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2006年 08月 13日

<Vol.311>夏のオホーツク

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8月のオホーツクの海。
まだ薄暗いうちから、胸ポケットの小さなライトの明かりだけを頼りにいそいそと釣りの準備を始める。時折、オホーツクの海の潮の香りを微かに含んだ風が僕の横をしっかりとした存在感をもって静かに通り過ぎていくのが感じられる。徹夜の疲労と釣りの前の何ともいえない気分の高揚、それらが複雑に僕の中で絡み合っていたけれど、ABUさんから手渡されたスキットルに入ったシングルモルトをグイッとひと口あおると、なぜだか柔らかい膜のようなものに意識が包まれた感覚に襲われて、不思議な感じがした。まだ夜も明けきらぬ早朝の出来事。
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雄武川の河口海岸には、すでに30人ほどの釣り人の姿が薄暗い中に浮かび上がっていて、大海原めがけて黙々とキャストを繰り返している。でも、ほとんどの釣り人のロッドが鱒の重みで綺麗な孤を描く事はなかった。もしかしたら、この時期としては釣り人の数は少ない方なのかもしれない。きっとカラフトマスの回遊が遅れているからだろう。海水温の上昇、地球温暖化、いろんな事が原因のように囁かれているけれど、本当の事は誰にも分からない。おそらくいろいろな要因が作用しあっているのだろう。そういえば、地元の人によると今年は流氷が接岸しなかったそうである。おかげで今年はコンブが例年になく豊漁だとも言っていた。万物は変化するものだと誰かが書いたのを読んだ事があるけれど、こんな身のまわりの小さな変化が何か大きな変化の前の前触れでなければよいのだが・・・。
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                original photo by Mr.ABU
朝焼けのオレンジ色と濃いコバルトブルーの海、そして淡いライトブルーのオホーツクの空。すべてのものが温かみのあるオレンジ色に少しずつ染まり始める瞬間。不思議とこの色合いとコントラストがメチャメチャ好きだったりするから、あぁ、やっぱりここまで来て良かったと思える瞬間だったりもする。

日が昇り少しずつ釣り人が帰り支度を始めるようになって、人がまばらになった河口の流れ出しの中に立ち、そしてType1のヘッドとノン・ウェイトとの赤いフライをそっと流れに馴染ませながら送り込んだ。何度も、何度もである。

潮が少しずつ引き始めると、河口のかけ上がりの境界が鮮明に浮かび上がってくる。偏光グラス越しにやっとカラフトマスの群れが見えた。いるいる。20尾ほどの群れと5尾ほどの小さな群れ。これがいつかはやってみたいと思っているボーンフィッシュの釣りさながらの海のサイトフィッシングの始まりの合図だった。
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それにしても頭上に昇った太陽から燦々と照りつける日差しが眩しくて、とにかく暑いのである。僕はむしょうに風が恋しくなった。結局、3度ほどカラフトマスのスピード感のある強烈な疾走を、リールのミュートされた逆回転音の唸りとともに堪能したけれど、それらの多くはおそらくスレ掛りだったと思う。きっとオホーツクの海で1mほど垂直にジャンプした偏光グラス越しにでもそのギラギラとしたシルバーメタリックなボディが印象的なカラフトマスの1尾を除いては。でも、すべては予想の範囲を越えられない。なぜならすべての鱒がファイト中にフックが外れて海へと戻っていったから・・・。

