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2007年 12月 03日

<Vol.531> 日曜日の十勝川

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                  original photo by Mr.110-ken


グゥ、グゥグゥン。
オレンジ色のランニングラインを握る僕の冷たくなった指先に不意に訪れるアメマス特有の鈍重でまるで何かに押さえ込まれたかのような重量感のある衝撃。
アメマスはその場で何度か激しくヘッドシェイクすると、なぜかゆっくりと上流の岸際の流れに立ち込む僕の方まで上って来る。
そしてまた何度も冷たい水飛沫と波紋を立てながら激しくヘッドシェイクを繰り返した。マーキス・サーモンのゆっくりとした余韻の長い逆回転音と共に。
もしかしたら、この瞬間も厳寒の東の大地を訪れた釣り人にとって至福のひとときのひとつなのかもしれない。
日曜日の十勝川本流での事。



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車の外気温計が指し示すほど、シバレ具合はそれほどでもなかった。オレンジ色の朝陽が十勝の空をゆっくりと彩り始める。
車の窓に映る景色は、まさしく十勝の茫洋とした景色そのもの。
日の出までには、もう少し時間がかかる。



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野鳥の羽音がほんのすぐ耳元で聞こえてきそうなぐらいの静寂さ。それに波一つない穏やかな川面。早朝の十勝川はその力強い流れを忘れさせるぐらいに静かに流れていた。
川岸に佇み、釣り人はしっかりとその光景を脳裏に焼き付ける。
それはあまりにも美しすぎたのかもしれない。



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550grのスカジット・シューティング・ヘッドの先には自作の4'のチーターとType8のティップ。まだ夜明け前の本流で50クラスの本流アメマスが僕のフライを見つけてくれた。



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フライはこの日の為にと巻いたコーンヘッド付きのチューブフライ。チャートリュースにダイドされたオーストリッチとマラブー、それにブルーのリアでintruder風にアレンジしてみた。



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やがて冬の十勝の太陽が川辺の木立の間からゆっくりと顔をのぞかせる。ややもすると上流から釣り人泣かせの十勝の風が吹き始めるだろう。でも、この時間の太陽の光はどこか釣り人に安堵感をもたらし、そっと優しく包み込んでくれる。



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shinyaさんお勧めのポイント(笑)。スペイキャストを始めてからというもの、バンクが背後に迫り、足下から急深で、あたかも沢山のアメマスが一休みしていそうな絶好の深みを形成したポイントにも足を運ぶようになった。



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友人が深く冷たい流れの中に立ち込んでいた。
予想通り上流からの強い風が吹き始め、川面は小波が幾重にも立ち始める。
そんな中で、スネイク・ロールキャストはフォローの風に乗って、いつも以上にフライを流れの遠くにまで届けてくれた。



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砲弾型の遡上アメマスのパワーは、リールの逆回転音と共にMeiserのMKSに美しいカーブを描かせる。太平洋の大海原でいったい何を飽食したのかアメマスのお腹は少しふっくらとしていた。



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どこまでも続く柳の木立の中を歩く。硬く凍てついた地面には幾重にも落ち重なった柳の葉と枯草とが複雑に重なり合い、釣り人をフワフワとまるで高級な絨毯の上を歩いているような錯覚にさせてくれる。



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ポイントを変えて、いつもよりも速いテンポで釣り下る。何の変化も見つけられないような広大で平坦な流れ。やはりアメマスには釣り人の方から近付かないと出会えないのかもしれない。不意にチャートリュースのマラブーテール付きのスカッド・パターンを60クラスの遡上アメマスがスイング中にまるで根掛かりのようにテイクする。水面が鱒の力強さで激しく揺らいだ。



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イブニング前には少し活性が上がったのかもしれない。フライがスイングを終えランニングラインをリトリーブしていても予期せぬ衝撃が指先に訪れた。傾き始めた太陽のオレンジ色の夕日を浴びてアメマスはいつもよりも輝いていたように思う。



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ランニングラインをリトリーブするとグローブの指先にシャーベット状の氷が出来始めた。ロッドのガイドも凍りつき始める。十勝川が夕暮れのオレンジ色に包まれ始めると、風が穏やかになると同時に気温がみるみると下がっていった。それまで僕はほんの一瞬なんだけれど、季節の時計が少しばかり逆戻りしたような気分だった。でも、やっぱり季節は十分すぎるほど冬なんだ。

by d-yun5-fly-elise | 2007-12-03 23:24 | spey fishing | Comments(18)
Commented by SHU at 2007-12-03 23:37 x
Yunさんこんばんは!
先日はお疲れ様でした。でも十勝は毎度楽しいですね♪
もう一度いけるかな~?天候次第ですね。
またお願いしまーす。
Commented by yusuke at 2007-12-04 00:18 x
Yunさん、こんばんは!
2週連続の激寒十勝遠征お疲れ様です!
シバレ具合はそれほどではなかったようですが写真からは血も氷そうな厳しい寒さが伝わってきます(笑)

