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2007年 07月 04日

<Vol.475> 夕暮れのレインボー

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本流の辺を囲む木々の緑が少しずつその色合いを深め、やがて漆黒の闇へと包まれていく。
夕暮れの迫る本流。
対岸近くまでペリーポークでキャストした僕の黒いフライがゆっくりと速い流れに馴染みながら沈んでいく。
数回目のメンディング。
僕は手にした15ftのスペイロッドとスペイラインを通じて、しっかりとした鱒の生命感にも似た躍動感を感じる。
そして本流に夕暮れの海からの優しい風が吹いた。


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火曜日の午後は、まったく釣り人泣かせの良い風が吹いていた。
それにしても贅沢なもので、僕は最後まで支笏湖にするか、それともお気に入りの本流にするか、迷いに迷った。
職場の駐車場を出て国道に差し掛かる交差点。やはり僕は支笏湖へと続く右折ではなく車のウィンカーを左折に立てる。つまりそれは本流へと続く峠へという事になる。

馬鈴薯畑のピンクと薄肌色の混じったようなたくさんの花を眺めながら車は順調に走る。
CDからはお気に入りのキューバサウンド。
午後の日差しはやけに強く、今日はレインジャケットを脱ぎ捨てたくなるぐらいに暑い一日になることが容易に予想された。

本流に辿り着く頃には幾分風は弱まっていたけれど、それでも水田の青い稲はそんな風に揺られて柔らかくなびいていた。
日曜日よりも若干水位の下がった本流。もしかしたら水温は多少なりとも上がっていたのだろうか。ゴアウェーダー越しにも冷たさは感じられない。
相変わらず、下流では海からの遡上魚が大きな水柱と共に派手に跳ねる。その度に心地良い風の音と流れの音に揺られながら僕は一瞬ドキッとさせられる。
何事もなくスペイキャストを繰り返しながらゆったりとした時間は流れていく。
本流に夕暮れの足音が少しずつ忍び寄り始めた。

あと5m釣り下ったら、今日はおしまいにしようと思っていた。
そう自分に言い聞かせて、もう一度フライとティペットにトラブルがないかどうかを確認。
そしてペリーポークで対岸に向けてキャストした。
数回目のメンディングで不意に訪れる衝撃と躍動感。
鱒は加速度的に、まるでお尻に火が点いたかのように一気に下流へと疾走した。
やはり長い時間の鱒とのやり取りだった。
おまけに前回同様ランディングの場所に僕は困り果てる。
意を決して僕は上流へと回り込み、鱒には申し訳ないけれど、一か八か少し顔を出した川辺の砂地にその鱒を引きずり揚げる事にする。
その瞬間がきた。そしてすべてが終わった。
砂地で跳ねる鱒を急いでネットに入れ本流の流れに浸す。
魚体に付着した砂が流れてその全身が徐々にあらわになる。
均整の取れた逞しいボディの美しい45cmの本流レインボーだった。
そしてそのしっとりと濡れたボディにはオレンジ色に染まりかけた夕暮れの空が映っていた。


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by d-yun5-fly-elise | 2007-07-04 20:47 | spey fishing | Comments(10)
Commented by take at 2007-07-04 21:31 x
YUNさん!やりましたね。羨ましい!
本流は良いですよね。日曜は、買ったばかりの新しい(中古ですが)車
に孫と家族を乗せて、楽しんでました。
最近「孫」か「本流」かと悩みます。

Commented by flyman44u at 2007-07-04 22:01
Yunさん、こんばんは。
火曜日は入れ違いになったようですね。残念です!
それにしても週末の2deysの本流と火曜日の午後の本流
Yunさんもタフですね?僕は火曜日AM4:00頃からyusukeさんと
本流に入りお昼頃には、疲れ果てていました。yusukeさんは
小さいながらアメマス、レインボーを釣っていましたが
僕は何も反応が無く休憩を挟み少し下流域に移動しました。

