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2006年 01月 04日

<Vol.201>鱒釣りのその先にあるもの

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暗闇の中で、薄っすらとその輪郭が浮かび上がっている。目を凝らしてみると、その正体が見えそうで見えない。いくら僕が手を思いっきり伸ばして掴もうと思っても、それはまた、スーっと僕の手が届かない所へ逃れていく。

正月の休み、義兄と少し語り合う時間があった。お酒も少し身体に入っていたせいか、僕らの話はどんどんディープな世界へと入っていった。もちろん釣りの話しである。

僕がせっせと鱒釣りに通うのには2つの要素があると思う。つまり、開かれた要素と閉じた要素と言ってもいいのかもしれない。
川のせせらぎ、鳥の囀り、流れる雲、雲の切れ目から差し込む太陽の光、風の息吹、川の辺の新緑の鮮やかな木々、仲間との会話、運良くフライをテイクしてくれた美しい鱒・・・など。それらは、すべて僕にとって開かれた要素であって、刺激である。そして絶えず僕の心のシステムを変化させ続ける。
一方で僕が鱒釣りに行くのは、自分自身と向き合うためでもあったりする。そこで起こる変化は自己の内部へとグルグルと螺旋状に収束していくものであり、これはある意味、誰も立ち入れない閉じた要素と言ってもいいのかもしれない。

上手く説明できなくて、なんとなくもどかしいんだけれど、開かれた要素にしても閉じた要素にしても、両者に共通する事は感じる事なんじゃないかと思う。

義兄と語り合っていて、最後に僕らが辿り着いたのは、鱒が釣れても釣れなくても、その先に何かがあるっていうこと。それが何なのかははっきりとは分からないし、もしかしたら、ただの幻想か幻にしか過ぎないのかもしれないけれど・・・。

こんな事を考えていると、また眠れない夜が来てしまいそうだ。でも、その鱒釣りの先にある何かを捜し求めて、僕はまたせっせと鱒釣りに出掛ける。なぜなら鱒釣りに行かないとその先にある何かの存在が分からないから。

by d-yun5-fly-elise | 2006-01-04 23:58 | slow fishing | Comments(11)
Commented by daisaku613 at 2006-01-05 13:06
いつも楽しく拝見しています。
きっかけはきれいなwet flyでした。
僕もいつか北の大地で鱒たちと遊びたいと夢見ています。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-01-05 19:28
daisakuさん、こんばんは。はじめまして。
きれいなwet flyと言われると、ギクッとしてしまいますが、そんな私の巻いた決してバランスの良くないフライを流しても相手にしてくれる鱒がいる北海道の自然には感謝しています。でも、最近は環境的にはいろいろと問題はあるようですが・・・。
夢とは言わず、是非、北の大地に遊びにいらっして下さい。
今後とも宜しくお願いいたします。
Commented by ABU at 2006-01-05 20:14 x
Yunさん、こんばんは。
年明け早々、BさんとDeepなお話ですね。
僕も結構そうゆうの好きだったりするんですけど(笑)
そうですね、感じることですよね。
感じたことをいろいろな言葉を使って表現するんですけど、正確に伝えるのはこれまた難しい事で・・・・・・
それでも何とか伝わったと感じたときは(あくまでも感じるだけですが)、それはとても嬉しいものですね。
言葉が無くても、感じたことが同じだったり伝わったりすることが稀にありますよね。
それも又、そう感じただけなんですけれど。
これって、Yunさんの言っている「感じる」っていうこととは違うのかなぁ。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-01-05 21:53
ABUさん、こんばんは。
ついつい、お酒も入っていたせいか、deepな話になってしまいました(笑)。
ABUさんがおっしゃる通り、感じた事を言葉で、つまり思考した事で、伝えるっていう事は難しい事だと思います。そこには温度差というか若干のタイム・ラグがあるように思います。

周りの環境と相互作用している心的システムを回る駒のように例えるなら、それはあまりにも速いスピードで回転しているものですから、私達はその心的システムを外から観察する時、つまり思考する時には、その心的システムが停止した状態でしか観察出来ませんし、おまけに心的システムで起こっている変化・相互作用を観察した時点で、現実にはその心的システムは、回り続けているので、さらに一歩先を行っているわけです。ウゥム、説明するのが難しいです(笑)。
この事を、よくactualityとrealityと言いますが、回っている駒、つまり感じる事がactualityで、ある一瞬の停止した駒、つまり思考する事がrealityと言う事です。

