に混じって賑やかな野鳥達の囀りが本流の畔に響き渡る。
雪代の収まりかけたハイ・ウォーターの尻別川本流、そこでは5月の土曜日の細かい雨がいつまでも川面に静かに降り注いでいた。


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きっと僕はこの日一日中、本流に佇みながらずっと笑みを絶やす事はなかったんだろう。
周りには友人も誰もいないというのに・・・。

ティペットの先に新しく巻いたコーンヘッド仕様のチューブフライを結んだ時もそうだった。
ほとんどバックスペースというものが見当たらないハイ・ウォーターの本流に最初にウェーディングした時も、AFSのType4のフルシンクSHを速い流れめがけて最初にキャストした時も、それにスイングを終えたフライが岸際の沈み岩にラインとともに挟まって根掛かりし、大事なフライをロストした時だって僕はきっと笑っていたに違いない。
期待した大きな鱒との出会いにはもちろん恵まれなかったけれど、本流のウグイ達や小さな銀毛ヤマメが黒いフライを咥えた時だって笑っていた。
でも、大事にしていた14フィートのMKS#7/8のティップが聞き慣れないどこか異質なパキっという乾いた音と共に折れてしまった時には、それまでの笑みは一瞬にして凍りつき、きっと自分自身でも何が起こったのかさっぱり理解できずに、ただただ折れたティップの先を見つめながら呆気に取られていたのかもしれない。
これから先には、とっておきのプールが待っているというのに・・・。
相変わらず、細かい雨がシトシトと降り続いていた。

昨夜のマイザーさんからのメールよると、ロッドはすぐに修理するとの事。ついでにグリップ周りやガイドのエポキシ・コーティングなど諸々もメンテナンスしてくれるという話。
早速週明けにでも郵便局からEMSでロッドを里帰りさせようと思う。


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by d-yun5-fly-elise | 2009-05-24 16:27 | spey fishing | Comments(18)
Commented by yanbaidesu at 2009-05-24 18:25 x
こんばんは。
 さぞ、お気に入りが折れちゃってがっかりしたでしょう。
あの乾いた音は僕も折った事があるのでわかりますが、思わず茫然としてしまいますね。でもアフターがしっかりしてて良かったですね、ただ英語のやり取りは大変ですが、、、、。
 しかしそちらの景色はいいですね、そんな中でスペイができたら幸せだろうなーってつくづく思います。
 この頃は、実家の手伝いで本流の釣りができてません。また秋か冬にお会いできたらいいですね。
Commented by B-R-Bros at 2009-05-24 18:29
Yunさん、こんばんは。
まだ水量は多いようですね。

MKS#7/8、逝ってしまいましたか!
ドアに挟んだとか、根がかりを無理に煽ったとか・・・
心当たりもないのにいきなり折れることってありますね、
釈然としない気持ちになります。
まして予備のロッドを車に積んでいなかったりすると・・・

先日、キャス連でのキャスト中に弟のロッドのトップセクションがいきなり
折れました、
そういえば友人のロッドは素振りして折れました。
この時は何故か笑えましたが・・・
どちらも明確な原因は不明です。
でも早急に対処してくれるマイザーさんはさすがですね。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-05-24 19:09
yanbaidesuさん、こんばんは。
ずいぶんと日が長くなりましたね。今日の札幌は風が強いですが好天でした。相変わらずお忙しいようですね。
あの聞き慣れない乾いた音、やはりフィールドでは異質な気がします。それに手に伝わる感触も・・・。
ロッドはそれほど折ったことはないのですが、それでも以前オーバーヘッドキャストの頃、ラインが風で煽られてビーズヘッド仕様のフライがティップに当たって折れた時はショックでした。
それにしてもマイザーさんの対応は迅速でしたよ。こちらからは単に釣行の際にロッドのティップが折れてしまったので、修理をお願いしたいと伝えたぐらいです。ちなみに私の英語のレベルは、辞書を片手に中学生レベルに毛が生えたぐらいですから・・・。
やっと待ちに待った本流の季節が到来したようです。
深いフォレスト・グリーンの中に包まれているだけで、たとえ鱒が釣れなくても、つい嬉しくなってしまいます。
こちらこそ、またお会い出来るのを楽しみにしております。
Commented by abu-z4 at 2009-05-24 19:12
Yunさん、こんばんは。
昨日は、早速の情報提供、ありがとうございます。

