風に乗って湖面の上を雪が舞っていた。
雪のせいで遠くの景色が白く霞んで幾分色褪せたようにも見える。
フォローの風が吹いていた。
それもいっそう冷たく、僕に本格的な冬の到来を感じさせるように。
そんな中で僕は湖に佇み、黒いヘッドのオリーブカラーのマドラーゾンカーをリーダーに結ぶ。
火曜日の午後、もしかしたらこれが今年最後になるかもしれない支笏湖で過ごすひと時。
たった150分間の支笏湖での釣りだった。
相変わらずランニングラインをリトリーブする指には何の違和感も感じられない。
その代わり、ランニングラインを掛けた指にはシャーベット状の氷の山が出来上がっていく。
「ジャリジャリ、ジャリジャリ」という感触が冷たくなった指に残る。
不意に右手で「バシャン」と大きな鱒の立てるライズ。大きな波紋が水面に残っていた。
僕が目にした大きなライズは結局2回。それも十分僕のキャスティングレンジ内でである。
火曜日の午後の150分間。
それを長いととるか短いとるかは人それぞれだと思うけれど、僕には十分余韻の残る150分間だったと思う。
相変わらず風が強く吹いていて、雪が激しく舞っていた。