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札幌市在住Yunの北海道をメインフィールドにしたスカジットキャストによる釣行記。

by d-yun5-fly-elise
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<   2006年 08月 ( 15 )   > この月の画像一覧
<Vol.322>Far east ~ 東の果てへの旅・・・番外編
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シェフ・ハマダ。
まぁシェフといっても、とくに本職がシェフだという訳ではないし、ただ僕が勝手に彼が作ってくれる新鮮なカラフトマスを使った料理がメチャメチャ美味しくて最高にお酒に合うから、彼のことを尊敬の念を込めてシェフ・ハマダと呼んでいるに過ぎない。

そんなシェフ・ハマダが今回の知床番屋釣行でも存分に腕を振るってくれて、番屋でしか味わえない美味しいカラフトマス料理で僕らの釣りの後の空っぽの胃袋を満たしてくれた。

まずはしっかりと脂ののったカラフトマスの刺身。もちろんアニサキスが心配だから、十分に明かりに透かしてアニサキスがいないかどうかを確認してから、わさび醤油でいただく。これがまたキリっと冷えた冷たいビールや日本酒にあうのだ。でも、ときどき思うのだけれど、ヒグマはよくカラフトマスや鮭を川原で獲って生のまま食べているけれど、ヒグマの胃袋はアニサキスにやられたりしないんだろうか。きっと胃酸が強力なんだと思うけれど、巣に戻ったヒグマがアニサキスにやられて痛みでお腹を抱えている姿を想像してしまった。
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次に、カラフトマスの白子のソテー。熱したフライパンでバターを溶かし、バターが溶けてジュージューと小さな泡を立て始めたら、さっと新鮮な白子をソテーする。白ワインを少しふりかけアルコールが飛んだところで、さっと塩と荒挽きコショウ。そして出来上がり間近に、ほんの少しだけ醤油をふりかける。番屋の中にバターと醤油の焦げるなんともいえない食欲をそそる香りが広がった。僕個人的にはガーリックパウダーなんかが入っていると嬉しいんだけれど、今回は残念ながらそれは無し。でも、十分に濃厚でクリーミーな味わいのカラフトマスの白子のソテーをいただいた。でも、これがまた白ワインにメチャメチャ合うからたまらない。
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                    original photo by Mr.SHU
もちろんカラフトマスの新鮮な身のバター・ソテーも忘れてはいけない。網焼きで炙って食べるのも美味しいけれど、今回のバター・ソテーも荒挽きコショウが効いてメチャメチャ美味しかった。マヨネーズを絡めて食べるとさらにその美味しさは言葉に尽くしがたいぐらいになる。
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カラフトマスのカマの部分もしっかりと網で炙っていただいた。それにしても脂がのっていてメチャメチャ美味しいし、きっと日本酒好きにはたまらなく堪えられないんだろう。

その他にシェフが今回料理してくれたもののひとつに、特筆すべきものがある。それはカラフトマスの筋子の味噌漬け。とれたての新鮮な筋子を味噌と日本酒であえたものでクッキングシートを使ってサンドイッチ。一晩寝かすとすっかりほんのりと味噌の風味が染み込んだ筋子の味噌漬けになる。これが絶妙に美味しくって、シェフが作ってくれた味噌仕立てのあら汁と白いサトウのご飯という取り合わせの朝食は、どこの有名旅館の朝食よりも僕を幸せにしてくれたのだった。

