走っている車もまばらな夜明け前のハイウェイを北上した。
やがて遠くに連なる雪の残った山々の稜線から太陽が昇る。
まるで少し濃い色にしたサーモンピンクに染まった大きな太陽だった。
そんな美しい朝焼けがハイウェイのアスファルトの先にパノラマチックに広がるのだから、きっと今日は天気がゆっくりと下り坂なのだろう。
ここ数日の春らしい陽気で、ハイウェイから見る本流はどこも溢れんばかりに雪代増水中のようだ。車の中の僕とABUさんは、
ちょうど1年前の今ごろのことを思い出して苦笑いする。
幸運にも、山上湖の小さな駐車スペースには、すでに数台の車が止まっていた。
もしかしたら山上湖には少しだけ雪代による濁りが入っていたのかもしれない。
野鳥のさえずりを耳にしながら、MeiserのS2H14067MKS-the "Trouty Orange"にセットしたSt.Johnからアイスブルーのアトランティック・サーモンSH(インター)#9/10を引き出し、3Xのテーパーリーダーの先に#6番フックに巻いたビーズヘッド仕様のウーリーを結ぶ。ちなみに今回のウーリーには、テイルに少し長めのオーストリッチを数本、ボディハックルにはUVではないノーマルのポーラーシェニールを使ってみた。
針葉樹の濃いフォレストグリーンとあちこちに点在するフキノトウの淡い黄緑色とが印象的なオホーツクの山上湖だった。案の定、湖水は薄っすらと少しだけ濁っている。
湖底が堆積した土砂で埋まって、山上湖は少し浅くなっているのかもしれない。フライが着水して数秒ほど沈ませると、フライが湖底に沈んだ木の枝や枯葉を拾ってきた。
それでも、リトリーブとリトリーブの間にグゥンと指にかけたランニングラインが引き込まれ、パワフルでスピード感に溢れるレインボーらしい躍動感がロッド全体に伝わってきた。
やがて予想通り、風が強まり始めた。背後の森からゴーゴーと風の唸り声が共鳴しながら大きく響き、木立が左右に激しく揺れていた。
うつむきながらフライをオリーブから黒に交換していると、何気なく異変というか変化のようなものを感じて、ふと顔を上げてみる。すると僕の視界に大きな尾びれのグッドプロポーションのレインボーが湖面から大きくジャンプするのが飛び込んできた。さらに左を見ると、ABUさんのルアーロッドが大きくしなっている。でも、残念ながらそのジャンプを境にABUさんと大きなレインボーとのランデブーは終わってしまったようだ。
残念そうに苦笑いするABUさん。
それから、山上湖に吹く風はさらにその存在感を増していった。
今日のBGM(1) : Beat pharmacy feat. Mutabaruka / wata (deep dub)
今日のBGM(2) : Beat Pharmacy / Velocity
今日のBGM(3) : Beat Pharmacy / Slow Down
今日のBGM(4) : Beat Pharmacy feat Mikey Dread / Club Dread