支笏湖の湖畔は小春日和のような柔らかさに包まれていた。
もしかしたらフリース地の厚手のグローブなんて必要がなかったかもしれない。
それでも岸際にゴロゴロと並ぶ大きな石には、本格的な冬の訪れを感じさせるかのようにポッカリと沢山の白い雪帽子が乗っかっていたし、波打ち際には昨夜の冷え込みを物語るかのように沢山の氷の造形が作り出されていた。
午後の暖かさで氷のツララからは、ポタっ、ポタっと、幾つもの雫がこぼれ落ちていった。
12月としては珍しい小春日和の午後の時間は僕の周りをゆっくりと流れていく。
久しぶりにparuさんことitoさんと95kmのAポイントで並んでスペイロッドを振った。
とにかく不思議なくらいに気持ちが良かった。
僕がキャストしてリトリーブするフライの近くを支笏湖の鱒が泳いでいようが、そうでなかろうが、そんな事は大して関係のないような事のように思えた。
それでも、シンクィップのシンクレートをいろいろと変えながら、いくつかのめぼしいポイントではフライを泳がせてみた。
波の感じも悪くない。鱒が出そうな気配だけは十分だった。
やはりこの日も、小春日和の暖かさは僕に幸運を運んで来てはくれなかった。
2007年12月11日 小春日和の支笏湖湖畔にて