相変わらず、眩しい太陽の日差しが夏のオホーツクの海にギラギラとふりそそいでいて、夏空がどこまでもどこまでも広がっていた。


 original photo by Mr.ABU
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-13 20:59 | salmon fishing | Comments(8)
Commented by akiranspey at 2006-08-13 22:52
YUNさん、こんばんは!
いよいよカラフトの季節到来ですね。
いつかはやってみたいと思っているのですが、実はお盆の時期ってなかなか休みがとれないんです・・・(泣)
カラフトはいけないかもしれないですが、いつか本流の釣り、ご一緒してください!!
Commented by flyman44u at 2006-08-13 23:34
yunさん、こんばんは。
オホーツクいいですね!雄武は2年前にryoukunと2人で
8/21日頃に行って以来です。結構爆釣でした。
しかし昨年のオホーツクのカラフトは良くない情報でしたので
オホーツクには足を運んでいません。
この前の釣行で枝幸方面から紋別方面に向かった時には
雄武には誰も居ない状況でしたね。それでも少なかれカラフトの群れ
と出会えて数尾のカラフトのファイトを楽しめて良かったですね。
僕も本当でしたら8/20日前後は何処かでカラフトを狙っているのですが
事情が有り今年は行けません。Yunさんのブログを拝見している
だけでも雄武の海岸に立っているように思えています。
また本流、積丹の海岸、浜益川、か何処かでお会いしましょう!
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-08-14 00:04
akiranさん、こんばんは。
少し遅れ気味とは言われていますが、北海道の夏の風物詩もやっと始まったようです。でも、これからでしょうか(笑)。
実は久しぶりのオーバーヘッドでなかなかキャスティングが上手くいきませんでした。最近はスペイキャストばかりでしたからね(笑)。
道央の本流、8月は殆んど通った事がないのですが、しばらく通ってみようと思っています。私の方こそ、いつか御一緒出来る日を楽しみにしております。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-08-14 00:14
ryoさん、こんばんは。
今のところ、なかなか状況は厳しいようですね。雄武以外にいくつかポイントをドライブがてら巡ってみたのですが、どこもパッとしませんでした。天気はメチャメチャ良かったのですが・・・。友人が車の窓から海を見て、ハワイみたいと言ったのが印象的でした。
私の見る限り、新しい群れは入っていなかったようですし、同じ群れが河口の周りのワンドを行ったり来たり。そんな中でのサイトフィッシングはそれなりに楽しくもあり刺激的でもありました。
P.S.おそらく今週の火曜日も午後から本流の様子を見に行っていると思います(笑)。
Commented by Lt_cahill at 2006-08-14 15:40
yunさん、こんにちは。
カラフトマスは夜明け前から始まるんですね。知りませんでした(笑)
それにしても群れが見えるサイトフィッシングとはエキサイティングですね。
いつかは挑戦してみたいものです。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-08-14 20:39
Lt_cahillさん、こんばんは。
気の早い釣り人は、まだ暗い内から始めておられるようです。でも、場所取りの意味合いの方が強いかもしれません(笑)。
それでも、早朝とイブニングの方が鱒が口を使ってくれる事が多いようですね。
実は群れが見えるのも良し悪しです。日中太陽が昇って群れが視認出来るようになり近くにいるときはいいのですが、群れが離れるとまた回遊してくるまで、しばらくの間辺りをキョロキョロと待機時間となります(笑)。
Commented by abu-z4 at 2006-08-14 20:54
Yunさん、こんばんは!
土曜日は、お疲れ様でした。
期待外れに終わりましたが、まだ知床があるのでそちらに期待しましょう。
僕は寝てばかりいましたが、久しぶりの海だったのでそれなりに楽しませてもらいました。
念願のケバブも食べる事ができましたしね。
とっても疲れた1日でしたが、あんな風に過ごす日も僕は嫌いではありません。
アクシデントは嫌ですが・・・・
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-08-14 22:11
ABUさん、こんばんは。
土曜日はお疲れ様でした。ちょっとお疲れのようでしたが、お身体の方は大丈夫ですか。
カラフトマスは、きっとこれからでしょう(笑)。回遊が早い年もあれば遅い年もあるものですから。
ドナケバブ、お気に召していただけましたか?私は最初にあの料理を食べた時は、メチャメチャ美味くて感激したのが今でも鮮明に思い出されます。特にあの青唐辛子のソースがメチャメチャ好きなんですよ(笑)。

P.S.SHUさん、指の方は大丈夫なんでしょうかね。


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