グッドサイズのアメが加えたチャートカラーのチューブFLY
カッコ良いですね、FLYのサイズもちょうど良さそうです。
僕も来春の十勝用に巻いてみようと思います。





Commented by jock at 2007-12-04 01:42 x
先日は、お疲れ様でした。
今週もお待ちしてます(笑
次回お会いするまでに例のリーダー作っておきますので試してみて下さい。
Commented by 110-ken at 2007-12-04 06:15 x
yunさん、おはようございます

今回もたくさん釣られていましたね。流石です!
遠くから『ミーミー』とマーキスの音が何度となく聞こえてきましたから(^o^)/
十勝もそろそろ終盤ですね。今年はスペイをしているお陰でたくさんのポイントで釣りをすることができました。しかも下手くそキャストでも釣れてしまう優しい川ですし。もう一度訪れることができればいいのですかが・・・
Commented by いつも見ています at 2007-12-04 15:29 x
毎回、好釣果でブログの更新が楽しみです。十勝川釣行は十分楽しまれたようですね。しかし、寒さが伝わります。今年はまだ行くんですか?フライも参考にさせて頂き来春の十勝に挑戦してみようと思います。尻別のアメマスも同じようなサイズ・カラーで良いのでしょうか。よろしければ教えて下さい。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-12-04 16:35
SHUさん、こんにちは。
日曜日は、寒い中お疲れ様でした。でも、先週の金曜日よりは過ごしやすかったかもしれませんね(笑)。
イブニング前のグッドサイズのアメマスは、お見事でした。上流から見ていてもB&Wは良い感じに曲がっていましたよ。
きっと今週末の寒さはかなり厳しくなると思いますが、もう一度訪れるチャンスが巡ってくれば良いですね。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-12-04 16:50
yusukeさん、こんにちは。
やはり風が吹くと体感温度が一気に下がります。でも、今回は上流からそれほど氷の固まりも流れてきませんでした(笑)。
天気が良いと、日中は十勝らしい渇いた冷たい風が吹き始めるようです。私はどちらかというと曇り空で風の穏やかな日が好きなんですが・・・笑。

最近はチューブフライに少しアレンジを加えています。東急ハンズで外径2.1×内径1.5のアルミパイプと外径1.5mmの塩ビパイプを買ってきてカッターで切り出しています。これだとCapsのコーンヘッドMタイプ(ノーマル、タングステン)がちょうど収まるので、意外と簡単にコーンヘッド付きのチューブフライが自作出来るんですよ。おまけにチューブのサイズも好きな長さに出来ますからね。重宝しています(笑)。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-12-04 16:53
jockさん、こんにちは。
日曜日は、お疲れ様でした。それにしてもjockさんのフライのサイズ、ちょっと参考になりました(笑)。
この時期の十勝の厳しい寒さは痛いほど知っているので、気温がプラスになることを願っています。
例のリーダー、私は初めて見たのですが、是非宜しくお願いします(笑)。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-12-04 16:59
110-kenさん、こんにちは。
日曜日はお疲れ様でした。スペイキャストが随分とスムーズになられましたね。でも最後はかなり力が入っていましたよ(笑)。
確かに今回もほとんどがオーバーヘッドでは厳しいポイントばかりでしたものね。まだまだポイントは無数にあると思いますので、機会があればまた新しいところを開拓してみましょう。
写真、ありがとうございました。今週末の件、決まりましたら連絡させて頂きます。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-12-04 17:13
いつも見ていますさん、こんにちは。
やはりアメマスも少しずつ移動するようです。先週良かったポイントが今週はさっぱりとか、よくあるんですよ(笑)。寒さは相変わらず厳しいですが・・・。例年だと、だいたい12月の第2週目ぐらいまで十勝に足を運ぶのですが、今年はどうでしょうか。やはり気温次第だと思います。せっかく足を運んだのに岸際が結氷してる事もありますからね。
春はだいたい3月初旬頃から足を運びます。最初はポイント選びが難しいかもしれませんね。
尻別川のアメマスは、どんなフライがいいのでしょうか。私も良く分かりませんが、たまたま群れに当たると良い釣りが出来るようですよ。前回は#4番フックに巻いたコーンへッド付のエッグサッキングリーチでしたが、普段は#8番フックに巻いたビーズヘッドの黒いウーリーバガーです。スイマセン。もう少しカッコいいフライだと良かったのですが・・・笑。
Commented by いつも見ています at 2007-12-04 21:10 x
こんばんは。いつも丁寧に回答頂きありがとうございます。フライボックスの中のバリエーションがまた増え、それと同時にヒットの夢が膨らみます。いつかフィールドで直にご指導頂きたいです。次の釣行記、楽しみにしています。
Commented by shinya at 2007-12-04 22:24 x
こんばんは!YUNさん。
なぜかわからないのですが、フィールドでYUNさんのお顔を拝見するとホッとします(笑)AKAさんもそうですね。特に極東でお会いした時にはその印象を強く持ちました。YUNさんたちの柔和な笑みに触れ、今自分は、どこにいるのだっけ?・・っていう感じです。

