海の底の色を映し出したようなほのかにグリーンがかった背中。
それに、筋肉質な砲弾型の身体に散りばめられた不揃いの大きな白い斑点。
それはやっぱり海のアメマスそのもののように僕には思えた。
original photo by Mr.ABU
土曜日の島牧は、やっぱり僕には難しかった。
幾分穏やかそうに見えたレストハウス前で少しロッドを振ってみたけれど、何もないまま時間が過ぎていく。
期待を込めて何度もフライを交換した。そしてイメージした。
島牧から1時間ほど南下した小さな漁港での事。
「ゴン」。
不意に訪れる、冷たさで痺れた指先でリトリーブするランニングラインにしっかりと伝わる衝撃。
次の瞬間には指先の痺れの事なんかどこかへ消え去ってしまっていた。
僕にとっては気難しい鱒だったように思う。
隣の釣り人のロッドは、僕の傍らでほんと溜息がつきたくなるぐらい何度も弓なりに曲がっているというのに・・・。
決して大きなサイズではないけれど、久しぶりに出会った海のアメマスはなぜかそっと僕に微笑んでくれたように感じた。
でも、やっぱり君は気難しいよ。めまぐるしく変わる冬の天気のように・・・。
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