2008年 11月 04日
今日のBGM : Donna Lewis / I Love You Always Forever 濃くいれたGreen Teaに間違ってミルクを少し混ぜてしまったような色合いの本流。 やはり昨夜から降り出した雪が解け始めたのだろうか。 まるでハイ・ウォーターとでも呼びたくなるようないつも以上の水位と、川底の見えない中でディープ・ウェーディングでもしようものなら、そのトルクフルな押し出しの強い流れで足もとをすくわれてしまいそうなほど勢いのある本流だった。 第1セクションの放水はピタっと止まったまま。 そんな濁りの入った本流の流れの水面に、目の覚めるようなレインボーの赤い頬と美しいレッドバンドが浮き上がった。 12月中旬並みの寒気を伴った低気圧が北の大地の上空を通過する。 火曜日の尻別川へとつながる中山峠はまるで真冬さながらの圧雪アイスバーン。 おまけに峠から見える山肌の木々は、クリスマスまでにはまだしばらく日数があるというのに、まるでパウダーシュガーでもたっぷりと降りかけたように白一色に飾り付けられていた。 峠を下ると、一気に風が強まり始める。 思わず僕が被っているフィルソンのオイルハットが吹き飛ばされそうになるぐらい、猛烈な勢いの北西の風が本流には吹き付けていた。 まるで5月下旬の雪代流入の季節を彷彿させるような第1セクションの強い流れ。 Type8のティップの先にタングステンのコーンヘッド仕様のヘビーウェイト・ウーリーを結ぶが、流れの中の枯葉が時折フライのフックにコンタクトするぐらいで、一度たりともフライがボトムにコンタクトするということはなかった。 それにしても風が強い。 時には小さなアラレ位の大きさの雪までが混じる。 寒さで痺れた指先の感覚がなくなり始めた。 ゴー、ゴーとまるで止むことを知らない地鳴りのような風音は、僕のキャストを困難なものにし、ペリー・ポークからキャストしたフライは強風に煽られてターンオーバーしないことも度々だった。ヨレヨレのレインジャケットのフードの中で反響しあう凄まじい水音と風音、こんな釣りとしては厳しい状況の中で本当に本流の鱒に出会えるのだろうかという不安と、僕は一体ここで何をやっているのだろうかという疑問とが徐々に増幅し始めたのだった。 僕はどこかで今日の釣りを終わりにするタイミングを探しあぐねていたのかもしれない。 第1セクションの中間辺りで少し流れが落ち着き、僕はティペットの先のフライを昨夜少しだけ手を加えたビーズヘッド仕様のエッグ・サッキング・リーチに替えた。 それから数投目の出来事だったと思う。 フライがスイングを始めて間もない頃、いきなり「グゥン」とMKSのロッドティップが引き込まれた。ロッドティップの振幅が徐々に増幅する。 最初僕は悪くないサイズの本流アメマスだと思っていた。 でも鱒とやり取りしているうちに、徐々にそのサイズが僕の経験の中で大きくなり始める。 やがて水面に浮き上がったのその鱒のあまりにも鮮やか過ぎる赤い頬と身体に走るレッドバンドを目にした瞬間、僕の心臓は一瞬にして高鳴り始めたのだった。 やがて僕が差し出す赤いグリップのインスタネットに収まったのは、45cmのグッドプロポーションのオスの本流レインボー。 この状況の中で僕の流すフライを見つけ出してくれたことに感謝しつつ、そっと濁りの入った本流の流れに戻したのだった。 相変わらず、晩秋の嵐は続いている。
by d-yun5-fly-elise
| 2008-11-04 22:24
| spey fishing
|
Comments(22)
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abu-z4 at 2008-11-04 23:12
Yunさん、こんばんは。
おめでとうございます。 初冬の本流でニジマスに出会うことは、そうそうあることではないけれど、やはり行かないと出会うことができないのは確かですね。 今日のような風が強く寒い日にあの本流に立つことを思うと、つくづくYunさんは本物の本流アングラーだなぁ、と再確認しました。
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hori
at 2008-11-04 23:17
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yunさん、こんばんは。
この天気の中、行かれたんですね! 厳しい状況下での一匹、流石です。 放水の止まった第1セクションはなかなか挑みがいのある流れですね。私は中ほどに差し掛かったころには少々バテていました(笑)。 ほんと、鮮やかな赤ですね。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-04 23:45
ABUさん、こんばんは。
峠を下り始めると、一気に風が強まり始めました。ゆっくりとした時間から本流に出掛けたのですが、他のドライバーもまだ雪道に慣れていないのか、本流に辿り着くまでにかなりの時間を要してしまいました。 てっきりアメマスだと思っていた中、その力強さにもしやと思っていたところ、濁りの中に突然浮かび上がる赤い頬とレッドバンドに、思わず息を飲んでしまいました。 かなりタフなコンディションの中、久しぶりに出会う本流レインボーに、ちょっと嬉しかったです。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-04 23:51
horiさん、こんばんは。
予想以上の強い風と寒さで、キャストにも苦労し、何度も気持ちが萎えそうになりました。 もしかしたら先週の火曜日よりも水量が多いのかもしれません。 ほとんどウェーディングが出来ないので、本流の2/3ぐらいの流れしか第1セクションではカバー出来ませんでしたが、出会えたのは鱒の気まぐれもあるでしょうが本当にラッキーでした。 レインボーの頬の赤、久しぶりに鮮やかな赤い頬を持ったレインボーに出会ったような気がします。
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いつも見ています
at 2008-11-05 00:47
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Yunさん、こんばんは。お見事です!遠征の後のホームグウンドでのこの釣果はお見事の他、何ともいいようがありません。私も色々なサイトを見て回っていますが、ここまで退屈させないブログは類を見ないと絶賛しております。写真のセンスもすばらしくいつも関心させられます。私なんか前回、少しの増水に手を付けられずにおりましたが、濁りのある重たい尻別の流れの中からグッドサイズを引き出すとは、しつこいようですがお見事です!