暫く止水での釣が続いていましたが、本流の釣りを楽しまれてきたんですね。
本流でロッドを振ることは何物にも替え難い喜びですから、自然と口元が緩んでしまうのでしょう。
ロッドのトラブルは残念ですが、早く直ってくれると良いですね。

さて、明日は何処から始めてみようかな。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-05-24 19:24
Ryoさん、こんばんは。
土曜日の尻別川、水位はまだまだ高いのですが、水の色は最高でした。
偶然フェスタにも出ておられた西庄さんともお会いしたのですが、最近はトロフィーサイズのレインボーもポツポツと釣れているようです。西庄さんはスティールと仰っていましたが・・・。
折れたロッドは残念ですが、こればかりは仕方がありません。この日は岸際での根掛かりも多かったのですが、これまでもブッシュの中をロッドを手にして結構歩いているので、もしかしたら知らないうちにブランクに傷か入っていたのかもしれませんね。
マイザーさんもこのサイトを見ておられるようで、特に折れた状況や理由などは聞かれませんでした。このロッドで沢山の鱒とやり取りしたねとはメールに書かれていましたが・・・。
早急な対応、これには本当に感謝しております。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-05-24 19:29
ABUさん、こんばんは。
水位が少しずつ下がってきていますから、明日は楽しんで来て下さい。
仰るように本流に立てただけで口元が緩んでおりました。ミスキャストしたり、背後のブッシュにラインやフライを引っ掛けてもです・・・。
まだまだ鱒に出合える糸口が見出せませんが、今シーズンもゆっくりと紐解いていこうと思います。
昨日は予備のロッドを車に積んでいたので、助かりました。早く直るといいのですが・・・。
Commented by タッド at 2009-05-24 20:48 x
>流に佇みながらずっと笑みを絶やす事はなかったんだろう。
よくわかります! 私も出かけないと...夜勤明けに、いくらでもチャンスがあるのに、遂、体のほうを労わってしまう。実際、かなりきてるんです...
Commented by riverblue51 at 2009-05-24 21:04
こんばんは。
いいないいなぁー尻別ぅー(´・ω・`)この画像ははあそこですね。一番乗りですか?
本流に立てるって考えただけでも、顔が緩むのなんとなくわかりますよー。
マイザーさん…対応が早いのは嬉しいですね。釣り人の気持ち、作り手の気持ちがシンクロしてる感じがしていいですね。
でも、パキッとかポキッとか…やっぱりザワッとします。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-05-24 21:37
タッドさん、こんばんは。
久しぶりに見るワクワクするような流れでした。やっぱりこの時期の本流は良いですね。水も色も素敵です。
お仕事が大変そうですね。でも、お近くにお住まいのようなので、是非足を運ばれてみて下さい。朝は山鳩にウグイスなどと野鳥の囀りが賑やかでしたよ。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-05-24 21:47
ミッキーフィンさん、こんばんは。
それほど早い時間ではないのですが、蘭越の放水口エリアには誰もいませんでした。きっとぐずついた天気だったからでしょう。ちなみにハイ・ウォーターなので右岸は厳しそうです。左岸も途中までは釣り下れましたが、釣り下りながらも、ずっと、いいなぁ、いいなぁと独り言のように呟いておりました。
ザワっとしたのは栄橋下でした。豊国周辺も良い感じでしたよ。
本流の本格的なシーズン・インを目の前にしてロッドを折ってしまったのは残念ですが、マイザーさんには感謝です。
Commented by jock at 2009-05-25 00:00 x
こんばんは。
MKS折れたんですか(汗)。
やはり修理も3ヶ月程かかるのでしょうか?
それでも私がトーマス折ったときの四分の一の時間ですが・・・(笑)。
今度、後学の為に色々お聞かせ下さい!
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-05-25 18:43
jockさん、こんばんは。
残念ですが、ティップから数10センチのところで折れてしまいました。何せ使用頻度が高いロッドだったので、知らないうちにどこかでブランクに小さな傷が入っていたのかもしれませんね。
修理に必要な日数までは確認していませんが、それほどかからないと思います。日本からは初めての修理依頼かもしれないので、詳細が分かったらまたお知らせしますね。日本にディーラーのない小さなメーカーなので、マイザーロッドを所有されている方や気になっている方にとって、この辺りが一番気掛かりな点だと思っています。
十勝川の中流域もそろそろでしょうか。今年も何度か足を運んでみようと思っていますので、その際はよろしくお願いいたします。
Commented by 110-ken at 2009-05-25 21:11 x
Yunさん,こんばんわ