今度またシェフ・ハマダと一緒に行くチャンスがるとすれば、彼が次にどんな料理を振る舞ってくれるのかと、今から楽しみなのである。でも、その前にカラフトマスの燻製の進み具合の方がどんな風になっているのかというのも気になるのだが・・・。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-31 20:39 | slow fishing | Comments(10)
<Vol.321>Far east ~ 東の果てへの旅・・・3
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翌朝、目覚まし代わりに鳴った、ここでは電話としての機能をまったく果たさない携帯電話のアラームのスイッチを僕は無意識に押していた。疲労の残ったまだ眠りからすっかり覚めない僕の意識でも、暗い部屋の中で遠くから聞える波の音がいつもよりも大きく聞えているのが感じ取れた。
ザ、ザ、ザ、ザーーン。しばらく間をおいてまた、ザ、ザ、ザ、ザーーン。
番屋の海側に面したサッシの窓を開けると、東の空がオレンジ色とパープル、そしてブルーのグラデーションを描いていて、海の向こうには国後島のいくつにも連なった山々のいただきが見えた。言葉を失うほどの美しい神秘的な朝焼け。風は嘘のようにやんでいる。まったくの無風と言っていいぐらいに。でも、そのかわり海は島牧の海岸を思わせるように大きくうねっていて、波が幾重にも岸に押し寄せていた。迎えの船は来るのだろうか・・・。

朝の4時半頃、別の渡船の船が2艘沢山の釣り人を乗せてペキンの鼻の海岸の前に現れた。何度かまるで迷った子羊のようにうねった海の上を行ったり来たりしたあと、この波では浜に上陸できない事を確認してモイレウシの方に戻っていった。結局朝も僕ら5人だけがペキンの鼻に取り残されたのだ。

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                    original photo by Mr.ABU
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知床のオレンジ色に染まる朝日を浴びながらキャストを繰り返す。打ち寄せる波、足下には昨夜からの波で打ち上げられた茶色い艶々したコンブが折り重なるように横たわっている。ラインやフライに海草やコンブが絡まってキャストはやり難かったけれど、鱒は昨日以上に小さなペキンの川の河口の周りにひしめき合いながら背びれを出して沢山集まっていた。帰りの船の事なんか忘れて、僕はきっとこの夏最後の嬉しい悲鳴を上げていたに違いない。

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                    original photo by Mr.SHU
疲れた。本当に心の底から疲れた。友人達と過ごせた楽しさとこの人間を寄せ付けない排他的でありのままの自然の姿の中にひとつの存在として佇めた嬉しさと同じぐらいに僕は疲れ果てた。もう、十分なのかもしれないと思ったし、朝の8時頃、潮が引くのを待って迎えの熊丸が僕の視界に小さく映った時には、正直これで帰れるんだとホッとしていたのかもしれない。
でも、僕はどこかで気が付いていた。このある意味ドラッグにも近い効能がそれほど長くは続かない事を・・・。

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                    original photo by Mr.SHU
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                   original photo by Mr.ABU

札幌に戻る誰もが無言の車の中、カーステレオのスピーカーからはCHET BAKERのけだるくって、せつなくって、物悲しい歌声が流れていた。

今日のBGM:CHET BAKER/THE BEST OF CHET BAKER SINGS
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-29 20:52 | salmon fishing | Comments(14)
<Vol.320>Far east ~ 東の果てへの旅・・・2
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                   original photo by Mr.SHU

番屋の朝は、まずcoffeeを淹れることから始まる。まだ少しばかりアルコールの残った頭で眠い目をこすりながら、お湯を沸かしてフレンチ・ローストの豆でゆっくりとcoffeeを淹れる。狭い番屋の中にcoffeeのなんともいえない良い香りが広がり、僕はテーブルの上のタバコから1本取り出し、火をつけた。そして、フーッとひとつだけ大きく深く溜め息をつく。
窓から海を眺めるととなりの番屋の気の早い釣り人がもうすでに釣りの準備を始めている。東の空は国後島の方から薄っすらと明るくなり始めていて、時計の針は朝の4時を指そうとしていた。窓を開けると、風は昨日とは逆に左から右に強く吹いている。海は今のところ穏やか。知床の空に浮かんだ雲は、かなりのスピードで流れていった。今日はいったいどんな一日になるんだろうか。

