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2006年 09月 18日

<Vol.330>Okhotsk trip と鉛のような僕の身体

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コツ、コツと部屋の窓を叩く柔らかくて小さな雨音で僕は深い眠りからゆっくりと目が覚める。半覚醒の意識が、少しずつ自分のものになるまでの不思議な感覚。でも、身体がまったく別物のようにいうことをきかなかった。まるで身体が鉛の塊のように重くて、耳を澄ませば関節からミシミシときしみ音が響いてきそうなぐらいだ。でも、そんな僕の身体の疲労とは裏腹になぜか気分は悪くはなかった。

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                    original photo by Mr.shu
友人達の待つオホーツクまでの道のりは片道約330km。決して短い距離ではない。キャンプ用品一式を積み込んだ車は東の空に昇ったばかりのオレンジ色に染まった三日月に導かれるように深夜のハイウェイを北へと進む。単調なハイウェイの道のりを軽くステアリングを握りながら、ほんの少しだけあの途方もなく広いオホーツクの海へと気持ちが向かう。意識の片隅ではMILES DAVISの'Round Midnightが響いていた。

グゥォン。あのフローティング・ラインのヘッドの先に結ばれたフォームを巻き込んだフローティング仕様の真赤なゾンカーを出会いたかったオホーツクのサーモンがテイクする感触を僕は言葉でうまく表現する事が出来ない。ランニングラインをリトリーブする指に伝わる衝撃とラインを握った手に感じる確かな重量感。サーモンは何度か首を振ったあと、いっきにジェットランのごとく沖へと疾走。僕の耳にはリールの逆回転する高音の残響音だけが取り残されて、サーモンは遥か彼方へと。バットからグンニャリと曲がった15feetのロッドと一直線に長く伸びるランニングラインがフライを咥えたサーモンとの間に描く角度があまりにも鋭角的過ぎて僕をほんの少しだけ不安にさせるけれど、これもある意味この釣りに魅せられた釣り人の忘我のひと時なのかもしれないとさえ思えるのだ。
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                   original photo by Mr.nisii
今年になって2度目のサーモンキャンプ。頭の中が真っ白になるそんな至福の瞬間というか忘我のひと時に僕は幸運にも何度か巡りあう事が出来た。それも去年こんな広大な海を目の前にポツンと佇みながらサーモンの強引なファイトに翻弄されるというあまりにも強烈な印象を僕に与えたオホーツクの海で。

それにしても疲れた。けっしてslowとはいえなし、きっと僕の目つきは笑っちゃうほどギラギラとしていて少しでもサーモンの気配を感じようと目を皿のようにして海を凝視しているような釣りなのかもしれないけれど、それはそれで楽しいものだと思うし、何といっても友人達と一緒だからね。

2日間の濃厚な釣りを終えて家に辿り着くと、僕はまるで機械仕掛けのおもちゃの電池が切れるように、部屋の明かりを消すのもすっかり忘れて、おまけに服を着たままベットに倒れ込み、あっという間に深い眠りの中に落ちていった。まるで何かに吸い込まれていくように。
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今日のBGM:MILES DAVIS/'ROUND ABOUT MIDNIGHT

by d-yun5-fly-elise | 2006-09-18 16:16 | salmon fishing | Comments(14)
Commented by abu-z4 at 2006-09-18 18:45
Yunさん、こんばんは。
サーモンキャンプ、先週に引き続きお疲れ様でした。
日曜にはまたもグリーンバックの見事なサーモン、おめでとうございます。
Yunさんの粘り勝ちですね。
毎度、Yunさんの体力と集中力と根性には脱帽させられます。
僕なりに頑張っているつもりですが、集中力が最初に切れると全て崩れてしまうんですよねぇ。
今年のオホーツクはこれでおしまいですが、日本海ではなんとか釣果をたしたいと思っています。
また、よろしくお願いします。
Commented by SHU at 2006-09-18 22:06 x
Yunさんこんばんは!
やっぱりちゃんと釣ってますねー。流石!
体力がなかなかキツイ場所ですから、泊まらないと集中力がもちませんね。来年こそはグリーンバックを見たいです。泊まりの予定にしなくては。。。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-09-18 22:32
ABUさん、こんばんは。
土曜日はお疲れ様でした。月曜日までオホーツクにいようかと思っていましたが、さすがに電池切れのように体力が持ちませんでした(笑)。
根性ときましたか(笑)。でも、あいにく根性だけは持ち合わせておりません。あるとしたら執着心に近いものなのでしょうね。ついつい我を忘れてのめり込んでしまいます(笑)。
来年は是非とも1台の車でグリーンバックのサーモンに出会いに行きましょうね。楽しみにしております。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-09-18 22:43
SHUさん、こんばんは。
2日目は少し状況が良かったというか私の立ったポジションが良かったようです(笑)。
知床以来あまり体力が持たないようです。迷った挙句札幌に戻ることに。自宅に戻ると、随分早いのねと家族に言われてしまいました。てっきり月曜日に帰ってくると思っていたようです(笑)。
また来年是非ともグリーンバックのサーモンに出会いにオホーツクの海に行きましょう。もちろん宿を予約して・・・。

