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2008年 11月 12日

<Vol.624> 小春日和の火曜日に

今日のBGM : Greater Than One / G Force
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これからのシーズン、おそらく毎回必要となるだろうフリーズ地のグローブを、一度手にはめたにもかかわらず、やっぱり今日は必要ないかなと、もう一度脱いでくたびれた黒バッグに戻すような穏やかな晩秋の風と小春日和のような日差し。そんな火曜日、僕はいつものように尻別川の畔に佇んでいた。

紅葉した広葉樹の季節はすでに過ぎ去り、かわりに少しくすんだオレンジ色に色付いた針葉樹の紅葉が11月の太陽に照らされて、よりいっそうキラキラと輝いていた。
そういえば今朝自宅を出たあと、偶然クローム・オレンジのエリーゼとすれ違った。
サイドミラーに映る、どんどん小さくなっていくクローム・オレンジのエリーゼのうしろ姿と紅葉した針葉樹のオレンジ色とが、なぜか僕に秋の深まりを感じさせた。


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昆布エリアのメンテナンスはすでに終わったようで、僕の前には少し水位の高い、いつもの第1セクションの流れが広がる。
葉の落ちた河畔林の立ち並ぶ光景は、どこか寂しげな雰囲気をたたえているが、その代わりその隙間から柔らかな日差しが川面に降り注いでいた。
先週末の降雪が少し解け始めたのだろうか。
本流の水はやはり冷たく、ほんの少しグリーンがかった透明な色合いだった。
なぜか僕は釣りを始める前から、十分満足しきった気分になりつつ、リールからType8のティップがつながれたスカジットSTヘッドを引き出した。


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先週の本流らしい頬の赤いレインボーに出会った場所から数m程上流の場所だった。
しっかりと沈んだESLが本流の流れを中ほどあたりまでスイングしたあたりで、ランニングラインを摘む指先とMKSのロッドティプにグゥ―ンと負荷が掛かる。そしてその負荷はやがて鱒の躍動感へと徐々に変化していった。
鱒の立てる水飛沫とともに、やがて僕が差し出す赤いグリップのインスタネットに収まったのは、先週出会ったレインボーよりもひとまわり小振りでメタリックなボディを持つレインボー。


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なかなか体高があって、グッと太くなった尾鰭付近の筋肉の発達加減から、そのサイズ以上の力強さには納得がいったのだけれども、なぜかレインボーの背中によく見る、あの散りばめられた小さな黒い斑点というものがほとんど皆無に近かった。
薄っすらと浮かび上がるレッドバンドのすぐ上に、黒い斑点がほんの少し滲んだように浮かび上がるぐらいだろうか。
フライをフォーセップで外し、その鱒を冷たい本流の流れに戻すと、やがてそのうしろ姿も本流のクリアーな薄いグリーンの流れの中に溶け込んでいったのだった。

小春日和のような火曜日の午後。
レインボーの無班の背中。
くすんだオレンジ色。
それにしても不思議な取り合わせ。
相変わらず本流の奏でる水音が川岸に腰掛ける僕に心地良い調べを届けてくれていた。


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by d-yun5-fly-elise | 2008-11-12 21:58 | spey fishing | Comments(10)
Commented by いつも見ています at 2008-11-13 00:30 x
こんばんは。
本当に、どこへ行ってもいい調子ですね。
私は、なんだか慌しく、slow fishingに浸りたい気分です。
Commented by 砂川のWです at 2008-11-13 00:43 x
お久しぶりです。いい時間過ごしてますね!いい向かいかたしてますよね…うらやましいですよ!さてと、自分も向かわなくては…
Commented by d-yun5-fly-elise at 2008-11-13 11:07
いつも見ていますさん、こんにちは。
晩秋の小春日和のような穏やかさに包まれた中での釣りは、気持ちが良いものがありました。
尻別川もこれから冬に向けて、少しずつ落ち着きを取り戻していくのでしょうね。
この日、鱒とのコンタクトはこれ一度っきりでした。でも、十分に落ち着いた時間を過ごせたように思います。
個人的に状況を存じているだけに、その慌しさが想像出来るような気がします。今度の連休の十勝川では御一緒出来ませんが、道東ではゆっくりと過ごされる事を願っております。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2008-11-13 11:15
砂川のWさん、こんにちは。
こちらこそお久しぶりです。
今週は少し天候が落ち着いていますが、きっとこれから厳しい冬に向かうにつれて、寒い日が少しずつ増えていくのでしょうね。
ブリザードのような猛吹雪にはさすがに参りますが、レインジャケットにカサカサと乾いた音を立てながら大きな牡丹雪が冬空から降ってくる中での釣りは、寒いですが意外と好きだったりします。
そんな季節か少しずつ近づいてきましたね。
また、フィールドでお会い出来ることを楽しみにしております。
Commented by イブキ at 2008-11-13 18:09 x
yunさんの撮る写真とみていつも癒されています(*^_^*)
最近夜遊びばかりで、ゆっくり釣りしたいです(笑)
Commented by d-yun5-fly-elise at 2008-11-13 23:19
イブキさん、こんばんは。
3枚目の写真はホワイトバランスやピントがずれた写真でしたが、加工しているうちにどこかノスタルジックな雰囲気が漂ってきて、個人的には好きです。
そういえば最近、ほとんど飲みにも出かけなくなってしまいました。
Commented by samurai_fisher0_0 at 2008-11-14 16:17
Yunさん、 夏にPCがクラッシュしてYunさんのメルアドが無くなってしまいました。 もし宜しければ、メールを頂けると嬉しいです。 僕のメルアドは以前と変わりませんが、僕のブログにもYahooのアドレスが付いています。 お手数ですが、宜しくお願い申し上げます。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2008-11-14 20:49
Mattさん、こんばんは。お久しぶりです。
了解しました。のちほどPCの方にメールを送っておきます。
実は私のPCも危うい状況です。いつクラッシュしてもおかしくないような・・・。
P.S.遅くなりましたが、別冊の「The Two-handed」に書かれていたスカジットキャストの解説はとてもわかりやすく、参考になりましたよ。
Commented by abu-z4 at 2008-11-14 21:01
Yunさん、こんばんは。
電話で聞いてはいましたけれど、確かに不思議なニジマスですね。
上から見ると、僅かな背びれの斑点がニジマスであることを主張しているようで・・・・・
この時期の本流は、ボウズに終わることが珍しくないのに、毎回のように鱒達に出会えるYunさんがとても羨ましい今日この頃です。
もうかれこれ1ヶ月ほどロッドを握っていませんが、今度の十勝釣行を楽しみにしています。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2008-11-14 21:17
ABUさん、こんばんは。
そうなんですよ。ボディ、特に背中にはほとんど黒い斑点が見当たらないんですが、背びれやアブラびれ、それに尾びれにはしっかりとレインボーらしい黒い斑点がありました。
不思議なことというか、この時期にしては当たり前なのかもしれませんが、本流の雰囲気は良いのですが、なぜか鱒の気配というものが感じられませんでした。もちろん控えめなライズすらありません。
水温の低下に伴い、流れの底の方でジッとでもしているのでしょうかね。
今回はラッキーだったと思います。この次ぎの本流では、もちろん鱒に出会えるかどうかは分かりませんが・・・。
この次ぎの連休、御一緒出来ることを楽しみにしております。


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