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グン。朝一番に僕の真赤なフライを暴力的にひったくって沖へ沖へと疾走していったのは、かなり婚姻色の出たセッパリのオスのカラフトマス。尖った口に剥き出しの鋭い歯、その爬虫類のようないかにも何かを威嚇するような大きな眼にギロっと睨まれると、僕は一瞬たじろんだ。それにしても随分とフレッシュなカラフトマスの表情とはまるで正反対のように違うものである。あまり眼を合わせないようにしながらフォーセップで真赤なフライを外すと、その鱒はゆっくりと知床の海へと戻っていった。

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相変わらず知床の空は抜けるように青く、どこまでもブルー一色に染まっていた。お昼になっても朝からの風は依然として強く、白い小さな雲があっという間に吹き飛ばされていく。時折突風のように吹いて、僕のオリーブ色のオイルが染み込んだ帽子は何度も知床の海に飛ばされてしまった。
番屋の窓からそんな知床の空を眺めていると、波の音に混じって後ろの切り立った崖の方から夏ゼミの合唱がジー、ジーと共鳴しながら聞えてくる。おそい夏の余韻。時間が嘘のようにゆっくりと流れていた。

午後から、是非ともやってみたい事があった。海でのスぺイである。僕の中で去年オホーツクのサーモン・キャンプで見た海でのスペイキャストがどうしても脳裏から離れなかったのだ。あの日以来、止水のスペイはあまり得意じゃないけれど、一度は僕もやってみたいと思っていた。だから荷物の中にしっかりスペイラインを巻き込んだりールを忍ばせていた。タックルを準備して海岸に立つ。風は左後方から相変わらず強く吹いていた。Type1のテッィプに替えてペリー・ポークでキャストするけれど、十分に飛距離が出ているわけではない。でも、鱒は岸近くにいるから、それ程問題ではないようだ。数投目、ゆっくりスペイラインをリトリーブしていると、モゾモゾという違和感のあとにラインに強い衝撃が走った。いっきに鱒は沖へと疾走して水飛沫とともに派手にジャンプ。手元のLOOPのリールから、バリバリという振動の強い逆回転音とともに勢いよくラインが滑り出ていった。至福のようなしばらくの間のリール・ファイトの末、気が付くとオリーブ・グリーンの背中にシルバーメタリックなボディが眩しいカラフトマスが知床の海岸に横たわっていた。

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お昼の渡船の船が釣り人を乗せて出て行くと、いつの間にかペキンの鼻の海岸には、僕らしかいなかった。そう、たった僕ら5人だけ。つまりそれは、明日の朝までこれだけのカラフトマスの群れを目の前にしてロッドを振れるのは僕らしかいない事を意味していたし、僕らは互いのその事を確認しあっては、ニヤニヤしあっていたに違いない。
それから日が暮れて辺りが暗くなり始めるまで僕らはロッドを振りつづけた。いったい何匹のカラフトマスと出会っただろうか。きっと正確にはそんな沢山のカラフトマスには出会っていないんだろうと思うけれど、僕にはとにかく贅沢すぎるくらい沢山のカラフトマスに出会ったように感じられる。明かりのついた番屋に戻る頃には、鱒のしっかりとした重量感とリール・ファイトで僕の両腕はだるくなっていたし、両手は小刻みに痙攣していた。

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                  original photo by Mr.ABU
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                  original photo by Mr.ABU
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まだ十分クーラーボックスとして機能しているクーラーボックスの中からキリっと冷えた3本のギネスビールを取り出し、今日の釣りをそれぞれで振り返りながら乾杯。そしてクリーミーな泡と濃厚なテイストを楽しんだ。今晩もシェフ・ハマダの腕を振るった料理が楽しめると思うと、僕の空腹感に拍車がかかった。
空腹が満たされ、そろそろ酔いもまわってきたところで、皆で番屋の外に出てみた。新月なのだろうか。月明かりのない知床の空にはプラネタリウムよりも沢山の星たちが所狭しと散りばめられていて、日中の暑さが嘘のように消えていった冷たい砂浜に横たわってそんな星空を眺めていると、不意にハマダさんが「こんなに星があるのなら宇宙人がいたっておかしくないですよね」と言ってきた。普段あまりそんな事を言わない彼の言葉に僕はちょっとだけ戸惑ったけれど、きっと「いなきゃおかしいよ」と答えていたように思う。でも、そんな事を答えながら僕はちょっとだけ釣りをしている宇宙人のことを考えていた。