わけのわからないコメントで申し訳ありません。(笑)

さて・・・・・日本海開幕も視野に入る時期となりましたが・・迷いますね。気温の推移も今週末まではまずまずですし・・。この迷い感も楽しいものです(笑)また、フィールドでお会いできる日を楽しみにしています。

















Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-12-04 23:08
いつも見ていますさん、いえいえどういたしまして。
私の分かる範囲であれば、いつでもお知らせいたします。
それにしても、フライボックスの中身って本当に巻く人の個性が滲み出ていますよね。几帳面すぎるぐらい丁寧に巻く人、どこかアバウトでラフな感じに仕上げる人、本当に各人様々で見ているだけで飽きません。そんな私が巻くフライは相変わらずものぐさなフライばかりですが、参考になれば幸いです。
的確なアドバイスが出来きる程の技量は持ち合わせておりませんが、一緒にフィールドで悩むぐらいは出来るかもしれません(笑)。
次回の釣行記、きっと身を切るような寒さが滲み出るような内容になるかもしれませんね。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-12-04 23:14
shinyaさん、こんばんは。少し照れるようなコメント、ありがとうございます。でも、それはおそらく普段のストレスから解放されて、ただただニヤついているだけだと思いますよ(笑)。
そういえば、何年か前の結氷間近、突如エゾかずさんと十勝川に来られた事がありましたよね。また、フィールドで再会出来ることを楽しみにしております。
Commented by abu-z4 at 2007-12-04 23:50
Yunさん、こんばんは。
今回も、随分楽しまれたようですね。
3枚目の鏡のような水面の写真、綺麗ですね。
十勝の冬で、風のない日なんて僕は出合ったことがないような気がします。
場所は問いませんが、年内にもう一度ご一緒できれば良いのですが・・・・・
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-12-06 18:03
ABUさん、こんばんは。
自宅のPC(モデム)が不調で、返事が遅れてしまいました(笑)。
この日の朝は、とにかく風が穏やかでした。この季節なかなかこういう日には巡り合いませんよね。でも、確か2年前の12月にABUさんSHUさんと十勝を訪れた時も、穏やかだったと思いますよ。静かな川面にアメマスが立てるライズリングが幾つも広がっていて、とても印象的でしたから、なぜかよく覚えています。
年内、こちらこそ是非どこかのフィールドへ御一緒したいですね。
Commented by B-R-Bros at 2007-12-06 23:29
yunさん、こんばんは、またしても釣りまくってますね!
北の大地に禁猟はない、というよりYunさんにオフシーズンはないってことでしょうか?十勝が氷に蓋われたら次は・・・一年がフライフィッシングで回っていくってのは、たまらないですね!
Commented by d-yun5-fly-elise at 2007-12-10 19:44
RYOさん、こんばんは。
相変わらずPCが不調のため、コメントへの返事が遅れてしまいました。
季節ごとの何かを感じられればとフィールドにはついつい足が向いてしまいます。仰るように自主的な釣行自粛以外はオフシーズンはないのかもしれませんね(笑)。これからは例年のように海のアメマスでしょうか。確かに季節的には厳しいのですが、あの荒れた海と雪混じりの冷たい潮風の中でしか味わえないものもあったりします。
でも、今年は何年か前のように何度か冬の静内川にも足を運んでみようかとも思っているんですよ。


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