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1963年5月生まれ。札幌市在住Yunの北海道をメインフィールドにしたFlyFishingとEliseのEssay。テーマは、ゆったりのんびりと。

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<Vol.880> 朱鞠内湖へ / elise soundを背中に聞きながら



エリーゼのエンジンサウンドを硬くて薄いドライバーズシートを通して背中でジンジンと感じながら深夜のハイウェイを北上する。遊びのほとんどない小さなステアリングを僕は適度な力加減でホールドしているのだけれど、それでも路面の轍にタイヤがとられると相変わらずフラフラとハイウェイでの直進性はどうもよろしくはない。そんな訳で今週末東京から来られたやすこうさんの待つ朱鞠内湖にひとりで行くことになったものだから、久しぶりにエリーゼに乗ってロングドライブすることにした。助手席とリアの狭いカーゴルームにはタックルやウェーダーなどの荷物がぎっしりと積み込んである。どうやらフィールドの天気もまんざら悪くはないようだ。





朱鞠内湖漁協の中野さんが操船する渡船の出航時刻は朝の4時。SIMMSのウェーダーを履いてスタンディング・ポジションで操船する中野さんを見ていると、これって、なんか以前に観た「SKAGIT MASTER」のDVDのワンシーンみたいだなあと思っていたら、あっという間に北大島に船は着いてしまった。





あの向こうに見える水没した大きな木の幹から湖の水位が上がって水に浸かったブッシュにかけては結構ワカサギがいましたよというアドバイスを受けて岸際を歩く。確かにあの辺りは去年も、そしてその前の年も悪くはなかったから朱鞠内湖のイトウに出会えるチャンスはあるのかもしれない。岸際の浅瀬を泳ぐたくさんのワカサギの姿。釣り人という生き物は意外と楽観的なものだからそんな光景を目にすると期待感だけは大いに膨らむのだけれど、欲を言えばもう少し変化が欲しかった。というのも時折りそよ風が吹いて湖面が小さく小波立つ事があったけれど、ほとんど運動会か行楽日和にはうってつけとでも言うべき天気で、風はそよとも吹かず、湖面はまるで鏡のような状態。そして到底届きそうもない沖合いでは大きなライズリングが広がる。魚釣りのコンディションとしてはいまひとつだったけれども、湖の杭になったアングラーの目に映る風景の美しさだけは最高級だったかもしれない。背後の白樺林からはウグイスの囀りに名も知れぬ野鳥の囀りが耳に届く。





5月の朱鞠内湖の空は思いのほか高かった。早朝から帰りの船が迎えに来る夕方の4時まで、心地の良いまるで別世界にトリップしたかのような意識消失のお昼寝タイムを挟んで黙々とキャストをしたけれど、#2番のストリーマーフックに巻いたUVシェニール・シルバーをハックリングしたオリーブゾンカーをリトリーブする僕の指先に訪れたテイクは2度。1度目は3M/SA社のAtlantic Salmon SH S1/S2を半分近くまでリトリーブした時に訪れたイトウのトルクフルなそれであり、2度目はキャスト後に数回目のリトリーブで訪れたシルバーがかったアメマスのそれだった。

久しぶりに長時間ロッドをキャストし続けて、心地よい疲労感に包まれる。
エリーゼの幌を外しエンジンをかけて幌加内町の「あじよし」というお蕎麦の美味しい食堂まではゆっくりとオープンエアーを感じながらドライブ。でも、車を走らせながら気になるのはR275脇の雨龍川の流れだったりと・・・。
そろそろお気に入りの本流も待ちに待ったシーズンインだろうか。
フィールドの選択に嬉しい迷いが伴うシーズンがいよいよスタートする。








今日のBGM : DJ Krush and Toshinori Kondo / The Sun Is Shining

# by d-yun5-fly-elise | 2012-05-20 20:44 | spey fishing | Comments(15)
<Vol.879> oyster river / 別寒辺牛川



ゴールドのメッキが剥がれてしまったので赤いバーニッシュを塗ったコーンヘッド仕様のチューブフライがその重みでヘッドから沈み、ゆっくりと流れに乗っていく。そして数秒後に訪れた、まるで根掛りでもしたかのような鈍重な衝撃。鱒は一度水面まで浮上すると振幅の大きなヘッドシェイクと共に水面に大きな波紋を残し、今度は下流へと一気に疾走した。お気に入りのスペイロッドにセットしたHardyのST.JOHNから奏でられる激しいスクリーミングサウンド。僕が握り締めたMKSはバットからグンニャリとのされて、まったく立てることが出来なかった。気がつくとリールから白いバッキングラインがみるみると引き出されていく。疾走が得意な本流レインボーならともかく、リールからここまでラインを引き出すアメアスに出会ったのは僕にとって久しぶりのことなのかもしれない。





当初の予定としてはABUさんとオホーツクの小さな山上湖にレインボーに出会いに行く予定だったのだけれども、ここ数日の初夏のような気温の上昇で雪解けが一気に進み、本流はどこも溢れんばかりに増水して濁りも加わっていた。なんとなくあまり良い予感はしなかったけれど、やはり目的地だった小さな山上湖も僕の悪い予感が見事に的中して、まったく釣りにならないぐらいにまでサンドカラーに濁っていた。このまま諦めて札幌に引き返す?「とにかくどこかでロッドは振りたいですよね」というABUさんの言葉で予定変更。という訳で結果的に予定外のロングドライブとなったGW初日の土曜日だったかもしれない。





