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札幌市在住Yunの北海道をメインフィールドにしたスカジットキャストによる釣行記。

by d-yun5-fly-elise
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<Vol.959> 北の本流は雨のち晴れ
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車に乗り込む前からパラパラと夏の雨が降り出していた。雨雲と共に僕らを乗せた車は、フロントガラスに当たる雨音を車の中に響かせながら深夜のハイウェイを北上する。そういえばここ最近、フィールドに足を運ぶ際に雨が降っていたことなんてあまりなかったように思う。今年の7月は雨の日が少なかったから、数週間前に初夏から秋用にとアウトレットで買ったPatagoniaのブルーのレインジャケットが、もしかしたら今日は良い仕事をしてくれるんじゃないかと車の中で考えたりする。ちなみに、土曜日の天気予報は雨のち曇り。


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ロッドはマイザーの14フィート、#7/8番、MKS。
リールはディスクブレーキ搭載のサラシオーネの33/4。
ラインはエアフロ社のスカジット・コンパクト(FもしくはI))600グレイン。
ティップはリオ社の15フィート、#9番、各種シンクレートのティップ
ティペットは2.5号もしくは3号のフロロカーボン製を1.5mから2mほど。
これがスカジット系のキャストを好む僕の、北の本流"Salty Heaven River"でのメインのタックルシステム。いつだって不意に訪れるグッドサイズの本流レインボーとの出合い。タックルだけじゃなくて気持ちの上での十分に準備出来てはいるつもりだけれど、やっぱり季節は夏というか、雨の少なさで水位の低下と水温が上昇する本流での釣りは、膨らみ続ける期待に反してなかなか厳しいものがあったりする。


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曇った空からパラパラと存在感の薄い小雨がフィールドへと降っていたけれど、薄くて軽いPatagoniaのブルーのレインジャケットは期待通りの良い仕事をしてくれた。
いかにも本流らしい川幅が広くて流速のある流れのポイントで、フローティングのスカジット・コンパクトにティップワレットから取り出したタイプ3のティップを繋ぎ、3号のティペットの先にはダイイチの2050のスペイフック#7に巻いた黒系のフライを結ぶ。ボディには使い残しのピーコックハール数本をグルグルと巻き、ゴールドのラウンドティンセルに沿って毛足が細くて長いスペイハックルをボディに巻いてみる。ウイングには最近あまり使い道がなかった少しファイバーが硬めの黒のレアを切り出して乗せてみた。濡れたフライは手のひらの上で細いシルエットになるけれど、水中では意外とハックルがフワッと開くようだ。


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1キャストごとにステップダウンし、速い流れが水深が深まると共に緩やかになり始めたあたりで、スイング中のフライをレギュラーサイズのレインボーが少し濁りの入った流れの中から見つけてくれる。
小気味良い躍動感に数回のジャンプと、なんだか夏らしいレインボーだったかな。
レインボーを流れの中に戻すと、いつの間にか夏の雨の気配がフィールドから徐々に消えつつあった。


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下流へと車へ少し移動し、今度はそれなりに水深のある岩盤エリアへと足を運ぶ。
水面下に沈んだ岩盤の縁にはたくさんの小さなウグイの稚魚が泳いでいたし、時々アングラーの気配に驚いて慌てて逃げていくウチダザリガニも。こういうエリアは、もしかしたら小さな生命感が少しだけ濃厚なのだろうか。フライを少し沈めたいのでティペットの先に結んだ僕の中での小さなウェットフライを、今度はタングステン製のコーンヘッド仕様のチューブフライに結び替える。
水面下に沈んだ凹凸のある岩盤の上でバランスを取りながら少しずつステップダウン。チューブフライがユラユラと岩盤の縁近くで揺らいでいると、ゴンという根掛かりとは違った角の取れた衝撃が指で軽くホールドしたランニングラインに伝わる。レギュラーサイズだったけれど、背中のオリーブと側線のオレンジとのコントラストが鮮やかななんとも夏らしい色をしたレインボーだった。そんなレインボーを流れに戻すと、頭上の空はすっかり夏の空に変わっていて、雲のすき間から眩しい日差しがフィールドに降り注いでいた。


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今日のBGM(1) : Isabelle Antena / Omerta Bossa (Nicola Conte Version)



今日のBGM(2) : Bobby Hughes Combination / Kerma Elastica (Nicola Conte Remix)


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by d-yun5-fly-elise | 2013-07-28 20:18 | spey fishing | Comments(6)
<Vol.958> 本流が目覚める前に
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淡いグレーのベールが本流を柔らかく包み込んでいた。
水位が少し低くなったせいか、薄いカーキー色に色付いた本流の速い流れの音色がいつもよりもさらにしっかりと耳元に響いてくるように感じられる。
もしかしたら厳しいかもという僕の予想は見事に外れ、レインボーとの出合いは、北の本流がまだしっかりと目覚める前の時間帯だった。