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-05 13:17
いつも見ていますさん、こんにちは。
お褒めの言葉、ありがとうございます。 晩秋の本流レインボーには、なんとか今年も出会ってみたかったのでが、おかげさまで頬の赤がことさら印象的なレインボーに出会うことができました。実はかなり嬉しかったりします。 増水のせいで第1セクションではほとんど岸際というものがなく、写真のシャッターを押す場所を探すのにちょっと苦労してしまいました。 晩秋から初冬にかけての本流、もう少し通ってみようと思っています。
yunさん,こんばんわ
つい数日前に道東でアメマスを釣っていたかと思うとすぐに尻別とは!流石というかタフというか(笑) そしてイケメンのニジマスとの出会い,うらやましい限りです。流し方,魚のいる場所を教えてください!!! さて,自分は今月末の3連休まで釣りはお預けです。十勝では存分に楽しみたいと思っています。ぜひタイミングを合わせて恒例となったアメマス&平和園ツアーを開催しましょう(^。^)
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tommy
at 2008-11-05 22:02
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Yunさん、こんばんは。
流れが変わった第1セクションで、いい釣り出来たようですね。 それにしても、いいプールだったような気がします。 ハードな状況で綺麗なレインボー、感慨もひとしおですよね。 「自分は一体何をやっているんだろう」って思う事は、いつもありますが(笑) おめでとうございます。
YUNさん、こんばんは。
極東でアメを爆釣!にあきたらず今度はレインボーですか(笑) お見事です。 昨日のあの寒さのなかで立ちこむのは晩秋の十勝アメ狙いと同じ状況で 辛かったでしょうが、執念で綺麗なレインボーをGETできたのは確実な 釣りのメソッドがあるからでしょう。 脱帽ですよwww
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shucraft at 2008-11-05 23:25
Yunさんこんばんは!
綺麗なRainbowですねー。羨ましい!! 最近の尻別は厳しい状況でしたが、このエントリーを見てワクワクしてきました~。とにかくおめでとうございます!
Yunさん、お晩でーす。
おーッ、やりましたね! これは昨日でしたか。 確か昨日は寒気が入って相当寒かったですよね。 よく釣りましたね。さすが、この釣りのスペシャリストです。 おめでとう御座います。 すでに峠道はアイスバーンなのでしょう。 早く僕も冬タイヤに換えないと危険ですね~。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-06 11:09
110-kenさん、こんばんは。
皆さんとの天塩川釣行、楽しまれたようですね。 来年は是非とも私も御一緒させて頂きたいと思っております。 東の果ての茫洋とした風景には、いつもどこか物悲しさを伴う風情を感じてしまいます。でも、良いところですね。 確かにハードなスケジュールではあったのですが、なぜかそれほど疲れませんでした。akaさんをはじめ他の皆さんに長い距離を運転していただいたということもあるのですが・・・。 そんな私でも尻別川や支笏湖に戻るとなぜかホッとしてしまいます。 今回はちょっと厳しいかなぁと思っていたなかだったので、予想を裏切るような火曜日の出会いはちょっと嬉しかったです。 今度の連休、こちらこそ楽しみにしております。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-06 11:11
tommyさん、こんにちは。
私が巻いたフライの中でも一番のヘビーウェイトのフライにType8のティップ、とにかく風が強くってキャストに苦労していました。 メンテナンスもそろそろ終了でしょうか。きっともうすぐ第1セクションもいつもの流れに戻るんだと思います。 この日は天候が悪かったので、偏光グラスを掛けていなかったのですが、濁った本流に突如、不自然なぐらいにvividな赤い頬とレッドバンドが浮き上がった時には、こんな私でもついついハッと息を飲んでしまいました。本当に映像としても美しかったです。 「自分は一体何をやっているんだろう」、私は天候が厳しくなればなるほど、ついこんなことを考えてしまいます。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-06 11:18
yamameさん、こんにちは。
連休に遠くは東の果てにまで行ったばかりなのに、やはり何かを確かめたくって、ついついメインフィールドに足を運んでしまいます。 やはり当初の予想以上に天候は厳しかったです。 私の視界の範囲では、他に釣り人の姿は見かけませんでしたから・・・。 鱒のサイズではなく、私のイメージする赤い頬とレッドバンドの美しい本流レインボーに出会えたことだけでも、十分満足のいく一日でした。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-06 11:23
SHUさん、こんにちは。