結果的に、この日初めてお気に入りのスペイロッド、Meiser 14' #6/7番 MKSを車のカーゴルームから取り出して繋いだのは、別寒辺牛川の横を走る国道の脇にある小さな駐車スペースだった。湿原から染み出したまるで濃く入れ過ぎた紅茶のようなタンニンカラーに染まった道東のアメマス本流で僕らがロッドを振り始めたのは、ゆうに10時は過ぎていたと思う。日差しはとにかく眩しかった。うってつけのGW日和というか、グローブもいらないぐらい暖かな一日だったけれど、ちょうど車から離れようとした時に、本流から戻ってきた3人組の釣り人が「ちょっと濁っていますね」と語ったことに一抹の不安を覚えたのは確かだった。





でも、そんな不安はすぐさま頭の中から消え去っていった。岸際のよどみにはチョロチョロとすばしっこく泳ぐ鮭稚魚の姿。そして穏やかに流れる水面には時折りアメマスの作り出すボイルがあちらこちらに。最初のキャストから僕が手にしたロッドにはアメマスのパワフルな躍動感が伝わった。
最初はインターのスカンジヘッドに鮭稚魚を模したイントルーダータイプのストリーマーを組み合わせたけれど、ラインをセットしていたHardyのPerfect 37/8のスプリングが折れてしまうという、またしてもトラブル(以前は本流レインボーが疾走して逆回転中に突如折れてしまった)を抱えてしまったので、今度は3M/SA社のAtlantic Salmon SH S1/S2を巻き込んであるST.JOHNに替えることにした。





後方からの風が吹き始めると川面が小波立ち、あれだけ刺激的だったボイルの光景もアングラーの視界から徐々に消えていった。きっと大きなアメマスは向こうのかけ上がりの底付近に定位しているのかもしれない。ABUさんの「この際だから普段は試さないいろんなことを試してみよう」という言葉に触発されて僕も薄っぺらいチープなプラスチック製のフライボックスから普段は滅多に使わない赤いルージュのコーンヘッド仕様のチューブフライ(オリーブのマラブーがメイン)をひとつ取り出した。もしかしたらこれがこの日の幸運な出会いへの鍵だったのかもしれない。oyster riverのアメマスが赤いルージュ好きかどうかはわからないけれど。





今日のBGM : David Darling / Prayer And Word

# by d-yun5-fly-elise | 2012-04-29 23:04 | spey fishing | Comments(16)
<Vol.878> 東の果ての遅い春 / 別寒辺牛川



週末の2日間を友人達、総勢11名という大人数で道東は厚岸町を流れる別寒辺牛川で過ごすことにした。ちょうど1年前に僕らが訪れた時となんら変わらない姿で川は静かに音も立てずに流れていたように思えたけれど、どうやら今年はちょっぴり春の訪れが遅いようで、岸際には思いのほか沢山の厚い氷の塊が残されていたようだった。パリ、パリ、パリという一歩ずつ踏みしめるたびに薄氷が割れる音を耳にしながら慎重に泥炭の湿地帯を歩いた時には、もうすでに多くのアングラーがそれぞれのスタイルで別寒辺牛川でのアメマス釣りを楽しんでいたようだった。








湿地帯から流れ出した独特の茶褐色の色合いが目の前に広がる。それはまるで濃く入れ過ぎてしまって渋みの増した紅茶の色のようだ。そんな色合いの本流に静かにウェーディングしながら一歩ずつ踏み出すたびに川底の軟らかい泥でヌルッと足元が滑ると、川底の様子がよく見えないものだから、思わずアングラーは全身に力が入ってヒヤッと肝を冷やしてしまう。別寒辺牛川で過ごした2日間、気温はかなり冷え込んでいたけれど朝のうちは風も穏やかでとても過ごしやすかったように思う。








キャストしたラインが下流へと膨らまなければ流れの存在に気付かないような穏やかな川面には、時折り何かをついばむようなアメマスのライズリングがいくつも広がる。本格的な鮭稚魚の群れに出会うのはもう少し先のようだ。スカジット・インターにType1のティップ、2m程のフロロカーボンのティペット(2.5号)の先にはビーズヘッド仕様の少しアレンジを加えたオリーブカラーのウーリーを結びペリーポークからキャスト。フライが着水して少しだけフライが自重で沈み、下流に膨らみ始めたラインに引かれてゆっくりと泳ぎ始めるとズゥンと指先でつまんだランニングラインが鈍重なパワーで引き込まれた。








極東の水平線から昇った太陽がハードウェーディングするアングラーの目線の高さよりもかなり高いところまで昇ってくると、好天の日のおの決まりごとのように今度は右後方からの風が強まり始め、週末の2日間とも穏やかだった別寒辺牛川の川面の表情がそれを境に一変した。そしてちょうど干潮の時刻に近づいたものだから少し下流の水深の浅いエリアに移動すると、流れの勢いも加わってスイングのスピードがよりいっそう速いものとなった。ティペットの先にはNA誌でも紹介したイントルーダータイプの鮭稚魚パターンを結ぶ。ナチュラルドリフト、スイング、ステイ、それにリトリーブと突如やってくるアメマスとの出会い方はさまざま。そして海と行き来するワイルドなアメマスの力強さでリールの逆回転音と共に僕が握りしめたスペイロッドのロッドティップは何度も水面近くまで引き込まれ続けた。
両腕に残る余韻が鎮まる頃、きっとGW頃にでもまた友人たちとこの地に足を運んで見ようと思っている。




今日のBGM : Denez Prigent & Lisa Gerrard / Gortoz A Ran

# by d-yun5-fly-elise | 2012-04-23 23:47 | spey fishing | Comments(20)
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