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600グレインのスカジット・コンパクト(F)の先には、15フィート、タイプ3(9wt)のティップ。
全長2mほどの3号フロロカーボンのティペットの先には、黒のスードゥーヘアーをテイルに使ったブラス製のコーンヘッド仕様の黒のイントルーダー。ちなみにフックは管付きチヌ針5号。
白泡の立つ速い流れに対して、右岸に立つ僕はスネークロールから一度キャストする方向にラインをダンプし、そこから対岸めがけてクロスにペリーポーク。チャートリュースカラーのスカジット・コンパクトが流れに乗って下流へと膨らんでいく。支流からのクリアーな流れにウェーディングしながら、10m程ステップダウンしたあたりだっただろうか。


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下流へと膨らむスカジット・コンパクトに引かれて、おそらく着水したフライはそれほど沈んではいなかったと思う。突然ガバッと本流に派手な水柱が上がり、指先でホールドしたランニングラインがほんの少しタイムラグを置いてバチンと弾かれた。そしてレインボーは流れに乗って一気に下流へと疾走する。
こういう出合い方を夏の出合い方とでも言うのだろうか。ともかく僕がこれまであまり経験したことがない出合い方には違いない。そんなことをバットからグンニャリと曲がるマイザーの14フィート、7/8番、MKS、それにレインボーにランニングラインを引き出されながら凄い速さで逆回転するサラシオーネのS字ハンドルを眺めながら、僕はなぜかふと考えていた。


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ガバッ、ガバッとレインボーが水面近くで派手に暴れる度に僕はフックアウトするんじゃないかと何度も肝を冷やし、二度目のトライで何とか無事にネットイン。本流がしっかりと目覚める前に出合えたあとちょっとでLLサイズというレインボーは、もちろん僕にとってはグッドサイズだったし、まるで夏の美しさのようにギラギラとメタリックに輝いていた。


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僕の中で苦手意識が強い夏の本流で贅沢はいえないけれど、でも、この出合いはちょっと早すぎたかなと。もしかしたら次もという僕の期待感がそんなに簡単に上手くいくわけがなく、日中は夏らしい青空とジリジリと照りつける日差しが続き、そのあとの本流での夏の釣りはというと、鱒からのコンタクトはどんなに手を尽くしてもサッパリ。きっと早朝の出合いは、北の本流がしっかりと目覚める前だったから、僕のこだわった釣りのスタイルでもなんとか誤魔化しが効いたのかもしれない。やっぱり夏の釣りは難しいなあ・・・。そんなことを容赦なく照りつける夏の日差しを浴びてカラカラに乾いたアスファルトの匂いを感じながら僕は思った。

それにしても、日中のうだるような汗ばむ暑さからは想像もつかないぐらい、夜のキャンプ場はフリースのジャケットを家に置いてきたことを後悔するぐらい寒かったりする。


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今日のBGM(1) : Gotan Project Live / Santa Maria (del Buen Ayre)



今日のBGM(2) : Gotan Project / Santa Maria



今日のBGM(3) : Gotan Project / Diferente


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by d-yun5-fly-elise | 2013-07-21 22:08 | spey fishing | Comments(18)
<Vol.957> 北の本流、東の本流、そして夏のリズム
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いよいよ北の大地にも暑い夏のシーズンがやってきた。
車のカーゴルームに寝袋などの車中泊セット一式とお気に入りのツーハンドロッドなどの釣りのタックル一式を積み込み、深夜のハイウェイをのんびりとひた走ったのは、7月の連休の初日だった。風は穏やかそのもので、ハイウェイの電光掲示板にはオレンジ色で風速0mの表示が点っている。きっと日中はうんざりするぐらい暑くなるに違いない。


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北の本流の上には薄っすらと霧がかかっていた。きっと霧が晴れたら、どこからともなく夏の青空がどっかりと存在感たっぷりに頭上へ現れて、気温も一気に上がるのだろう。
3号のフロロカーボンのティペットの先に先日巻いたHerniatorというテレストリアルっぽいウェットフライを結ぶ。確かこのフライは、昔買った「Flies for Steelhead」というパターンブックの片隅に載っていたウェットフライだっただろうか。普段はちょっと長くて大きなイントルーダーやチューブといったフライをティペットの先に結ぶことが多いから、#6番のウェット用のフックとはいえ、なんだかずいぶんと小さくて頼りなげに思えてしまう。


