山上湖へと続く峠道、山々の頂と車道の脇には少しずつ白い雪が目立ち始める。黒く濡れた路面。おまけに道路標識からは垂れ下がったツララまでもが・・・。
夏タイヤではかなりスリリングなドライブだった。
慎重に、そしてゆっくりと峠を越える。山上湖まではあともう少し。
風がとにかく強い一日だった。
白波立つ湖面を見るのなんて、久しぶりのような気がする。
ウェーディングしていると時折り台風並みの突風が背後から吹きつけるのだけれども、その強さというと思わず風に押されて身体が前のめりになってしまうほどで、僕はオイルの染み込んだ帽子を吹き飛ばされないように手で押さえるので精一杯だった。
山上湖の空はこの上なく青く、そして高かった。
千切れた雲が物凄いスピードで流されていく。
ガサガサと紅葉し始めた周囲の木々から絶えず音が鳴り響き続け、湖面の上を秋色に色づいた広葉樹の葉がたくさん舞う。
とにかくこの日は風が強くてキャストしづらい一日だった。午前中は特に。
こういう風の強い日には、フルシンクのスカンジSHではなくラインが若干重めのスカジットラインでシンクティップの方がロッドに負荷がかかってキャストには向いているのを経験上知っているのだけれど、今のところリールに巻きこまれているのはSA/3M社のAtlantic Salmon SH Intermediate #8/9(520gr)。とにかくDループが背後からの風で上手く作れず、午前中の僕はというとは久しぶりにキャストで溜め息ばかり。おまけに湖面を漂う枯葉にも・・・。
午後からは少し風も弱まり始めただろうか。風が弱まると、パラパラと雨が降り始めた。
風の息遣いに注意を払いつつキャストを続けていると、ランニングラインをリトリーブする指先に不意にグゥンと根掛かりのような衝撃が訪れ始める。
3Xのテーパーリーダーにフライは何の変哲もないビーズヘッド仕様の黒のウーリー。
山間から何度も鹿の鳴き声を聞く。ゆっくりと秋が深まっているのを感じた一日だった。
今日のBGM : Meat Beat Manifesto - Mindstream (Orbital remix)