北の本流で皆さんと過ごされた連休では、以前から出会ってみたいと仰られていたイトウに出会えて本当に良かったですね。おめでとうございます。 尻別川では、なかなか本流レインボーに出会えない日々が続いていましたが、おかげさまで、あのハードなコンディションの中で出会うことが出来ました。全身が研ぎ澄まされた筋肉の固まりのようなレインボー、本当に美しかったです。 今度はいつ出会えるか、分かりませんが・・・。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-06 11:30
としーさん、こんにちは。
今回の連休も東の果てでは、大変お世話になりました。 火曜日の中山峠は、圧雪アイスバーンでしたので、スタッドレスタイヤでないと厳しいようでした。きっと根雪にはならないと思いますが、早めにタイヤは交換された方が良いかと思います。 このあと、栄橋下のプールにもほんの少し足を運んだのですが、こちらの方が風がさらに強くって、釣りをするには厳しい状況でした。 でも、早いスピードで流れる分厚い雲の隙間から陽光が差込んだりすると、本当に幻想的な風景でしたよ。
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shinya
at 2008-11-06 21:34
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「僕は一体ここで何をやっているのだろうかという疑問」今回のエントリーにて、私にとっては強烈にインパクトのあるフレーズでした・・。
「共感」・・という言葉の真意を自他共に共有できる機会があるとすれば、フィールドでの同じ経験を持つもの同士でしかありえないでしょうから・・(笑) 素晴らしいコンディションのレインボーですね・・。おめでとうございます。 十勝川でお会いいたしましょう。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-06 22:14
shinyaさん、こんばんは。
道東のさらに東の果ての地では、今回も大変お世話になりました。 やはり彼の地は、普段私が訪れるフィールドとはまた趣が違った風情が佇んでいるような気がします。 皆さんが惹かれるということも、確かに頷けます。 どういうわけか私の場合、自分の身の置く状況が過酷になるにつれて、こういった疑問がふと脳裏をよぎることがあります。不思議なものですね。 いよいよ今年も十勝川下流域での釣りが始まったようですね。 フィールドでまたお会い出来るのをこちらこそ楽しみにしております。
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かぶと虫
at 2008-11-08 12:15
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Yunさん、おはようございま~す!!
素晴らしいレインボーですね!!羨ましいかぎりです。 北海道は一年中フライで釣りで出来るんですね~!私も北海道に住みたいです。
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riverblue51 at 2008-11-08 16:46
はじめまして。
綺麗な写真に美しいレインボーですね。 私も尻別川に出没してますので、どうぞよろしくお願いします。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-09 20:11
かぶと虫さん、こんばんは。
お久しぶりです。お元気だったでしょうか。 秋も深まりましたが、運良く本流らしい頬の赤いレインボーに出会えました。しばらくぶりに出会えたような気がして、ちょっと嬉しかったです。 これから寒くなりますが、もうしばらく尻別川に支笏湖、それに十勝川のアメマスへと通ってみようと思っています。 きっと寒さがさらに厳しくなる頃には島牧でしょうか。 そういえば一年中、スペイロッドを手にフィールドを彷徨っていることになりますね。
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d-yun5-fly-elise at 2008-11-09 20:17
riverblue51さん、こんばんは。
こちらこそ、はじめまして。コメント、ありがとうございます。 支笏湖の湖水の色をそのまま映し出したかのようなグリーンバックでメタリックなレインボーにも惹かれますが、尻別川の頬の赤い野性味溢れるレインボーも好きなんですよ。 私はここ3年程、よく尻別川に足を運んでいますが、riverblue51さんもよく行かれているんですね。もしかしたらフィールドでお会いしているかもしれませんね。 今後とも宜しくお願いいたします。 |
札幌市在住Yunの北海道をメインフィールドにしたスカジットキャストによるトラウト&サーモン釣行記。R.B.MeiserなどのダブルハンドのカスタムスペイロッドやTube Flyなどの気ままなフライタイイングにお気に入りのリール、それにオリジナル音楽(Dub Techno, Ambient, Minimal, Drone, Noise Industrial)とフィールド動画(YouTube)などなど by Yun カテゴリ
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