明日はどんな風が吹くのだろうか。
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                   original photo by Mr.SHU
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-28 21:39 | salmon fishing | Comments(10)
<Vol.319>Far east ~ 東の果てへの旅・・・1
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羅臼町の道の駅で後ろのカーゴルームにありったけの荷物を積み込んだ車から降りると、潮の香りのする風とともにウミネコの鳴き声が僕らを迎えてくれた。
札幌から夜中のハイウェイをひたすら北上し、曲がりくねった知床横断道路を鹿の飛び出しに注意しながらゆっくりと越えて、温泉から立ち上る硫黄の匂いを感じながら羅臼町に道の駅に着いたのは、朝の4時ちょっと前。札幌から距離にして約500km。東の空はほんの少しだけれど明るくなり始めていた。今のところ海は穏やかそうである。きっと渡れるだろう。そんな予感が十分したし、いよいよこれから3日間の知床半島はペキンの鼻での釣りの旅が始まるんだと思うと、僕はもしかしたら少し気分が高揚していたのかもしれない。

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出船は朝の5時。知床の空はすでに明るくなり始めていて、まるで秋を思わせるような青空の下、僕ら5人の荷物とはちきれんばかりの期待を乗せて小さな熊丸は相泊漁港を滑り出した。目指すは携帯電話の電波も届かない日常からかけ離れたペキンの鼻の番屋である。僕らはそこで何も起こらなければ釣り三昧のある意味至福とも言える3日間を過ごす事になるのだ。

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途中のモイレウシの入り江を越えると風が強くなった。ここから先は別の海にでも来たんじゃないかと思えるぐらい海の状況が一変する事が多いし、人の侵入を拒むかのような知床の景色もその荒々しさが一段と増す。でも、僕らを乗せた熊丸はそんな不安をよそに、そのままペキンの番屋の前の岸に辿り着いたのだった。

まずは安着祝い。バンドウさんの用意してくれたキリっと冷えた白ワインを仲間で少しずつ分け合い、今年もここに辿り着けた事と今回の旅の無事を願って知床の青空の下で乾杯。ジワーっとワインの美味さが身体の隅々まで染み渡り、もしかしたらこの瞬間が少し大袈裟なようだけれど、一番幸せな瞬間なのかもしれないと思えた。

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風が右から左へとオリーブ色のオイル・ハットが飛ばされそうになるぐらい強く吹いていた。本当に釣り辛い風である。それでも、風の弱まる合間を縫ったり、風をなるべく背中で受けるように工夫して潮が引いて顔を出した磯に立ちキャストを繰り返す。
時折り横を振り向くと、ハマダさんのダブルハンドのロッドが知床の景色をバックに綺麗な孤を描いている。長く伸びたラインの先ではカラフトマスの立てる水飛沫が激しく立ち上がり、僕の耳にも風に混じってリールの乾いた逆回転音が響いてきた。
モゾ、モゾモゾ・・・。リトリーブしている指に不意に感じる違和感。一瞬ラインを引く手にしっかりとしたカラフトマスの重量感が伝わり、偏光グラス越しに水面下でカラフトマスの身をよじるシルバーのボディが見えたかと思うと、赤いフライを咥えたその鱒はいっきに沖合いへとハイスピードで疾走した。リールのミューとされた逆回転とともに、僕の頭の中では思考という機能がまるで停止したかのようになり、感じるという感覚だけが作動していたような気がする。