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週の半ばに降った雨の影響で、本流の濁りはまだしっかりとは落ち着いていなかったようだ。支流の合流部付近でくっきりと分かれたツートーンの流れの筋に沿ってフライをゆっくりと流していく。ランニングラインとスカジットコンパクトの繋ぎ目がトップガイド付近までやってきたので、次のキャストに向けてラインをピックアップしようとした時、どうやらイレギュラーなフライの動きに対してか、僕にとっては悪くないサイズの鱒がガバッと水面を割って反応した。「なに、何?、今のは・・・」。もう一度気を取り直してキャスト。ラインが下流へと膨らみ、ほとんどストレートになった頃合を見計らってゆっくりとリトリーブを加えると、数回目のリトリーブでグゥンとレインボーの躍動感が指先に伝わってきた。先程の鱒よりも少しサイズダウンしたようなレインボーだったけれど、数回ジャンプは見せてくれるし、なんだか夏らしい元気の良いレインボーだったように思う。ふと気がつくと、すっかり本流の上をおおっていた霧が晴れていた。ジリジリと夏の暑さが僕の背中に照りつける。


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北の本流から東の本流へと大きく車で移動することにした。
山間を流れる東の本流の上流域はきっと木陰になっていて、その冷たい流れにウェーディングしていたら、きっと暑さも忘れるぐらいに気持ちが良いだろうと思われたのが大きく移動を決めた理由だろうか。


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北の本流ではMeiserの7/8番、MKSだけれど、ここ東の本流ではMeiserの6/7番、MKSにロッドを持ち替えた。冷たい流れには時々小さなライズが現れる。平地よりも気温が低いせいか本流を囲う木立からは時折り少しサイズの大きなヒゲナガがまるで遅れた季節のように舞い出してくる。それにしても、名も知れぬ野鳥の囀りを耳にしながら釣りをするのは何とも気持ちが良かった。でも、残念ながら僕が流すセッジを模したウェットフライを見つけてくれるのは小さなレインボーぐらいで、速い流れに育まれたスピード感溢れるレインボーには残念ながら出合えなかった。


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久しぶりにhideさんにお会いして、東の本流のポイントをいくつか案内してもらった。決して一人では行きたくないアスレチックなポイントやハードな藪こきを強いられるようなポイントなどなど・・・。hideさんお勧めの最初のポイントなんかにいたっては、いかにもかけ上がりにグッドサイズのレインボーがステイしていそうだったけれど、僕の腕が悪いのか、案内してくださったhideさんの期待には応えられず、ふたつ目の藪こきポイントで何とかレギュラーサイズのレインボーが顔を出してくれた。

結局大きなレインボーには出合えなかった7月の連休だったけれど、普段あまり行かないようなポイントに連れて行ってもらえて、なんだか別の意味でちょっと刺激的というか新鮮な気分を味わえたビートの効いた夏のリズムのような釣り旅だったように思う。


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今日のBGM(1) : Doctor Abstract / Struck on Jazz



今日のBGM(2) : The Dining Rooms / Afrolicious


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by d-yun5-fly-elise | 2013-07-15 18:27 | spey fishing | Comments(14)
<Vol.956> 夏の本流とフライのサイズダウン
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アスファルトのところどころが昨夜の雨で、長く引き伸ばされた楕円形を描きながら黒く濡れていた。早朝の空には薄い雲が広がり、雨上がりのせいかやたらと湿度の高い空気感がねっとりと辺りには漂っていて、背の伸びた刈り取られる前の牧草地の青草にたっぷりとついた雨露を避けようと、夏シーズン用にアウトレットで買った薄手のPatagoniaのブルーのディープ・ウェーディング・ジャケットを着て、堤防から河畔林の向こうを流れる本流まで歩くと、僕の全身から一気に汗が噴き出してきた。


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あれだけたくさんいたヒゲナガの姿も少しずつ目にすることも少なくなり、フィールドは徐々に初夏から夏の様相を呈し始めている。相変わらずせっせと北の本流、Salty Heaven Riverには足を運んでいるけれど、僕の夏の釣りへの苦手意識もあいまって、釣りの方はどんどんステージが変化しているというか、ますますシビアになってきているようだ。
大きな鱒との出合いへの期待感だけはお釣りがくるぐらいたっぷりとあるのだけれど、僕が流すちょっと大きくて長めのコーンヘッド仕様のイントルーダーには小さなアタリや、気まぐれのように小さなレインボーが挨拶程度に出てくれるけれど、グッドサイズの本流レインボーからのコンタクトは一向に訪れる気配はないようだ。
でも大きな本流レインボーなんて、どこにもいないんじゃないかと思っていると、突然到底フライが届きそうもないプールのど真ん中でドバーンと派手にその全身を顕にしながらライズするものだから、きっとどこかにはいるに違いないのだけれど、どうも僕と大きな鱒との距離は縮まりそうもない気がしてならない。


