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2009年 08月 02日

<Vol.698> 2009年のカラフトマス釣り

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すべてのシルエットは曖昧そのもの。
ミスト状の潮の香りを伴った高粘質の空気感が僕の周りに纏わりつく。
おまけにとても8月とは思えないぐらいの低い気温。
そして薄い皮膜にでも包まれたかのようなファジーな輪郭で周りの海岸風景がぼんやりと僕の視界の中で浮かび上がる。
安っぽいサスペンスドラマに出てきてもおかしくなさそうな、どこか深い霧のかかる奥深い森の中にふと迷い込んだような気分だった。
きっとここからの出口なんて簡単に探し当てる事は出来ないんだろう。
白いガスのような靄が低く垂れこめた道北は枝幸町近辺のオホーツクの海で、ちょっと気の早い僕らは夏の風物詩のようなカラフトマスの姿をさがし求めた。


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朝は穏やかで鏡のようなオホーツクの海が目の前に広がっていた。
スーッ、スーッとランニングラインのリトリーブに合わせて、背中にフォームを載せた赤いフライが引き波を立てながら、水面上をこちらに向かって滑走してくる。きっとフォームの下ではマラブーやラビットストリップ、それにフラッターレッグがユラユラと揺らいでカラフトマスを誘惑しているのだろう。ちなみにフックはがまかつのB10-S#4番で、サーモンでは#2番を使う。
14フィート#7番のツーハンドロッドでAFS#7/8のフローティングラインを使い、下のようなフライをペリーポークでキャストする。水面上に出た海草に時々フライが引っ掛かって、僕は少々キャスティングのリズムを狂わされてイライラするのだけれども、まぁこればかりはちょうど干潮のタイミングだから仕方がないことなのかもしれない。

何投目かのキャストで、引き波を立てるフライのちょっと後ろの海面が少し不自然に盛り上がった。
一瞬ドキリとするが何食わぬ顔で同じリズムを維持したままリトリーブを続ける。
何かが水面下で泳ぐ方向を変えてフライを後ろから追い始めるのがわかる。
そしてそのスピードが少し上がったと思った瞬間、ゴボっと何かに襲いかかろうとするカラフトマスの姿と共に水面が大きく割れた。
一瞬の間を置いてランニングラインをリトリーブする指先とスペイロッド全体にカラフトマスの躍動感が伝わったのだけれど、残念ながらいつものようにそれは長続きはしなかった。

8月最初の土曜日に訪れたオホーツクの海で、結局僕には3回のカラフトマスとのコンタクトが訪れた。
フォームを載せたフローティング仕様のフライ、フォームを巻き込んだサスペンド仕様のフライとフィールドの状況に応じてフライのタイプを使い分ける。
久しぶりにカラフトマスのスピード感溢れる疾走をリールの奏でる悲鳴にも似たサウンドと共に楽しんだのだけれど、銀鱗の白い魚体が海面下でギラっと瞬くローリングと共にバーブを潰したフックが外れてしまった。
そんな事が2度も続く。


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低い峠を越えると気温の上昇と共に、夏らしくないどんよりとした空からカラっと晴れ渡る夏らしい青空へと見事に替わった。同じ道北でも随分と場所によって天気が異なるものである。
天塩川本流はまだまだ水位が高く、濁りが残っていたけれど、支流が合流するいくつかのポイントでスペイロッドを振ってみた。
それにしてもこの本流には尻別川や十勝川とも異なった何かしらを釣り人に感じさせてくれるものが佇んでいるように思う。やはり広大な北の本流。
いつか流れがクリアーな時にでも、じっくりとこの流れに佇んでみたいと思った。


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by d-yun5-fly-elise | 2009-08-02 18:44 | salmon fishing | Comments(8)
Commented by abu-z4 at 2009-08-02 19:39
Yunさん、こんばんは。
昨日は、お疲れさまでした。
750Kmとは、よく走りましたよね(笑)
それにしても、かなり厳しい状況だったにも拘らず、3度もカラフトマスを掛けたのですから見事なものです。
バーブレスフックでなかったなら、きっとあの3匹はすべてYunさんの手に収まっていたことでしょう。
僕は相変らずいつも通りのノーフィッシュに終わりましたが、今朝、根掛り対策のアイディアがふと浮かんだので、次回に試してみようと思っています。