結局その日は風が弱まる気配は少しもなかった。

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楽しい時間というものはどうしてこんなにもあっという間に過ぎ去ってしまうものなのだろうか。分かりきっはいる事だけれど、ふとそんなことを思う。
夕闇に包まれ始めようとしたペキンの鼻から小さな発電機が始動して明かりのついた番屋に戻ると、もう僕のお腹はこれでもかって言っていいぐらいハラペコなのである。いつの間にかABUさんがこの日のために"SPAM"というランチョン・ミートを用意していてくれた。それをSHUさんがナイフで皆の分を切り分け小さなフライパンの上でソテーする。ジュージューという美味そうな肉が焼ける匂いが番屋の中に広がり、僕はもう空腹感を堪えられなくなっていた。
「ポン」というスパークリングワインのコルク栓を抜く音を合図に番屋初日の夜の部がスタートある。それぞれ持ち寄った美味しい食材とシェフ・ハマダの作るここでしか食べられないとびっきり美味くて新鮮なカラフトマスを使った料理を目の前にするとお酒がすすまない訳はなかった。

明日はペキンの鼻にどんな風が吹くのだろうか。そんな事を少し酔いのまわった頭で考えながら、番屋の初日の夜はランタンの柔らかい明かりとともにゆっくりと過ぎていったのだった。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-27 16:14 | salmon fishing | Comments(10)
<Vol.318>渡れるかどうか、それが一番の問題
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どうも、ここ最近気持ちが落ち着かないというかしっくりとこない。つまりどこか浮き足立っているのだ。まるで子供の頃感じたあの楽しみにしている遠足の前の気分。おそらく僕の頭の中で今週の水曜日の夜から予定している知床番屋釣行が一番の原因なんだろうということは、何よりもはっきりとしていた。

一番の懸案は番屋のあるペキンの鼻まで渡れるかどうか。モイレウシから先は、うねりがあれば渡れない。僕の予想では渡れる確率はおそらく1/2ぐらいだろうか。

カラフトマスが釣れるかどうかは2の次なのかもしれないとまで言ってしまったら嘘になるかもしれないけれど、とにかくあの、本当にここは日本の一部なのだろうかと思えるような茫洋とした何もない景色の中にゆっくりと溶け込んで、息の詰まりそうな日常生活から隔絶された自然の中でただただロッドを振り続けたいだけなのだ。すべてを忘れて。

とにかく今年もまた、東の最果ての風を感じてこようと思う。夏期休暇を利用した最後の週末が、友人達との楽しい記憶で彩られていく事を期待して・・・。
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                   original photo by Mr.Bando
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-23 01:00 | slow fishing | Comments(14)
<Vol.317>3年
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この車に乗りはじめて、早3年が経とうとしている。
今日は午後からいつもの本流には行かず、小雨が降る中、エリーゼをalphaさんに車検に出してきた。
今のところ特にトラブルというトラブルには見舞われていないけれど、リア・タイヤが擦り減ってスリップ・サインが出ているのでリア・タイヤを交換することと、あとはオイルとエレメント交換ぐらいだろうか。とにかくこれまで壊れなくって良かったと僕は密かに胸をなでおろしている。

そういえばこの車に乗っていろんなフィールドに行った。いつもの本流にオホーツクの海。それに渚滑川に朱鞠内湖。これからは浜益川や積丹の海になるのだろうか。とにかく釣りの帰りは、オープン・エアで風の匂いを感じながら帰ってこられるのが良い。もちろんスピードを出すと風の巻き込みがひどいから、十分にスピードを抑えてのんびりとドライブ。時々耳を澄ますと鳥のさえずりなんかも風の中から聞えてくるから、季節の移り変わりの微かな兆候が肌で感じられたりする。
まったくもって楽しいのひとこと。
ダイレクトなハンドリングと背中のエンジン音を確かめながら、山間の峠のワインディングロードや海岸沿いのどこまでもストレートなパノラマロードを走っていると釣りの疲れもどこへやら。