少しばかりスペイキャスティングを基本的に勉強する必要が有りそうです
本流は良いトレーニングポイントに成りそうですよ!
来週は本流にしようか、天塩のイトウにしようか迷っています?
今が天塩川のイトウ良いようです。この時期が過ぎると日中に釣りが
厳しく水温が上がりすぎて朝マズメ、夕マズメにしかチャンスが
無くなるようです。あまり釣果は期待出来ませんがチャンスがあれば
来週にでも足を運んでみたいものです。レンボー羨ましい限りです!
また本流でお会いしましょう!
Commented by abu-z4 at 2007-07-04 23:44
Yunさん、おめでとうございます!
それにしても、よくキャッチできましたね。
あそこで自分でネットインはとても危険ですからね。
正解だったと思いますよ。
日曜の帰り道、「次に繋がる釣だった」なんて話していたけれど、本当にそうなりましたね。
体高のある逞しいプロポーションは、今年の本流のニジマスらしいパワーを感じさせます。
素晴らしい!!
Commented by ito at 2007-07-04 23:55 x
yunさん こんばんは。
昨日午後からBポイントに入ってましたが・・・本流で正解だったようです。
魚っ気感じられずテンション長続きしませんでした。
が、夕方入って来たフライマンが いきなり釣り上げていたので どうやら釣れないと勝手に思い込んでいたのは自分の様でした。
水温17℃でも岸寄りしているようです。

P.S 「ものぐさ釣り師のスペイ」とても参考になってます。

Commented by masuonoyakata at 2007-07-05 01:58
Yunさん、こんにちわ^^鱒夫です。
GOODレインボーですね^^おめでとうございます!!
それにしても、毎回素晴らしいドラマがあり、
Yunさんの世界に引き込まれてしまいます。
本流・・・・・最高ですね^^。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-07-05 17:19
takeさん、こんばんは。
ありがとうございます。やっと本流レインボーらしい鱒に出会えました。
ずっと大きなレインボーにはファイト中に逃げられてばかりだったので、ちょっと嬉しかったです。でも、もう少しサイズが大きければ、いつものようにキャッチ出来なかったかもしれません。
新しい車、良いですね。それにお孫さんですか。可愛い盛りなので、おじいちゃんとしては確かに迷いますよね(笑)。
でも近いうちに、また本流でお会い出来るのを楽しみにしております。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-07-05 17:30
ryoさん、こんばんは。
火曜日は本流に着くなりryoさん達の車を探したのですが、やはり下流へと移動されていましたか。私は午後から仕事がoffなので、本流に着くのはいつも2時半頃でしょうか。
スペイキャスティングは奥が深くて難しいですが、やはり楽しいですよね。私の場合、最初はタイミングが上手く取れていても時間が経つにつれて疲れ始め、徐々にタイミングというかキャストのリズムが早くなってしまいます。やはりゆったりと振るのが良いようですよ。バットをグッと曲げて、あとはロッドに任せています。
手塩川情報、ありがとうございます。一度は行ってみたいのですが、道北の為に購入したCNDのロッドが修理中の為、やはり行けるとしたら秋以降になりそうです。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-07-05 17:36
ABUさん、こんばんは。
ありがとうございます。流れの強い第3セクションではほとんどレインボーをキャッチできた事がないので、今回はちょっと嬉しかったです。きっと針掛りの場所が良かったのでしょう。上顎の右にしっかりとフッキングしていまいた。やはりこれまでキャッチ出来なかったレインボーの方がファイトはパワフルだったような気がします。もしかしたらこれ以上のサイズになるとひとりでランディングするのはちょっと難しいかもしれませんね。
でも、美しい本流レインボーでしたよ。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-07-05 17:42
itoさん、こんばんは。火曜日はお疲れ様でした。
itoさんは支笏湖のBポイントでしたか。札幌は良い風が吹いていたので、もしやと思っていたのですが・・・笑。
7月中は本流か支笏湖かついつい迷いそうですが、状況を見てまた支笏湖にも足を運んでみようと思います。お会いした時には、また湖畔でコーヒーでも飲みましょう。
「ものぐさ釣師のスペイ」、拙い文章ですが参考になれば嬉しいです。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-07-05 17:49
鱒夫さん、こんばんは。お久しぶりです。
ありがとうございます。いつもいつも毎回何かしらのドラマが起こるわけではないのですが、それでもロッドを片手にフィールドに立てるだけでも、十分なぐらいに満足しております。
片道100kmの道程とちょっと遠いのかもしれませんが、それでも毎回車をフィールドに向けて走らせている時は、今日はどんな釣りになるんだろうかと気持ちを躍らせております。
機会があれば、是非こちらにも遊びにいらして下さい。


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