今日のBGM : Marina Lima / O Meu Sim
道南の本流に映し出される僕の影。
それは曖昧なシルエットではなく、いつも以上に濃く映し出されていたように思う。
土曜日の後志利別川には、僕の予想を上回る雪代による増水と濁りがもたらされていた。
僕らの頭上には雲一つ無い4月の青空が広がり、つい先日までは釣行の度に必需品だったフリーズ地のグローブも必要としないぐらい、ほのかな陽気が出迎えてくれたのだけれど、何せ本流の流れに混じったゴミの流下が辛かった。
もしかしたら、それは河口から上流に行けば行くほど強かったのかもしれない。
午前中の風が穏やかな間は14'#6/7のMKS、日が高く昇り、今度は下流からの風が強まってからは、14'#7/8のMKSに手にするロッドをチェンジした。
ティップは相変わらずType8のまま、フライはビーズヘッド仕様のオリーブカラーで一日を通す。
増水した川辺を歩くと、怯えたように逃げ惑う鮭稚魚たちの姿をたくさん見かけた。
きっと本流の両サイドにフライを送り届けることがポイントなのだろう。
そんなことを考えながらペリーポークによるスペイキャストで対岸にフライを送り届ける。
ロッドを高く保持して、本流の流れをゆっくりとスイングするフライ。
でも、時々フッと訪れる柔らかい衝撃の主は、残念ながら上流から流れてくる生命感の宿らない木の枝や枯れ葉だった。
午後を過ぎると、もしかすると本流に映し出される僕の影は、少し薄まったのかもしれない。
しかし、この日の最後まで出合いを期待していたパワフルな躍動感を持ち合わせた本流の鱒は、僕の流すフライを見つけ出してはくれなかったようだ。