P.S.そういえば帰りに手塩川の上流を覗いてきましたが、すっかり干上がって沢川みたいになっていましたよ。
Commented by flyman44u at 2006-09-18 23:21
Yunさん、こんばんは。
オホーツク遠征お疲れ様でした。
素晴らしい景色とサーモンの狂気乱舞した曳きを堪能されたようですね
僕達も今シーズン初めてオホーツクのサーモンに出会えました
強烈なファイトは元々壊れている自分の脳に駄目押しするかのごとく
強烈なインパクトを埋め込みました(笑)。
ドラックですね!麻薬患者となった僕は来年もオホーツクの海に立って
いることでしょう!何時かは同じ海岸に立ってロッドを振りましょうね。
Commented by kurius at 2006-09-18 23:26 x
Yunさん
お疲れさんでした。今年も思い出深い旅になりましたね。そして最終日の3連打は凄かった!!コーヒーとビールご馳走さんでした。また来年やりましょう~。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-09-19 00:10
ryoさん、こんばんは。
先週に引き続きオホーツク遠征でした(笑)。最近はなかなか体力が持ちません。私の中では去年ほどのんびりムードではなかったのですが、でも友人達とのひと時は十分過ぎるほど楽しかったですよ。
確かにこの釣りにはアディクションがありますよね。秋が深まる頃には、いつものリズムに戻るためのリハビリが必要になるかもしれません(笑)。
こちらこそ、いつか御一緒出来る日を楽しみにしております。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-09-19 00:15
kurisuさん、こんばんは。OSJ、お疲れ様でした。
お蔭さまで今回も楽しい旅になりました。
来年も何とか都合をつけて、いえいえしっかり予定を組んで参加させて頂こうと思っております(笑)。
やっぱりあのロケーションはたとえサーモンに出会えなくても来て良かったと思えるものがあります。それに皆さんにもお会いできますしね。
Commented by suda at 2006-09-19 00:25 x
Yunさんこんばんは、OSJお疲れ様でした!
「Yunさんの日」と呼びたくなるくらいの釣りっぷり、凄かったです。
ビールとコーヒーを御馳走になりましてありがとうございました。

ちなみに今日も私だけに立派なカラフトが会いに来てくれました・・・
Commented by hori at 2006-09-19 10:56 x
OSJ、お疲れさまでした。
最終日のメーン会場での連続ヒットはお見事でした!
無事、咲来の知人にも会えて札幌に帰る頃には夕暮れ時になっていました。
今年のOSJはDavid Sylvian/BlemishをBGMに終了。
今から来年が楽しみですね。
では、また。
P.S.ビールごちそうさまでした。おいしかったです!
近くの酒屋にあるか探してみます。
Commented by moto at 2006-09-19 19:58 x
へぇ〜〜サーモンもグリーンバックなんですね
いつお邪魔しても綺麗な写真、情景が見えるよな文章ありがとうございます。
まだ行ったことのない北海道ですが自分が釣っている気になってしまいます^^
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-09-19 22:01
sudaさん、こんばんは。
こちらこそ、OSJお疲れ様でした。ステッカー、ありがとうございました。近いうちに洗車して、しっかりと張り替えておきます(笑)。
あの日は、たまたまですよ。もしかしたら潮目との関係が良かったのかもしれませんね。でも今思うと、来年あそこで出会う予定のサーモンの分まで今回出会ってしまったのではないかとちょっと心配しております(笑)。
来年のOSJでは宜しくお願いいたします。何とか今の点数を維持して来春には復活したいなぁなんて思っております。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-09-19 22:10
horiさん、こんばんは。
OSJでは大変お世話になりました。ご挨拶できなかったのが気掛かりだったのですが、キャンプ場のトイレの前でお会い出来てよかったです(笑)。私の方こそ来年も宜しくお願いいたします。
ああいう事もたまにはあるんですね。今年の運を全部使い果たしたような気分です(笑)。
David SylvianのBlemishは聴いた事がありません。David Sylvianの声とメロディーは好きなので、今度時間を見つけてチェックしてみます。
バス・ペール・エール、気に入っていただけましたか。あのビールはリカーショップであまり見かける事がないのですが、私は栄通りのえびす屋で買っております。
P.S.来年の知床釣行の際には連絡させて頂きますね。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-09-19 22:17
motoさん、こんばんは。
オホーツクの海は遡上河川から離れているせいか、フレッシュなグリーンバックのサーモンに出会えるチャンスがあるようです。でも、時々サーモン独特のグラデーションというか婚姻色の入ったサーモンも出会えます。
私もここまでグリーバックの鮮やかなサーモンに出会えたのはオホーツクの海が初めてです。
機会があれば、是非御一緒出来ると良いですね。


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