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それにしても夏の北の本流は気が遠くなりそうなぐらい暑かった。
日中の本流ともなると、あっという間に汗だくになってしまい、まったくもってキンキンに冷えたビールが恋しくなる季節である。
そんな訳で釣りを終えた翌日の日曜日は、冷蔵庫でキリっと冷えたお気に入りのハートランド・ビールで乾いた喉を潤しながら、フライのサイズダウンについて考えていた。
そろそろ、6~10番ぐらいのフックに巻いたウェットフライでも巻いてみようかと思う。


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今日のBGM(1) : Nicola Conte / Take Off



今日のBGM(2) : Maki Mannami / Lotus Sun


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by d-yun5-fly-elise | 2013-07-07 19:49 | spey fishing | Comments(12)
<Vol.955> ストレート・エンドのバイトと3本のMeiser 14' 6/7 MKS
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土曜日の夕日が河畔林の高さぐらいまで傾きかけた頃、僕は本流の川底からせり上がって下流へと続く岩盤の上に立っていた。イブニング前の静けさが本流を包み込む。対岸に向けてキャストしたラインがゆっくりと流れに乗って下流へと膨らみ、数回のメンディングでラインの形を整える。時折り川面の上を慌しくヒゲナガが飛び交うけれど、フロロカーボンのティペットの先に結んだフライは6番フックに巻いたビーズヘッド仕様のウーリーのまま。スイング中には何事も起こらず、僕がキャストしたラインとフライはやがて岩盤の上に立つ僕の下流へと辿り着き、ロッドの先から伸びたラインは一直線のストレートとなる。きっとその先のタイプ3のティップの先に繋がる沈んだフライは、岩盤の縁で複雑な流れに揺られているのだろう。


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期待はしていなかった。何しろ早朝から僕が流すフライにSalty Heaven Riverの鱒からの思わずドキリとするような素敵なコンタクトは訪れていないのだから。
予想に反して、流れの中を揺らいでいるフライが、いきなり強烈な力でひったくられた。まるでスイング中のフライが川底の大きな石にでも根掛かりした時のように。指にしたランニングラインに伝わる強烈な力は、根掛かりの時の直線的なものとは違い、間欠的かつ断続的なものだった。大きなヘッドシェイクに連動して川面が水飛沫とともに大きく割れる。ガボッ、ガバッ、ゴボッ・・・と。結局僕にはどうすることも出来なかった。強烈な力が続いたのはおそらく時間して5秒ほどだっただろうけれど、僕にってそれは心臓が止まりそうなぐらい長い時間のように感じられた。
思わず天を仰ぐ。確か去年の秋にも同じようなことが同じポイントで起こったような。違いはというと、それが早朝だったということぐらいだろうか。やっぱりフライを流しきったあとのストレート・エンドのバイトは僕にとって鬼門のようである。


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3号のフロロカーボンのティペットの先に結んだフライを、コーンヘッド仕様のイントルーダーに換えて、もう一度少し上流から流し始めることにした。
僕がイメージする核心エリアはもう少し下流だと思っていたけれど、数キャスト目で流れの中をスイングするフライがゴンと根掛かりのように引き込まれ、ロッド全体が大きく暴れ始める。


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レインボーは流れに乗って下流へと疾走し、ブレーキのノブを絞ったsaracioneからは、心地よい音色と共にオレンジ色のリッジランニングラインが勢いよく引き出されていく。そんなやり取りを何度か繰り返しただろうか。本格的なイブニングのプライムタイムを前にして出合ったのは、僕にとってはこの本流で出合うのが珍しい、少しさびの入ったオスのレインボーだった。


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かなり疲労した様子の見えるレインボーの体をしばらくの間流れの中でそっと保持していると、彼はゆっくりと自力で泳ぎだし始め、やがて岩盤の先に繋がる深みへとその姿を消していった。やっと一区切りつたような安堵感がジワジワとこみ上げてきて、僕の中でまた静かな時間が流れ始める。きっと今晩、キャンプ場で飲む冷たいビールはとびっきり美味しいに違いないと思った。


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北の本流での週末ごとの車中泊を兼ねての釣りも、結局3週連続になってしまったものだから、おかげですっかり車中泊の準備も手馴れたものになってしまった。
北の本流での僕のメインタックルはロッドがMeiserの14' 7/8 MKS、それにリールがディスクブレーキ搭載のsarasione 33/4。


