2007年 06月 25日
早春の道南の本流でLt_cahillさんに撮って頂いた一枚の写真。目の前の大きなアメマスのボイルに気持ちが焦ってしまったのか、しっかりとロッドティップが下がっている(笑)。 本当はもっと高い位置でロッドティップを保持したいのだが・・・。 とにかく最初のスペイキャスト1年目は、ScottのARC 15feet#10番のロッドとRio社のウィンドカッター9/10/11というショートベリーのスペイライン(ティップを交換できるタイプ)の組み合わせで深くて重い本流の流れに佇んだ。 このラインを選んだのは先にスペイを始めていた友人の薦めもあるのだけれど、個人的にはこのティップを交換出来るラインを選択して良かったと思っている。何せ僕らが訪れる本流ではイブニングに余程のヒゲナガのハッチがない限り、日中はヘビーなシンクティップのシステムでスペイキャストをすることが多いから。 不思議なもので、本流スペイ釣行を重ねる度に少しずつ釣行後の全身の筋肉痛が軽いものへと変化していった。まぁそれだけ僕のキャスト時の無駄な力が抜けていった証なんだと思うし、多分にショートベリーのスペイラインの恩恵にも随分助けられていたんだと思う。何せショートベリーのスペイラインは、ミドル~ロングベリーのスペイラインとは違いある程度の技術不足によるミスキャストも何とかカバーする事が出来るように思うから。 それにしてもどうして新しい何かに取り組むということは、これほどまでに楽しいものなのだろうか。余程の事がない限り、週末の釣りが僕には待ち遠しくてしょうがなかった。 お陰で本流の周りを彩る木々の葉がきれいな紅葉に染まり、海からサーモン達が産卵のために遡上し始める頃には、僕らが訪れる本流のおそらく40mはあるかと思われる川幅の2/3~3/4はカバー出来るようにまでなっていたと思う。 話は変わるけれど、初冬と早春に友人達と訪れた十勝川本流での話。 アメマス釣りで有名な茂岩橋の下ではオーバーヘッドキャストで何の問題もないのだけれど、さらに大きなアメマスに出会いたくて僕らは下流へと彷徨う。 友人の勧めで入ったポイントは、大きな十勝川本流の流れが右へとゆっくりとカーブするポイントで、いわゆるルアー釣り向きのポイントだった(いわゆる増水した湖やダム湖での釣りをイメージしていただければ分かりやすいのかもしれない)。そしていかにも大きなアメマスが溜まりそうな絶好の深みを左岸に形成している。冷え切った大地、ゆったりと流れる十勝の本流からは白い水蒸気が立ち上っていた。そんな本流に大きな水音と共に浮かび上がるアメマスのボイルの波紋。僕らはその光景に息を呑んだ。 数mの高さの土手を滑り落ちないように慎重に下り、ぬかるんだ川底に注意しながら何とかロッド1本分のスペースを確保する。背後には高い土手が迫り、横には葉の落ちた川ヤナギがずらーっと立ち並ぶポイントだからもちろんオーバーヘッドキャストでも不可能ではないがストレスの溜まる釣りとなることが予想された。とにかくすぐ横のヤナギの木の枝と背後の土手に注意しながら、小さなDループでキャストを繰り返す。Type8のティップの先には定番のチャートリュースカラーのフライ。結果はすぐに出た。フライがゆっくりと流れの中を沈み、頃合を見計らってウィンドカッターのラインを張り、ゆっくりとリトリーブ。本流アメマスの鈍くて押さえ込むようなバイトの後にアメマス特有のバイブレーションがスペイロッドに伝わり、アメマスの身体に散りばめられた白くて大きな牡丹雪が本流の流れの中に浮かび上がった。 とにかくここでの釣りではポイントもそうだがリトリーブが重要なキーだったと思う。でも、いくらショートベリーのスペイラインでもやはりリトリーブ出来る距離はおのずと限られてくる。そこで僕が偶然手にしたのがRio社のスカンジナビアンシューティングヘッド(ティップの交換できるタイプ)だった。ショートベリーのウィンドカッターよりも数m短いこのヘッドは、さらにラインがパスタのように太いのだけれど、この数mの差がリトリーブをする釣りにはアドバンテージになったんだと思う。今ではこのラインはRio社のラインアップから消えてしまったけれど、スカジットラインなら十分代用できると思っている。そして次のシーズン、十勝川の本流ではこのスカンジナビアンシューティングヘッドが僕のメインラインとなり、バックスペースがほとんど確保できない十勝川のポイントで身を切るような寒さの中、十分過ぎるほど良い釣りをする事が出来た。 この短いベリーのスカンジナビアンシューティングヘッド、もちろん今では各社のスカジットヘッドが代用になると思うのだけれど、これには湖でのスペイ、特にリトリーブの釣り(もちろん、フローティングのシステムではルースニングやセミフライなどの大きなドライフライの釣りにでも)での可能性を秘めていると僕自身は感じていて、それについては次回の湖編で語ってみようと思っている。 <ライトタックルによるスペイフィッシングの話> 話は前回の本流編その1の続きになるのだけれど、#10番ロッドでスペイを始めて1ヶ月後に出会った本流のグッドサイズのレインボー、やはり僕には#10番ロッドではいささかオーバーパワーのように思えてならなかった。