先週末、いつも見る本流の周辺の穏やかな風景は白一色の雪景色で覆われていた。
いつものように冷えきった身体をコーヒーを飲みながら暖めて、僕らが帰り支度をしていると、雲の切れ目から夕日が差し込んだ。すると夕日に照らされて周囲の風景が眩しいぐらいに急に明るくなった。
カメラの金属ボディのビックリするような冷たさでハッと我に返ると同時に、僕は無意識の内にカメラのシャッターを押していた。
雪というのはとても光を反射するようで、家に帰って撮った画像を加工していたら、そのとき撮った画像はまるで月面の世界のようになった。「moonface」。
雪に覆われたなだらかな曲線がまるで女性的な、何もかもを包み込むような軟らかいイメージを想起させる。
それにしても写真(いや、加工した画像と言った方が良いのかもしれないけれど)というものには不思議な感覚にさせられる。この写真を撮っていた時、僕は遠くから聞こえる本流のせせらぎの音を耳にしながら、久しぶりに本流の鱒に出会えた余韻に浸っていたはずなのに。
今日のBGM:JIM HALL/CONCIERTO