長いので2つに分けます。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-01-05 21:53
感じた事を相手に伝えたい時、私達は言語や非言語を通じてコミュニケーションしますが、そのコミュニケーションで100%相手に伝えたい事が伝わるという事は殆んどなく、やっぱり、そのコミュニケーションの内容から感じる取る事が必要になるんだと思います。そこでも若干の相違も起こる事もあるんでしょうが、伝えたいものが相手に伝わったと相手の反応から思えることもあるんでしょうね。
Commented by daisaku613 at 2006-01-05 22:16
d-yun5-fly-eliseさん、早速のご訪問ありがとうございました。
前のブログなら、多少は釣りの話もあったのですが、釣りにいけなくなってしまったので、関係ない話が多いかもしれません。お許しを。

僕の今の仕事はほとんどを「ノンバーバル・コミュニケーション」に頼っています。若いスタッフたちには「基本的に分かり合えないことを前提にして、それでもわかろうとすることが、重度重複障がい者の思いに近づく第一歩じゃないだろうか?」なんて話します。結局は「よくわからないことへの言い訳なのかもしれませんね。
Commented by トキサキ at 2006-01-06 12:46 x
 yunさん、遅れましたが、新年明けましておめでとう御座います。本年もどうぞ宜しくお願い致します。(本日、パソコン初め です。)
 お正月らしい??難しい話題です。まったく我々は何を求めてこの厳しい釣りを続けているのでしょうね。私もよく思う事です。単に魚が釣りたいのなら、他の釣りやもっと釣れる方法があるだろうに何故、コレなのか・・・。
 ただ自分に一つ言えるのは、自然の中に居るのが好きなので、ほぼ 「 開かれた要素 」 に集中しているのかも知れません。
Commented by tokyo_terry at 2006-01-07 00:08
Yunさん、こんばんわ!
週末は大雪のようですね。これはボクの日頃の行ないかな(笑)
8日にお会い出来る事を楽しみにしてます。どうぞよろしくお願いします!!
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-01-07 01:03
daisakuさん、こんばんは。
いえいえ、お気になさらずに。いろんな思いや考えを拝見できるのも、ブログの楽しみと思っておりますから。時には刺激になったりする事もありますからね。

daisakuさんは、かなりの障がいを持たれたユーザーの方達と接しておられるのですね。daisakuさんやスタッフの方々の忍耐強さには頭が下がる想いです。
私も、これは健常者どうしにでも言えることなのですが、基本的には分かり合えないと思います。以前、河合隼雄氏もそんな事を言っていました。でも、分かろうとする事、向き合うのではなく同じ方向を見た時に、もしかしたら分かり合えたと感じることがあるのかもしれませんね。そこにはとてつもないエネルギーが生まれるんじゃないかなぁなどとも思ったりします。

九頭竜川、私も一度は訪れてみたいと思いました。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-01-07 01:21
トキサキさん、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。
難しい話題でスミマセン(笑)。でも、時々こんな事を考えてしますんですよ。
私もどうしてこの釣りなのか、何故続けるのかと訊かれても、実のところ上手く答えられないんです。それは、きっと言葉ではないからだと思います。時々ありませんか、言葉にした時に何となく気持ちが冷めたり興ざめする事って。そういう私もblogで文章を書いているんですが・・・笑。

私の説明に、言葉が足りなかったのかもしれません。心的システムが作動している時は開かれた要素にも閉じた要素にも同時に相互作用しているんだと思います。ですから、トキサキさんも自然の中に居ながらも外へも内へも相互作用しているんだと思いますよ。

最近、ヤフオクをよく見ます。ちょっと物欲に火がつきそうになりながら、何とか自制をしております。
Commented by d-yun5-fly-elise at 2006-01-07 01:25
terryさん、こんばんは。
寒いので少し気持ちは萎えておりますが、何本かフライを巻いて少しだけ気持ちを高めて見ました。SHUさん曰く、私と釣りに行くと天気が回復するそうです。本当かどうかは分かりませんが、何とかなるんじゃないかと思っています。8日、楽しみにしています。


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