もちろん初めてスペイで出会った本流のレインボーなだけにその嬉しさは言葉に言い表せないぐらいだったんだけれど、でも今になって冷静に思い返すと、そのファイトというかやり取りは忠類川のカラフトマスほどではなかったように思う。ちなみに僕が忠類川で使っていたロッドは#8番である。 お気に入りの本流で出会うレインボーのアベレージサイズが40cm前後だとすると、もちろんこれは釣り人サイドの身勝手な都合なのだけれど、やはりもう少しライトなタックルの方が鱒とのスリリングなやり取りを楽しめるんじゃないかと思い始め、僕のタックルは今は#8番前後に落ち着いている。でも、出来る事ならもう少しライトなタックルで本流に佇みたいと思っているのだが・・・。 そんな訳で、まだスペイキャストを始めて3年目に入ったばかりの僕だけれど、もし仮に僕の目の前にこれからスペイを始めようとする僕自身が現れるとしたら、僕が訪れた事のあるフィールドに基づいて、きっと次のようなスペックのタックルを勧めると思う。 <尻別川や十勝川のような規模の中・下流域> 13~15feetの長さで#7~9番のロッド。ラインは各社のショートベリーかスカジットヘッドでティップの交換できるタイプ。 <渚滑川のような規模の中流域> 12~14feetの長さで#(5)6~8番のロッド。ラインは同じく各社のショートベリーかスカジットヘッドのティップの交換できるタイプ。 ちなみに僕自身の経験からすると、ロッドのジョイント部分のテーピングはお忘れなく。実際に僕は何度か忘れて苦い経験がある。 それに、スカンジナビアンシューティングヘッドやスカジットヘッドを用いた釣りの場合、長いランニングラインの処理に手間取るため、ラインバスケットが有った方が便利かもしれない。 ・・・次回は湖編
by d-yun5-fly-elise
| 2007-06-25 22:42
| 私的北海道のスペイ考
|
Comments(10)
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akiranspey at 2007-06-26 00:00
YUNさん、こんばんは!
なるほど~と思わせる文章、おおいにうなずけます。 川の規模に合わせてロッドを選択するというのはよく聞きますが、やはり魚とのやりとりは楽しみたいですよね~。 あの本流ではやはり13f~15fで7~9番くらいというのは僕も同感です! あえて一本選択するのなら14fの8番で次回は行きます!!!
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Lt_cahill at 2007-06-26 15:19
yunさん、こんにちは。
冒頭の写真の「ロッドティップが下がっている」のは重いスペイラインの加重をティツプが受けると必ずバウンドするので、どんな名人のスペイキャスターでもなると思いますよ。 僕はウインドカッターまでしか使ったことが無いので短いベリーのラインは未知の世界でしたが、十勝川では無いと釣りにならないようですね。 僕は本流以外でシングルロッド(#4〜6)のフローティングラインにシンキングリーダーを付けてバックのとれない場所でシングルハンドスペイキャストをやりますが、今まで攻められなかった場所がカバーできるのでときどき良い思いしてます。(笑)
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at 2007-06-26 16:48
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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d-yun5-fly-elise at 2007-06-26 23:42
akiranさん、こんばんは。
スペイビギナーの私が思ったり感じたりした事がうまく伝えられているかどうか心配だったのですが、そう言っていただけると嬉しい限りです。 14feetの8番、これからのロウ・ウォーターのシーズンでは、グッドなスペックかもしれませんね。今日は午後から本流で、最後の第3セクションで50cmオーバーのレインボーにランディング寸前でフックアウトされてしまいました。最後の瀬のトルクフルな流れも加わり、ファイトはかなりスリリングでしたよ。きっとakiranさんの14feetの8番なら、かなりスリリングさを楽しめるかもしれません(笑)。
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d-yun5-fly-elise at 2007-06-26 23:56
Lt_cahillさん、こんばんは。
道南の本流での写真、使わせていただきました。ありがとうございます。 ご指摘の内容、よく分かります。でも、出来ればもう少しフリックの後のロッドティップを高い位置で保持したいところなのです(笑)。 私の場合ウィンドカッターがメインなのですが、さらに短いベリーのラインはおのずとラインが太くなってしまうのですが、それを差し引いても今後使用する用途が広がりそうです。とくに十勝川や湖のスペイの場合、リトリーブすることが多くなるので、かなり使えます。 シングルハンドのスペイキャスト、私は最近ほとんどツーハンドロッドなので、あまり試みる機会がありませんが、上流域ではますます可能性が広がりそうですね。