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そんなお気に入りのメインタックルを車のルーフに積んで、気になるポイントをいくつも巡るのだけれど、やっぱり初夏から夏の本流での釣りには苦手意識があるのか、元気の良い小振りなレインボーが時折り挨拶に顔を出してくれる程度。それにしてもこのレインボーは派手なジャンプを僕に少なくとも6回は見せてくれただろうか。大きくなったら是非とも再会してみたいレインボーだろうか。


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早朝のキャンプ場では珍しく3本のMeiser 14' 6/7 MKSが揃った。
2本は僕のMKSだし、残りの1本はmoriさんのMKS。ロッドがビルドされた時期によって少しずつコスメも違うけれど、やっぱりどれも個性的。ちなみに写真の中の一番下はNZ製のブランクのMKSで、若干ブランクの径が細めな印象。何しろこのスペックが、私の周りの友人達の中でも一番人気のような・・・。


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夏用のウェーダーの調子がいまひとつなので、とうとう2年ぶりにウェーダーを新調することにした。SIMMSのウェーダーも悪くはないけれど、どうもツートーンの配色というかカラーがロボットチックに見えて、僕はどうしても好きにはなれないので、今回はたまたまアウトレットで見つけたPatagoniaのRio Gallegos Wadersを購入。Mサイズではちょっと大き過ぎて、レギュラーのSサイズでちょうどピッタリ。でも、考えてみればこのウェーダーもツートーンのカラーだけれど、何とか僕の中での許される許容範囲。予想以上に履き心地は悪くはないし、出来れば昔のSSTジャケットのように長持ちしてくれるといいのだけれども・・・笑。


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最近は徹夜明けというか夜通し車を走らせて一睡もせずに釣りをすることが多いから、日曜日の朝は他の釣り人がすでにひと流し、それともふた流し終えた頃にゆっくりと目覚めることがほとんどかな。前の日にコンビニで買ったパンとゆっくりと淹れたブラックコーヒーで朝食を済ませ、のんびりと初夏の日差しが降り注ぐフィールドへ。
もちろんこんな朝寝坊のアングラーに、容易に出合える鱒はなかなかいないのが普段のことなのだけれども、ここが最後にしようと僕が決めた3ヶ所目に巡ったポイントはどうやらそうではなかったようだ。
少し濁った本流の流れと透明感のある支流の流れとが綺麗にコントラストを描いていた。遠くから正午を知らせるサイレンの音が小さく響いて来て、堤防に沿って広がる牧草地を慌しく刈り取る作業車のエンジン音が大きくなったり、小さくなったり。青草が刈り取られた初夏の香りがフィールドには漂っていた。それにしてものんびりとした時間の流れである。釣りに対する期待感はそれほどなく、何しろ僕は腕時計を見ながらお昼には何を食べようかとさえ考えていたぐらいだから。支流から注ぎ込む透明感のある流れにウェーディングし、対岸の若干濁った本流の流れに向かってキャストを続ける。かなりステップダウンしただろうか。少し水深が深くなり始めたところで、特に期待感もなくキャストしていると、着水したフライがスイングを始めてややもすると、いきなり根掛かりのような強い衝撃がランニングラインを通じて伝わってきた。鱒は一気に下流へと流れに乗って猛スピードで疾走する。ロッドはこのポイントに着いてから7/8から6/7のMKSに換えていたし、リールはクリックブレーキのパーフェクト33/4。ロッドはバットからグンニャリとのされ、リールからは不安の香りのするスクリーミング・サウンドがいつまでも響き渡る。どうすることも出来ないまま、みるみるとバッキングラインがリールから引き出されていくのに数秒も掛からなかった。ラインを巻き取ってはまた引き出されるの繰り返し。レインボーは何度も大きなヘッドシェイクを繰り返し、その度にまたフックアウトするのではないかと僕の不安は大きくなる。
レインボーとのやり取りは、かなり長い時間だったと僕は思うのだけれど、意外とそうではなかったのかもしれない。川岸には夏の日差しを浴びたグッドプロポーションのレインボーが横たわっていて、それは美しさの塊のように僕には思えたのだった。またいつか出合えることを願って、レインボーの顎からコーンヘッド仕様のイントルーダーのフックをフォーセップで外し、そっと流れへとリリースする。

P.S.川岸に置き忘れた折りたたみ式のフォールディングネットをmr.hooさんに回収していただけました。この場をお借りして、お礼申し上げます。ありがとうございました。


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今日のBGM : Brian Eno / Thursday Afternoon


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by d-yun5-fly-elise | 2013-07-03 00:52 | spey fishing | Comments(8)