日曜日の午後、たった数時間だけど、というか薄いネオプレーンのウェーダーではそれだけの時間しか寒さで身体が持たなかったのだけれども、最近シューティング・スペイに興味を持ち始めたという古くからの
友人と、真冬の支笏湖の湖畔に佇んだ。
湖面に吹く風は、凍えるぐらいにピリピリと冷えきっていて、手にしたスペイロッドのガイドというガイドは、瞬く間にガチガチに凍りつく。そんな真冬の湖が僕の目の前に広がっていた。
無機質で硬質な感じのする湖水のブルー。不思議なぐらいに匂いすら感じない。
濡れたヨレヨレのSSTジャケットが瞬く間に凍りつく位に冷えて乾ききった空気を吸い込む度に、僕の鼻孔の奥の粘膜がヒリヒリとむず痒くなる。
それでも、腰上までディープウェーディングして美笛の古い桟橋跡の朽ち果てた支柱に片足を乗せながら、目の前から急激に深いブルーへと色の変わる湖水に向けて、AFSのType4のフルシンクヘッドを何度も何度もキャストした。ロングシャンクのフックに巻いたキールタイプの黒のウーリーがゆっくりと沈んでいくのを頭の中でイメージしながら・・・。
カウントダウンはおおよそ30秒。いやいや、もしかしたらそれ以上カウントダウンしても良いのかもしれないとさえ僕には思える。それぐらい深淵で底までには到底届きそうもない湖水の色に僕の目には映った。
P.S.今回はスペイが初めてだという友人にツーハンド・ロッドのタックル一式を貸したのだけれども、今年からAFSのフローティングラインを視認性の良いスティールヘッド・オレンジのカラーに変えてみた。昨年のショアでのサーモンやカラフトマスのシーズンやカメムシ・フライを湖面に浮かべるシーズンで使用した、いわゆるポピュラーなイエローとライトオリーブのツートーンカラーのこのラインは、とにかく視認性が悪くて、フローティングラインであるにもかかわらず、まるでブラインドで釣りをしているような気分だったから、今年は少しは気分良く釣りが出来そうな気がしている。
今日のBGM : Nils Petter Molvaer / Leaps and Bounds