でもね、そんな中でもね。いつか車のどこかから異音が聞えてくるんじゃないとちょっぴり不安を抱えている僕もいたりするんだ。
少なくとも20年は乗り続けるつもりなのに・・・。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-22 17:51 | my lotus elise | Comments(8)
<Vol.316>カーキ色の本流と頭の中の地図みたいなもの
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半月ぶりに降った木曜日の深夜の雨。いっきに上昇した本流の水位は少しずつ減り始めている。最後の最後までオホーツクに行くか、それとも本流に行くか迷ったけれど、結局木曜日の雨が何かしら鱒の活性に変化を与えるんじゃないかと考えた僕は泊まりの仕事を終えて、そのまま本流へと続く峠に車を走らせる。それにしても、今日も雨という週間天気予報は大きく予想を外れたようだった。

薄いカーキ色。カフェオレ色じゃない。今週の天気予報と同じように僕の当てにならない予想は大きく外れた。釣りが出来ないほどじゃないけれど、しっかり本流は濁っている。それもどことなくネバっとした感じで。透明度は腰近くまで立ち込んで水の中のシューズがぼんやりと見えるぐらいだろうか。もしかしたら中流域にまで行けば、ちゃんと釣りになりかもしれないけれど、どうしてもここでスペイがやりたいからと濁った本流に立ち込みながらリールからスペイラインを引き出した。

今年に入って本流のこのポイントには自分でも感心するぐらいよく通っているなぁと思うし、去年よりはスペイキャストもそれほどストレスにはならなくなったせいもあって、少しはグッドサイズの鱒にも出会えるようになったような気がする。でも、殆んどがキャッチする前に逃げられる事が多いのだけれど、僕の頭の中にはそれらの出来事がかなり印象的にインプットされているようで、頭の中の真っ白な本流の地図の上にはどの場所で鱒に出会ったかが、まるで分布図のようにマークされている。まぁ、大したことはない地図みたいなものと言ってしまえばそれまでのことなのだが・・・。

そんな頭の中のあの場所、あそこの木の横、突き出た岩の下、あの窪みの辺りといったかなり精度の悪い地図を頼りに濁った本流でキャストを繰り返したけれど、やっぱり今日はそんな頭の中の地図のどこの場所にもマークする事が出来なかった。

まぁ、こういう日もあるのだろう。それでも、僕なりにはゆっくり出来た本流で過ごす一日だったと思う。あと10日もすれば暦の上では9月。秋の始まり。本流ではヒゲナガがずいぶんと飛んでいたけれど、トンボの姿も目にするようになった。濁った本流の流れに立ちこみながら、少しでも秋っぽい感じがするものを探そうとしている僕がいるのに気付いた。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-19 23:13 | spey fishing | Comments(8)
<Vol.315>北の大地の真赤なフライ
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知らない町のフライショップ巡り、これが実は非常に新鮮で楽しかったりする。なぜならその地元特有というか札幌ではあまり見かけないマテリアルに出くわしたりするものだから・・・。

今年の初めに東京に出張した際、blogを通じて知り合った友人達と新宿の街で待ち合わせるまでの時間、ブラっと新宿のSANSUIに初めて立ち寄った。店内の展示してあるロッドやリールの数の多さにも驚いたけれど、それ以上に壁一面に陳列してあるマテリアルの種類の豊富さに僕はちょっとビックリ。初めて見るマテリアルも沢山あったりして、好奇心旺盛な子供のように、時間はいくらあっても足りないように感じられた。

懐具合と相談しながら厳選つつ、いくつかのマテリアルの小袋がいつの間にか僕の左手にゴソっと束ねられていく。そんな中でこれはカラフトマス・サーモン用のフライのボディに使えるんじゃないかとHareline Dubbing社のMedium Krystal HackleのRedとHot・orangeを選んでみた。札幌市内のショップでは見かけたことがないマテリアルでもある。