Commented by yanbaidesu at 2009-08-02 19:45 x
 こんばんは。
 いろいろフライパターンに悩んでいたのですが、やっぱりガーグラースタイルでいいようですね。参考にさせていただきます。
(フォームは何色が良いようですか?)
さ~頑張ってフライ巻かなきゃ、、、、、でも全然釣りに行けなくてフラストレーションが最高潮です、、、、、(泣)
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-08-02 21:56
ABUさん、こんばんは。
こちらこそ昨日はご苦労様でした。それに長い距離の運転、ありがとうございました。土曜日は予想以上の長距離ドライブになりましたね。
それにしても、寒かったです。オホーツク海側の気温の低さにはちょっと驚きました。あれでは農作物や牧草の成育に影響があるかもしれません。
バーブレスフックはリリースを前提としているものではなく、フィールドでの自身や他の釣り人の安全の為に、ここ数年フックのバーブを潰しています。でも、やっぱりバレてしまいますね(笑)。本当は1年ぶりに銀鱗が剥がれ落ちるようなフレッシュなカラフトマスの魚体を見てみたかったのですが・・・。
ルアーでは根掛かりが多くてなかなか釣り辛いポイントでしたが、ABUさんのふと浮かんだアイディア、気になるところです。
Commented by 110-ken at 2009-08-02 22:11 x
Yunさん,こんばんわ

オチャラベではガーグラーは必需品ですね。自分はこの対応にさらに,Reviewのエバードライでフライを浸し,使用しています。
イルカ食いのカラフトやサーモンはたまりません(^。^)

さて,今日ようやく仕事がひと段落しました。無事というか残念というかなんと表現をしていいかわかりませんがペキンには参加できるようになりました(笑)
また,来週もオホーツクにこられますか?もしこられるのであれば久しぶりに一緒にロッドを振りましょう!しばらくは毎週釣りができそうです!!
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-08-02 22:11
yanbaidesuさん、こんばんは。
道内でもフィールドによって使われるフライは様々でしょうが、一番のポピュラーなスタイルは、やはりゾンカースタイルなのかもしれません。
私達がよく足を運ぶオホーツクのフィールドでは、フライが沈んでしまうと昆布根に引っ掛かるので、私はシャンクにアンダーボディとしてフォームを巻きつけて、サスペンド・タイプにしています。
ガーグラースタイルのフローティング・タイプの場合、フォームのカラーは釣り人にしか見えないので、特に気にする必要はなく、視認性の良いものを選ばれて問題ないと思いますよ。いつもは赤のフォームですが、ストックを切らしていたので目立ちやすいグリーンで巻いてみました。
日中はフライを沈めた時が良い時もあるようですから、是非いろいろと巻きそろえておいて下さい。
カラフトマスでもサーモンでも、水面に浮かんだフライにガバっと出るのって、なかなか刺激的ですよ。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-08-02 22:22
110-kenさん、こんばんは。
110-kenさんの赤いフライはフロータント仕込みでしたか。確かにカラフトマスやサーモンが赤いフライめがけてガバっとドライフライのように派手に出るのは視覚的にかなりエキサイトしてしまいますよね。

お仕事の方も落ち着かれましたか。ということは毎週末、違った意味で忙しくなりそうですね。知床の海の方も楽しみにしております。
実は十勝川本流も気になっています。増水と濁りが落ち着いていれば、行ってみたいところですが・・・。
Commented by hori at 2009-08-03 10:01 x
yunさん、こんにちは。
いつものようにハードでしたね(笑。
天塩川は、コンディションの良いときに是非、挑んでみたいですね。

Commented by d-yun5-fly-elise at 2009-08-03 20:06
horiさん、こんばんは。
土曜日はお疲れ様でした。確かにハードな一日でしたね。
でも、久しぶりに下川町のモレーナでスパイスの効いたチキンカレーとドナケバブが食べられて私は満足でした。
天塩川のポイントでは先行させていただき、ありがとうございました。鱒には出合えませんでしたが魅力的な流れでしたね。また是非とも行ってみましょう。


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