折れてしまったんですね・・・
実は自分は折れた時のことを心配していたんです。
でも,特に心配するようなことはないようなので一安心です。
早く直ってくると良いですね。

それにしても,今回手にしたブルーのマイザー。
最高ですよ!自分ももう1本欲しくなってしまいました。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-05-25 21:27
110-kenさん、こんばんは。
折れてしまったのは残念ですが、こればかりは仕方がないので、残った#6/7のロッドで当面はしのごうと思っています。
horiさんのバーキーも予想以上に早く修理を終えたようですから、こちらもつい期待してしまいます。今週中には発送したいのですが、マイザーさんから写真のCD-Rをいっしょに送って欲しいと頼まれているので、現在発送待ちの状態です。詳細が分かったら、改めてお知らせしますね。

ブルーのコスメのマイザー、なかなか感触がいいようですね。もう1本欲しくなる気持ち、とても良く分かるような気がします。
Commented by ウーリー at 2009-05-27 00:10 x
私も折りました(笑)
尻別始まったのですね。本流楽しみです。
今シーズンは基本を見直して、魚が釣れるキャストを身につけたいと思っていますので、是非現地でご指導お願いします。
最近は、某ショップに飾ってあったYunさんフライを参考に巻いていますよ。様々な色が混じり合ったYunさんフライきれいですね。先日の屈斜路湖も偽Yunさんフライで釣りましたよ。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-05-27 19:09
ウーリーさん、こんばんは。
ウーリーさんのロッドは、修理が早く終わったようですが、私の場合はガイドを外して再度ラッピング、それにグリップ周りのメンテナンスと、ほとんどロッドのオーバーホールみたいなものになりそうなので、少し時間がかかるかもしれません。
尻別川はまだ水位も高いのですが、やっぱり本流に佇んでキャストしているだけでも気持ちの良いものです。相変わらずレインボーには出会えていませんが・・・。
今年は本格的に尻別川でしょうか?またフィールドに御一緒しましょう。
テムズに置いてあるサイズが小さくて、決して高価ではないマテリアルで巻いたイントルーダーの事ですね。シャンクにはポイントが甘くなったり、根掛かりで曲がったストリーマーフックを再利用しています。あまり参考にならないかもしれませんが、尻別川や十勝川では良く使っていました。湖でもつかってみられましたか。是非いろんなフィールドでアレンジして使ってみてください。
Commented by こるとれーんtone at 2009-05-27 20:09 x
yunさん、お久しぶりです. 現場でrodが折れると結構悲しい気分になるものですね.
大鱒に糸を切られた悲しい感触とはまた違った、
ハッ! ? .. という感じのロマンチックじゃない悲しさですね.
私は出始めのセージやルーミスのカーボン壁が薄い頃のrodを岩場で傷つけていたので
キャストの際によく折っていました. グラスから移行した当時のハーディも
塗装は厚かったのですが表面結合が他社より弱かった為竹ヒゴのように割れた事も
あって私のように扱いがハードだとは高い物は似合わなかったようです!!-_-;
以来予備のティップを自作して持ち歩いています.
yunさんは私と違って大切にされていると思いますがチョット懐かしい痛みでした. 
綺麗に手当てされて戻ってくるといいですね^^.
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-05-27 20:32
こるとさん、こんばんは。こちらこそお久しぶりです。
あの異質なサウンドだけはあまり耳にしたくはないものです。でも、かたちあるものは、どういう理由であれ、いつかは壊れてしまうものかもしれませんね。
予備のティップを自作して持ち歩かれているとは凄いです。私も念のためにと車には予備のロッドを持ち歩くようにはしていますが、こういったハプニングがあるとついつい気持ちの方がグッと落ち込んでしまい、なかなか予備のロッドを繋ぐ気にはなれないものでした。
実は私もロッドの扱い方がハードなのかもしれません。乱暴とまではいかなくても結構無造作なのかもしれませんので、今後はもう少しいたわろうかなぁと思っています。
そんな訳で、今のところはどんな風にメンテナンスされて戻ってくるのか、ちょっと楽しみでもあります。


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