今日のBGM : Giorgio Li Calzi / Pabieda
淡いトーンの灰色の空がどこまでも広がる火曜日の午後、支笏湖へとまるで流れていないかのように静かに注ぎ込む美笛川の河口に佇んだ。
透明度に比例するかのように冷え切った冷たい流れ。
腰近くまで静かにウェーディングすると、それは息もせず流れていた。
ウォーターボーンのラインによる水切り音が少々気になるぐらい湖面は穏やかそのもの。静寂さが冬支度を始めた湖を支配する。時折遠くで水鳥の立てる小さな波紋が広がった。
どちらかというと遠投に向いたアクションの14フィート1インチのバークハイマーの#7番ロッドでさまざまなシンクレートのAFSをキャストする。
いい感じにくたびれ始めた湖用のフライが所狭しと入ったホイットレーのアルミ製のフライボックスからフライをつまみ出してはティペットの先に結び替える。
でも、やっぱり支笏湖の女神が微笑んだのは僕のフライではなく、火曜日の支笏湖の常連のひとりであるparuさんのフライだった。
僕はこの目でその鱒を見ることは出来なかったけれど、きっと冬支度を始めた湖で力強く泳ぐシルバーメタリックに輝く美しいレインボーだったに違いない。
original photo by Mr.paru