打ち寄せる波に、引いてゆく波。それらがゆっくりとした振幅で心地良い余韻を残しながら繰り返す音色は、耳を澄ましていると何かの息遣いのようにも聴こえてくる。
ゴロゴロゴロ・・・。玉砂利が敷き詰められた大平の海岸で後ろからの風を受けながらロッドを振っていると、僕の耳には絶えずこの石と石とが擦れ合う独特の波の音色が響き渡っていた。打ち寄せた波が引くと、少しの時間差をおいて玉石の奏でる音が小さくフェード・アウト。そして残った白波が少しずつ石の間に消えていく。それも、ゆっくりと。ランニングラインをリトリーブする手を止めて、同じ事が二度と繰り返される事が無い営みを見つめていた。釣りそのものとしては、手前の白波を立てながら打ち寄せる波はランニングラインが巻き込まれたりすることもあるものだから、厄介な事が多いけれど、僕の中にちょっとだけ周りを見渡すゆとりがあったせいか、その繰り返される営みを楽しむ余裕があった。
"The sound of wave"
砂浜に描かれる白い波と砂浜とのコントラスト。この模様も見ていて飽きないものがある。それに、砂浜に波が消えていく時に聴こえて来る微かな砂の音に耳を傾けていると、少しずつ気持ちが穏やかになっていくのが感じられる。まるで何かにシンクロするかのように。
今日のBGM:WAVE/ANTONIO CARLOS JOBIM