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d-yun5-fly-elise at 2007-06-27 00:20
匿名さん、こんばんは。ご丁寧なコメント、ありがとうございます。
全然気を悪くしておりませんので、ご心配なさらないで下さい。 でも、ご迷惑をお掛けしていたとしたら、大変申し訳なく思っております。 あそこのエリアは、私個人としてはかなり広いというか長いと思っているのですが、確かに駐車スペースも少ないですし、最近では近隣の農家の方にも大分迷惑を掛けているなぁと思っております(すれ違って会釈したり挨拶しても、なぜか顔が怒っています)。そういう訳で、近頃は離れた所に車を止めておりますが、やはり駐車スペースには限りがありますよね。 あそこのエリアは、友人達と共に本流では最も好きなエリアなのですが、もちろん私達だけのものではありませんし、あのエリアを訪れるいろんな方が楽しめればと思っております。 私達は基本的に上流から釣り下りますが、時々下流から釣り上がって来られる方にお会いします。そんな時は、ちょっとした挨拶と情報交換をして、またそれぞれの進みたい方向へと別れていきます。 匿名さんも本流でお会いした時は是非声を掛けて頂ければと思います。機会があれば、のんびりと本流の畔でお茶でもしましょう。
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せーいち
at 2007-06-27 21:25
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Yunさん、こんばんは。短いシンクティップヘッドをお探しなら、スカジットチーターがお勧めですよ。以前、当方のBlogにも書きましたが、10ftのフローティングボディーに10ftのコンペンセーターをセットし、その先に15ftのシンクティップを繋げて35ftのヘッドの出来上がりデス。Blogでは、同番手のチーターをお勧めしましたが、一番手上の方が投げやすいようです。13ft以下のロッドにベストマッチです!
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d-yun5-fly-elise at 2007-06-27 22:38
せーいちさん、こんばんは。アドバイス、ありがとうございます。
スミマセン。スカジットチーターの存在は知っているのですが、実は使い方が良く分かっていないのです(笑)。確か、5ftと10ftのラインがフローティングとインター各2本ずつ付いていたと思うのですが、それを繋げるということでしょうか?もう少し、詳しく教えていただけると嬉しいです。 これは私の勝手な想像ですが、ウィンドカッターのチェンジャブルタイプのミッドセクションを抜き去り、ボディに5ftのインターのチーターを繋いで、さらにその先に15ftのシンクティップを繋げれば、スカンジナビアンのようになるのかなぁと想像していたのですが・・・笑。
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せーいち
at 2007-06-28 06:27
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Yunさん、おはようございます。
スカジットチーターをそのままランニングラインに繋ぎます。ボディを10ftフローティングとして、10ftインタミをセカンドセクションにし、お手持ちのシンクティップやT-40を繋げればOKです。 他のラインにスカジットチーターを繋げるのではなく、スカジットチーターとシンクティップだけを使ったシューティングヘッドです。
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d-yun5-fly-elise at 2007-06-28 19:59
せーいちさん、こんばんは。
詳細な説明、ありがとうございます。 なるほど、そういう使い方をするのですね。確かにそのやり方だとショートヘッドのシンクティップになるのがよく分かります。トータルで35ft、十勝川あたりの背後にバンクの迫るポイントで使えそうです。 重要なのは1番手上のチーターということですね。機会があれば、 12'4" 8番のロッドに通して、初冬の十勝川で試してみようと思います。 |
札幌市在住Yunの北海道をメインフィールドにしたスカジットキャストによるトラウト&サーモン釣行記。R.B.MeiserなどのダブルハンドのカスタムスペイロッドやTube Flyなどの気ままなフライタイイングにお気に入りのリール、それにオリジナル音楽(Dub Techno, Ambient, Minimal, Drone, Noise Industrial)とフィールド動画(YouTube)などなど by Yun カテゴリ
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