ここ何年かのカラフトマスや海のサーモンで使う僕の真赤なフライのボディの定番はプラスティック・シェニール(L)。いわゆるゾンカー・パターンである。水に濡れてもファットなシルエットがそれ程崩れないから、きっと海のサーモンやカラフトマスにも見つけやすいんじゃないかと思っていた。でも、もう少し細身のシルエットにしてみたい。そう考えていた折、サーモンの季節とは正反対の真冬に、このマテリアルを見つけたというわけ。

何本かバーブレス・フックに巻いてみた。確かに水に濡れるとシルエットが細くなって、おまけにどことなく艶やか。おまけにウイングに真赤なラビットスキンじゃなくて真赤なマラブーを使ったから、より一層細身に仕上がったように思える。
さて巻き終えたばかりのこのフライ、実際にフィールドで0Xのリーダーの先に結ぶのは来週予定している知床の海の先端になりそうだ。

           北の大地の真赤なフライ
Hook : VARIVAS 2510WB #10(for Pink Salmon), #6(for Salmon)
Tail : Marabou Red
Body : Medium Krystal Hackle Red
Wing : Marabou Red
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-18 20:50 | 私的FlyTyingの愉しみ | Comments(14)
<Vol.314>photograph and memory
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                 original photo by Mr.SHU
一緒に釣りを楽しんだ友人達から送られてきた写真。
その時の記憶がありありと鮮明に蘇る事がある。
そして時々そんな写真の中の自分を眺めながら、この時僕は何を考えていたのだろうかと、ふと思ってしまうのだ。

いや、きっとおそらく何も考えていないに違いない。仕事のこと、家族のこと、もちろん目の前の鱒のことすらもである。

イエローのランニングラインをゆっくりリトリーブしながら、その指先に全神経を集中して、他の事はすべて遮断する。きっとそんな作業が僕はメチャメチャ好きなんだろうし、ちょっと疲れたら、集中していた意識を少し緩めて周りの風を感じたりする。そんな意識という塊の凝縮と拡散を繰り返す振幅のようなものが、もしかしたらどこかで心地良いと僕は感じるていのかもしれない。

きっとこの時も頭の中は無地のキャンバスのようにどこまでも真っ白だったと思う。
スレ掛りしたカラフトマスの疾走はいかんともし難く、ただただリールのミュートされた逆回転音を耳にしながら15feetのARCにしがみつき、時間の流れが一瞬エア・ポケットにでも舞い込んだかのように止まっていたように感じていたに違いない。
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                  original photo by Mr.SHU
今日のBGM:Cocteau Twins/Treasure
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-16 20:07 | slow fishing | Comments(8)
<Vol.313>cicada soundを背中で聴きながら
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ジー、ジーと夏ゼミの賑やかな鳴き声を背中で聴きながら、午後の本流を贅沢にも独り占めして、ゆっくりと釣り下る。薄い雲のかかった空の下の本流には下流から穏やかな風が吹いていた。

サビの入った大きなサクラマスが、流れ出しの大きなプールの中で何度も何度もこれでもかっていうぐらい派手に跳ねる。少なくとも僕がその光景を見たのは7回を下らない。その度に僕の心臓は不意打ちのnoiseを聴いた時のようにドキッとさせられる。風が幾分収まると、また背後の森から響き渡るcicada soundのvolumeが一段と大きくなった。

決して大きくはないレインボーがなんとか速い流れの瀬の中から僕のフライを見つけてくれた。でも、その顔つきにはすでに大人の片鱗をうかがわせている。シルバー・メタリックなボディに薄っすらと浮かび上がるレッド・バンド。蕎麦畑の白い小さな花をつけた蕎麦がスクスクと育っていたようにお前も大きくなれよと、そっと流れに戻した。

本流の空はいつの間にか厚い雲に覆われていて、湿度を含んで重みを増した風が吹いていた。背後の森から響き渡っていたcicada soundのvolumeは少しずつ本流のstageからからfade・out しようとしている。秋の気配が近づいて来る頃に、またこの本流のstageに佇みたいと思ったのだった。
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by d-yun5-fly-elise | 2006-08-15 21:37 | spey fishing | Comments(4)